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「罪」と「罰」を考える映画・テレビドラマ 45選

 ニュースでよく見る「犯罪」にまつわるできごとを、刑事政策と犯罪学の視点から語る「丸ちゃん教授のツミナハナシ」。番組では、毎回、関連する「エンタメ」を紹介しています(1回丸ごとエンタメを語る会もあります)。
「犯罪学」と「エンタメ」、一見遠い存在のようですが、犯罪をテーマにしたエンタメは世界中にたくさんありますよね。ということは、そう!実は、映画やドラマには、犯罪学や刑事政策がつまっているのだと思います。
「おもしろいなぁ」と思ってみていた映画やドラマの背景にある視点や制度を知ると、もっともっと楽しめると思いますし、解像度がグーンとあがります。そして、楽しみながら社会課題を知ることもできます。「ツミナハナシ」では、毎回、番組に関係する(と私たちが思う)エンタメをご紹介しています。ここで、2023年、2024年にご紹介した映画とドラマを一覧にしてお届けします。
 配信が増えたことで、観ることができるものも増えました。気になる作品をぜひ、ご覧ください。そして、良かったら、番組もお聴きください。
 観てから聴くか、聴いてから観るかはどうぞご自由に。感想も、ぜひ教えてくださいね。
※第1回~第44回までを掲載しています。


映画

『いとこのビニー』(1992年、アメリカ)

丸ちゃん教授一押しの一本。アメリカの刑事裁判のあり方がとにかくリアル。監督は、ロースクール出身で、そこのリアルにはこだわったのだそうです!

『カッコーの巣の上で』(1975年、アメリカ)

精神病院を舞台に「異常」とは何かを問うアカデミー賞受賞作。刑期がもうすぐ終わるはずの主人公が、「出れないのか?」と驚くことになったのはなぜなのか。そこはぜひ、番組をお聴きください。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002年、アメリカ)

「人はなぜ犯罪者になるのか」を説く犯罪学の理論の一つ「アノミー論」を、映画で解説するシリーズで紹介しました。若い詐欺師と警察の追っかけっこを描いた、「やっぱりレオだね(み)」の一本。予告と本編、両方観てほしいです。

『刑務所の中』(2002年、日本)

大人気のブルースティックや丸獄シリーズはどんなところで作られているのか。「願います!」が耳に残る、実際に受刑した漫画家の体験記の映画化です。

『絞死刑』(1968年、日本)

『戦場のメリークリスマス』の映画監督が放つ衝撃作。絞首刑の失敗からはじまるドタバタ劇(!)から死刑制度の矛盾を突くというとてつもない作品です。

『ゴッドファーザー』(1972年、アメリカ)

映画史上でも犯罪学としても不朽の名作。番組では三男マイケルに焦点をあて解説しています。

『シーセッド その名を暴け』(2022年、日本)

「世界的ムーブメント」を生んだ一本。苦しみと怒りからエンパワメントを描く。「被害行為」がどう描写されているかにも注目してみて下さい。

『シザーハンズ』(1990年、アメリカ)

ハサミの手を持つ人造人間は「街の人気者」か「危険人物」か? ファンタジーを通して、無意識のうちに、私にも、あなたにも、あるかもしれない「他者にレッテルをはること」を描いています。

『シュガー・ラッシュ』(2012年、アメリカ)

アメリカ映画には、依存症などから回復していく人びとのミーティング場面がよく出てきます。実はこれもその一つかも。「悪役だってつらいよ」とゲームの悪役が話し合います。

『ショーシャンクの空に』(1994年、アメリカ)

不朽の名作から見える「刑務所」と「社会」。「刑務所病」という視点を知ると、更に感動が深まります。

『すばらしき世界』(2020年、日本)

なぜ元ヤクザは就職に苦労するのか。なぜ「すばらしき世界」なのか。出所したヤクザの悪戦苦闘から、復帰する社会について考えます。

『誰も知らない』(2004年、日本)

母親が出て行った後、4人の兄妹は子供たちだけで生きていくことに。デビューからずっと「取り残された人々」を描いてきた是枝裕和監督の代表作。

『誰も守ってくれない』(2008年、日本)

『踊る大捜査線』を手掛けた「THE エンタメチーム」が加害者家族を描く。実はかなり早く「加害者家族」という問題をとり上げた作品です。

『デッドマン・ウォーキング』(1995年、アメリカ)

死刑を考えるならこの一本。冤罪事件ではない憎らしい死刑囚だからこそ「死刑とは何か」という問いが迫ってきます。何とオペラ化も!

