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「おとうふ」でも良い、「おとうふ」だから良い

こんばんは、フリーのキャリアカウンセラー
オカヤマカナエです。

今日は、お豆腐の絵からはじめました。

こちらの絵は、江戸末期から明治初期かけて活躍した日本油彩画の父・高橋由一の『豆腐』という作品です。もしかすると、彼の代表作『鮭』は見たことがある方もいるかもしれませんね。

なぜ急に豆腐かと言いますと、私は「豆腐メンタル」という柔くて衝撃に弱い性質をコンプレックスとして生きてきました。

豆腐の心を持つゆえに、ちょっとした環境の変化や人の顔色を伺いすぎてしんどくなってしまったり、鋼の心を持った人に無遠慮にぐちゃっと押しつぶされてしまうこともありました。

心療内科にもお世話になりましたし、入院したり、引きこもってしまったりと自分に自信を持つことができず、せめて!コンニャクのような弾力が欲しい !!と、ガムシャラにもがいては潰れてきました。

そんな訳で、本当にこの弱々しい心をどうにかしたいと思ってきたのですが、潰れながらもいろんな人や考え方に出会うことで、こんにゃくを目指さなくても豆腐でも良いじゃないか!という考えに至りました。

その1つがHSPという概念でした。

数年前から「HSP」「繊細さん」といった言葉をよく聞いたり、目にすることが多くなりました。私に関係大ありの話だとは思いながらも、目の前のやるべきことを理由にきちんと知ることを避けてきました(むしろ、知ることで何らかの変化が自分に起きると思って怖かったのです)。
でも一昨年あたりから、会う人会う人から「HSP」の単語を聞いたことで、これはちゃんと知るべきだと、昨年やっと話題の本をはじめとしていくつかの文献を読み漁りました。

何となくの予想通り、チェック項目にはチェックがずらり。腑に落ちました。私の言う「豆腐メンタル」は、この「繊細さん」や「敏感すぎる人」と言われるHSPの気質をもつ人のようです。

HSPとは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略で、「生まれつき非常に感受性が強く、敏感な気質もった人」のことを指します。アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏が1996年に提唱した特性のことで、医学的(病気)的な用語ではなく、心理学的な概念を指します。

自分のことを繊細というと恥ずかしい&横文字より親しみもあるので、私自身のことは「おとうふ」と呼ぶことにします。

本や関連する論文を読んで、おとうふな自分の理解が少し深まり、ちょっと安心した気持ちになりました。私が講師をしているコミュニケーション心理学の性格気質を知った時と一緒で『そっか!生まれつきか!しゃあないな!』と開き直ったという方が近いかもしれません。

と、同時に『これが売れているということは、同じようにHSPで悩んでいる人がたくさんいるんだ』と仲間の存在も感じました。

おとうふの私は働く上でも、言葉にしづらい しんどさを抱えていたので、自分らしく働ける環境・仕事ってなんだろう?と答えのない答えを求めて彷徨い続けていました。(このあたりの話はまた書きますが、トライ&エラーを繰り返した結果、さまざまな仕事・働き方を経験することができ、今は私の強みになって、自分らしく働ける原動力になっています)。

同じように、働く上での悩みを抱えている仲間も多いかもしれない。

自分のことを知った先に、同じ「繊細さん」や「おとうふさん」たちが自分らしく働けることはもちろん、自分のことをもっと好きになって、自信を持ったり、ワクワクできる生き方を一緒に考えられる人になりたいという目標が生まれたのです。

魅力いっぱいの「おとうふ」

よくよく考えると、お豆腐にはお豆腐だからこその良さがたくさんあります。

美味しくて綺麗な水でできている、調理次第で何にでも変身できる、味が沁みやすい、シンプルなのに湯豆腐はおいしい、ヘルシー、国際的にも注目されている、嫌いな人はあまりいない、おあげさん・焼き豆腐・高野豆腐・湯葉・たまごどうふ、と仲間がたくさん...などなど、自分の心の状態と引き合いに出すのも失礼なくらいお豆腐には素晴らしいところがいっぱいです。

エビがめちゃくちゃスター性持っているとしても、憧れて無理にエビチリを目指す必要はないのです。麻婆豆腐の主役は豆腐なのですから。

ということは、「おとうふ」な私にも良いところがあるんじゃないか?と、自分をきちんと認めてあげようと視点を変えてみました。

「おとうふ」で良いところをたくさんメモに書き出していくと、

・人の話に流されやすくしんどくなるところ → 人の話に自然と共感ポイントを見つけられる
・何を言っても平気だろうと酷いことを言われやすいところ → 安心感を醸し出すことができる&雰囲気を持っている

と、どんどん良いところに変わっていきました。

この作業のおかげで、おとうふの心の芯はしっかりと固まり(もともとあったものを固めたイメージ)、突然のフリーランスとしての出発にも堂々と対応できたり、以前よりも肩の力が抜いて過ごすことができているのかもしれません。

* * *

冒頭の豆腐の絵を描いた高橋由一は、その当時、さらっとした浮世絵などの日本画しか見たことがない日本人に、得体の知れないコテッとした油絵の魅力が伝わるのだろうかと悩んでいたそうです。悩んだ末、油絵に興味や親しみを持ってもらうために彼が描いたのが、鮭や豆腐など、人びとの家の中にある身近な食材でした。

今回、「おとうふ」の私のことを書いたのは、なんだかよく分からない肩書きがバリバリなイメージもある得体の知れない「キャリアカウンセラー」の私のことを少しでも近く感じて頂ければ...とおもったからです。

私がキャリアを相談する側だった頃、『こんなこと言うと情けないな』と豆腐部分を隠して「優秀なコンニャク」のふりをしてきたんです。相談する人の経歴やバリバリ感がすごくて、まるでエビ的なスター性を放っていたので、おとうふの本音で話すことができませんでした。

そんな経験もあるので、HSP、繊細さん、おとうふさんたちが安心できる場所、お気軽に相談できる存在でありたいと思っています。

私の前では、気を遣わず本音で話してくださっても大丈夫ですよ。
私もおとうふ ですので、ご安心くださいませ。


ではでは、今日はこのあたりで。
また書きますね。

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