大河ドラマ「光る君へ」第三十七話「波紋」所感
倫子さま
赤染衛門は「お方様を傷つけないで」と言っていましたが、光る君への物語に関しては、道長の作戦に賛成したのだから、傷ついたって言われても……ですね。そしてもう一つ。果たしてまひろが妾になっていたら、お方さまは傷つかなかったのか。
この、倫子さま案件に関しては、正直言ってまひろにはどうしようもできないかも知れません。まぁ、道長とゲス不倫していることは相変わらず全ての罪の根源ですので、このマイナス点はあるとしても、倫子さまはそれだけじゃない気が、個人的にします。
元左大臣のお家に、しかも皇族の末裔として生まれた倫子さま。蝶よ花よで育てられて、欲しいものは全部手に入れてきた。普通は上級貴族の娘としてままならないはずの好きな人との結婚さえ。まぁ娘はうまく育たなかったかも知れないけれど、なんとか入内もさせたし、子も生まれた。けれど、その途端、手柄と注目をまひろが持っていった。それで嫉妬しているのだとしたら、しかも顔に出ちゃっているのだとしたら、ちょっと倫子さまらしくない。
彰子中宮さま
すっかり覚醒した中宮さまですが、普通の女人になったという感じです。とにかく藤式部を贔屓。まだ、気遣いができるほどではないようです。まひろもまひろで、そんなこと自分ができないのに教えられるはずもなく。「お母上にもっと甘えられるとよろしいかと」とか「それはあの女房がお得意ですよ」とか、それとなく他の人と中宮さまが仲良くなれるようにもっていくのが本来のウデだと思うのですが、まひろには無理だね。
母親失格のまひろ
手紙の一つでも書いた?音信不通だったっぽいぞ。弟がしょっちゅう顔見に行っているのだから、そこから菓子や和歌が届くとか、自分の存在をあの家にアピールしてこなかったしっぺ返しをくらったような里下がりでしたね。そもそも、史実では月一くらいでは帰れたはずなので、こんなことにはならないのですが。どう見ても、乙丸やいとさんが大事に育ててきた感じです。すっかり宮中の人になってしまって、長年住んだ実家を「みすぼらしい」と思ってみたり、酔ったからといって宮中の贅沢話をしたり、すぐ帰ってしまうことになってしまったり。
源氏の物語、冊子を作る。
このワクワク感、これまでで一番共感できます。印刷でいいから、冊子を作っていく作業の楽しさって、最初の一冊ができ上がった時の感じって、実際作ったことのある人ならお分かりでしょう。
個人的には、あのフルカラーの紙はもう少し色の薄いものがいいとか思うのだけれど。読みにくくないですか?
もう一つ、個人的に「源氏が『物語の方がきっと歴史書より人間を描いているのだろうね』云々と言った」みたいなところを「紫式部の物語観だ」みたいに言う人もいて、公任やなんかも「あんなこと言って大丈夫か」と言っていましたが、そんなオウギョウなことでしょうか。女性が物語ばかり読むから「呆れた」と言ったら、彼女の機嫌を損ねてしまったので、おべんちゃらしたシーンでしょうに。
藤壺と強盗
「直秀二号か!」と大騒ぎが聞こえてきますが、強盗の方ではないですよね、双寿丸。鬼やらえ(後世の火の用心みたいだ)の人じゃん?まぁとりあえず、直秀の評判良かったからまた出した感がすごい。
道長、何かと間違っていません?「他の女房は何しておった?」はまひろにではなく宮の宣旨に聞いて。あと東宮発言の前に、早くも敦康親王のことが抜けています。まあそりゃ、自分の孫の方が可愛いでしょうけれど、それもまひろにいうことではない。わざとでないとするなら、史実の権謀術数巡らす才気豊かな道長が実力で上り詰めて敵を排除するというのは見られないということになります。
この強盗事件は、記録にある史実。「そこで藤式部だけが駆けつけた」は嘘でしょうけれど、彰子中宮さまの行動は史実だそうです。もともとこれくらい気遣いのできる賢い女性なのですから、ドラマの当初設定が謎すぎます。倫子ママそっくりなくらい、お淑やかで奥ゆかしくてでも明るく賢い人でいいじゃんよ。その中宮さまに使えることで、まひろは罪の意識に苛まれていくようにしていかないと。道長にしょっちゅう会えてウキウキのまひろは、もういりません。
伊周とか為時とかの昇位
位が上がることと、今で言う昇進とはまた別物らしい、というのんがややこしいですが。一条パパとしては、長男敦康を次の東宮にというのは当然だとは思いますが、この後行成の大説得第二弾が待っているので、今回の昇位もあまり役に立たないのですね。
為時パパの昇位はもっと謎です。今回は、何?まひろの働きのため?歴史の辻褄合わせだけでいくから、まひろは大して気にしていないし、弟くんは不思議がっているし。いつの間にか位上がってた、でもいいよ。実資とか道綱とかいつの間にかでしたもん。
そもそも、個人的に謎なのは、史実でも紫式部は位をもらっていないということです。ここまで寵愛されたなら、敦成親王の乳母になって後に位をもらってもおかしくない。ということは、史実ではそこそこ頑張った女房だったけれど、そこまで特別ではなく「物語係」だったということでしょう。こっちは歴史と辻褄合わない。なぜでしょう、主人公だけ歴史とどえらい違うのは。驚くというか、がっかりしてしまうことが多くて残念です。
それにしても伊周もはや呪詛チカの汚名を拭うことはできないはずなのですが、叔母さんにはうるさいとのたまった。自分は呪詛をしつこく(もう十年?近く)続けているのに。その伊周だけが位上がって、隆家は上げてもらえないのかな。
その他
・バイトリーダーみたいだった宮の宣旨が、えらく可愛かった。スベっても「あら、何か申しましたかしら?」と自然な笑いに持っていける才能◎。
・賢子の意言うことがいちいちもっとも。
・結局、高階の血筋はちょっと「う〜ん」な人がいると言いたい?
・サブタイトルもういいわ「波紋」が分かりにくいです。
・ロバート実資さんが、いつの間にか道綱とコンビ組んでる。
・道綱は居貞親王のスパイっぽかったけれど、隆家は公任のスパイ?
今日もお付き合いいただきまして、ありがとうございました。