『チェ 28歳の革命』(2008年、アメリカ・スペイン・フランス)

「映画で語るアノミー論」の2本目。世界的な革命家の生涯を描いた作品ですが、革命やクーデターも犯罪学と関係があるんです。

『釣りバカ日誌』(1988年~2009年、日本)

「映画で語るアノミー論」の3本目。今年惜しくも逝去された西田敏行さんの代表作がなぜ犯罪学に関係しているのかは是非本編を。

『時計じかけのオレンジ』(1972年、アメリカ・イギリス)

強制的な治療で非行少年は更生するのか。番組ではこの作品と通じる「反省させると再犯率が上がる」という研究を紹介しています。

『東京クルド』(2021年、日本)

日本で生きる2人のクルド人青年を5年にわたって取材したドキュメンタリー。一部で「クルド人問題」が過熱する今だからこそ必見の一本。

『ドリームプラン』(2021年、アメリカ)

「映画で語るアノミー論」の4本目。努力して結果が出るテニス一家の話。

『ヒーローショー』(2010年、日本)

集団が暴力を加速させる。『岸和田少年愚連隊』『パッチギ』の不良映画の名手・井筒和幸監督が送る衝撃作。ヤンキー映画に感動した人ほど見てほしい。

『ファインディング・ニモ』(2003年、アメリカ)

アメリカ映画に出てくる当事者ミーティングその2。「僕たちサメは魚を食べない」。

『福田村事件』(2023年、日本)

関東大震災直後の実話をもとに、治安維持が虐殺を引き起こすメカニズムを描く。その時、自分は何ができるのか。今だからこそ、自分事としてつきささります。「私も映画のクラウドファンディングに参加しています」(み)。

『BOY A』(2007年、イギリス)

スパイダーマン俳優の出世作。boy Aの日々が「更生とは」と問いかける。番組はラストシーンの解釈からはじまる型破りな回です。

『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年、アメリカ)

伝説のロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーの短くも輝かしい生涯を描いた世界的大ヒット作。

『塀の中のジュリアス・シーザー』(2012年、イタリア)

イタリアの刑務所で行われている受刑者たちによるシェイクスピア劇。海外では更生のために演劇プログラムが活用されています。実際の受刑者が出演しています。

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2015年、アメリカ)

アポなし取材で有名なドキュメンタリー監督がアメリカに導入する制度を探しに「世界侵略」に乗り出す。世界一豪華なノルウェーの刑務所が見れます。

『マイノリティ・リポート』(2002年、アメリカ)

「『この人は罪を犯す』とわかる日はくるのか」を問うSF大作。犯罪傾向が分かるのかは犯罪学の父ロンブローゾの研究テーマでもありました。

『MOTHER マザー』(2020年、日本)

長澤まさみを主演にゆがんだ親子関係が引き起こす殺人事件を描く。もととなった事件のルポ『誰もボクを見ていない』(山寺香、ポプラ社)もおすすめです。

『万引き家族』(2018年、日本)

「犯罪」でつながった「家族」をえがく、カンヌ映画祭グランプリ受賞作。是枝監督の作品は色々な「家族」のかたちを教えてくれます。

『Mr.インクレディブル』(2004年、アメリカ)

スーパーヒーロー一家の奮闘から考える社会復帰に必要な仕組み。

『むかしMattoの町があった』(2010年、イタリア)

