今日、介護職を全うするために
政治と介護を紡ぐ会 準会員
特定非営利活動法人ウェルネット虹家 理事長
野口 忠真
介護職の待遇の向上と地位の確立を目指して活動しています!
日々の業務と向き合っているだけでは、いつ介護という専門職が終わりを迎えてもおかしくない。
介護職の待遇の向上と地位の確立を目指して
ケアマネジャーを紡ぐ会のコラム配信をお読みいただいている皆様、はじめまして。政治と介護を紡ぐ会の準会員の野口忠真と申します。政治と介護を紡ぐ会は介護や福祉に携わっている議員の方々が集う組織ですが、私は現在議員ではございません。
私は訪問介護事業所を経営し、介護福祉士として働いていましたが、2023年の4月に行われた統一地方選挙において、大阪市住吉区から大阪市会議員への挑戦をしておりました。このコラム配信では、なぜ介護の仕事をしている私が地方議員選挙への挑戦をしたのか、そしてなぜ今後も政治への挑戦を続けていこうとしているのか、についてお話させていただければと思います。
介護の仕事とは何なのか
この配信の読者の皆様はきっと介護に関わるお仕事をされている方がほとんどではないかと思います。皆様それぞれが介護職として、またそれに関係する職として、日夜ご利用者のために尽力されていると思います。多分に漏れず私自身もその一人で、日々ご利用者の生活を守るために訪問介護事業所で働いていました。一人一人のご利用者の生活環境や健康状態はそれぞれ異なるため、それに対する細やかな目配り気配りや、迅速な対応力、臨機応変に動ける柔軟力が求められる、決して簡単ではない仕事だと日々感じています。
そんな仕事の業界に、そして私の経営する訪問介護事業所にも、毎年のように新しく、若い介護職が飛び込んで来てくれるのです。私は自事業所内において、「医食同源」という言葉をよく掲げており、特にご利用者の健康状態の観察に注力することをモットーとして、職員に説いていました。ですので、比較的覚える事も多くゴールもないため、職員には大変な努力をしてもらっていると思います。そんな職員に対して、私は経営者としてどんな見返りを示すことができるのか、それも日々考えなければならないことの一つです。それに加えて、特にケアマネジャーの方々は事務作業も多くあり、楽な仕事ではなく、日々こなさなければならない業務を多く抱えていらっしゃる介護職が大多数ではないかと思います。
介護業界の未来はどうなっているの?
現在介護業界が抱えている一番大きな問題は何でしょうか?私は少子高齢化が一番大きな問題の根本であると考えています。「2025年問題」という言葉が言われるようになって久しくもう目の前に迫っていますが、この時には現役世代2人で1人のご高齢者を支える社会構造になると言われています。この言葉にはまだ先があります。それが「2040年問題」や「2050年問題」です。この「2050年問題」と言われる時、現役世代1.4人で1人のご高齢者を支える社会構造になると言われています。社会構造上は、自分だけでは自分の両親さえ支える事が出来なくなると言われているのです。
また、日本では現在年間約10万人の介護離職者が発生しています。一度離職してしまうと元の待遇での就労が難しい現状もあります。
このような問題が日本全体に降りかかっている中での介護業界です。客観的に介護業界を見てみると、無資格であっても専門の学校を卒業していなくても、働き始めることが出来る業界です。そして現状では、各社各事業所において職員の入れ替わりが他産業と比較して早く、1年や2年で責任ある役職を任されることも少なくない特殊な業界であります。良い面もあると思いますが、悪い面の一例としては、やはりキャリア形成が歪な形になってしまい、それが原因でまた職員の入れ替わりの早さを高める負の連鎖に陥ってしまいがちであることだと思います。
日本全体が高齢化し、現役世代が少なくなり、介護業界自体にも課題が山積している現状を振り返ってみて、10年後20年後の未来は果たしてどう感じられるでしょうか。
いつ介護という専門職が終わりを迎えてもおかしくない
日本全体で社会構造上の問題をたくさん抱えているのに加えて、介護業界でも課題だらけという状況の中で、私たち介護職は日々の業務にあたらなければならない訳です。しかし日々の業務をこなしているだけでは、地位や専門性、何より待遇の向上は見込めません。日本における同じ福祉のカテゴリーの中でも、医師や薬剤師、看護師の方々がどのようにして地位や専門性、待遇を向上させていくことが出来たのか。歴史に倣うことは非常に重要であると私は考えています。
では地位や専門性、待遇の向上のためにいったい何が必要になるのか。一番は介護職が行政を動かすことが出来る立場になることです。つまり、「介護職が議員になる」ことです。介護事業者は行政から指定を受け、行政が定める運営基準に則って事業運営を行うわけですから、行政を動かすことが出来れば、地位や専門性、待遇等の向上も可能になるのです。議員になるといっても、議員も様々です。市町村議会議員から都道府県議会議員、そして衆議院議員や参議院議員といった国会議員まであり、議員としての道のりも果てしなく、その職務も様々あります。医師や薬剤師と比較して、圧倒的に後発組の介護職にとって、困難でかつ急務となりますが、日々の業務と同じくらい必要不可欠なことであると私は考えています。
次代へと紡いでいくために
ご利用者と日々向き合うこと。それだけでも答えのない大変な道のりです。しかし、今私たち介護職が全ての責務を果たさなければ、介護職に就く全ての人の未来は明るくなりません。だからこそ、私たち政治と介護を紡ぐ会は挑戦を続けます。決して簡単な道のりではありません。私も一度目の挑戦は惨敗という結果でした。悔しい思いを経験している仲間は私だけではありません。ですが、一度や二度で諦めていては今の介護の現状を変えることはできないので、挑戦を続けます。このコラム配信をお読み頂いている方から、一人でも共に挑戦する仲間が増えれば非常に心強く思います。長くなりましたが、ご拝読くださり誠にありがとうございました。
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