精神科病院を廃止したイタリア。改革を先導した医師フランコ・バザーリアにスポットをあてその道のりをたどるテレビドラマ。イタリアでの放送時には高視聴率を記録しました。

『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』(2021年、アメリカ)

黒人歌手ビリー・ホリデーの大ヒット曲『奇妙な果実』の裏には米国連邦麻薬局との闘いがあった。違法薬物対策と政治の関わりが興味深いです。

『Lifers ライファーズ 終身刑を超えて』(2004年、日本)

米国の終身刑受刑者たちの姿を追うドキュメンタリー。坂上香監督は、ドキュメンタリー『ジャーニーオブホープ』から、最新作『プリズン・サークル』までずっと、生きる苦しさとその先にある希望をみせてくれます。

『リチャード・ジュエル』(2019年、アメリカ)

アトランタ・オリンピック開催中の爆破テロ事件を題材に、過熱する報道と冤罪の恐ろしさを描く。「ラベリング論」の観点から読み解いても面白い作品。

『リトル・ダンサー』(2000年、イギリス)

「炭鉱」と「バレエ」の間で揺れる少年の成長物語。人はなぜ犯罪者になるのかという観点からこの物語を読み解きます。ミュージカル「ビリー・エリオット」もお勧めです。

『レオン』(1994年、アメリカ)

「映画で語るアノミー論」の4本目。殺し屋と少女の凶暴な純愛。犯罪学の視点から、レオンの人生に想いを馳せたい一本です。

『WEED THE PEOPLE』(2018年、アメリカ)

医療大麻を用いてがんと向き合う子ども達を描いたドキュメンタリー映画。「薬物、ダメぜったい!」の世界とは、異なる世界がみえてきます。

『レ・ミゼラブル』(2012年、アメリカ)

ミュージカルでも有名な作品。あまり取り上げられない、物語が主人公の受刑から仮釈放のシーンではじまるというところに注目しています。(本編ではフランス革命の映画と言ってしまってますが、実はフランス革命後、王政が復活し…という時代設定のお話でした。)

『ロケットマン』(2019年、イギリス)

海外のミュージシャンの自伝的映画は、アルコールや薬物、人間関係など、悲しい結末となることが多いですが、そうはならない貴重な一本。幸せそうなエルトン・ジョンを見るだけで嬉しくなります。

『私たちの幸せな時間』(2006年、韓国)

早く死にたいと願う死刑囚と自殺未遂を繰り返す元歌手の交流を描いたベストセラーを映画化。韓国は制度自体はあるものの、1997年が最後の執行となっています。

『ヤクザと家族 The Family』(2021年、日本)

ヤクザ全盛期から「暴力団対策法」で社会から排除されていくまでをヤクザ一家の姿を通してたどる。同年公開の『すばらしき世界』とあわせると今「ヤクザ」が置かれている現状が分かります。

『十二人の怒れる男』(1957年、アメリカ)

11人の陪審員が有罪だと確信する少年の殺人事件。12人目の陪審員だけは無罪を主張する。民主主義の原点が分かる今こそ見返したい一本。結末が分かっていても面白い、エンタメとしても一級品。

『12人の優しい日本人』(1991年、日本)

「十二人の怒れる男たち」を日本に置き換えた劇作家・三谷幸喜の出世作。「十二人~」と比べると、見えてくる国の違い、時代の違いも興味深い。

テレビドラマ

『99.9 刑事専門弁護士』(TBS「日曜劇場」)

映画化もされた大ヒットドラマ。実は実際の冤罪事件がモデルとなっています。興味がある方は「名張ぶどう酒事件」「御殿場事件」「和歌山カレー事件」を検索してみて下さい。

『塀の中の学校』

少年刑務所の中の中学校分校。そこに通う元少年たちの姿を描く感動作。登場人物の来し方を思うと、「学ぶこと」が人生に与える影響の大きさをかみしめながら、どうか彼らのこれからの人生に幸あれ、と祈らずにはいられません。

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