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権力・暴力・非対称〜クリエイティブとハラスメント〜

クリエイティブとパワハラ、そしてセクハラ

 表現の機会や仕事を得るために、暴言や暴力に耐える。……
 私たちは、こういった表現の現場における不平等な状況を、仕方がないと諦めたくありません。時代とともに表現が変わり新しいものが生み出されるように、表現の育まれる場所も更新されて行かなければなりません。


『表現の現場ハラスメント白書 2021』https://www.hyogen-genba.com/qsrsummary

 

 美術や演劇、映像などの「表現」の現場で、ハラスメントが横行している実態が、表現の現場調査団の調査で明らかになった。

 アンケート調査を行い、1449人(性別については、女性が62%、男性25%、残りは無回答)が回答した。1298人がパワハラを受けた経験があり、1161人がセクハラを受けたことがあると回答した。 
 
 本調査は評論家の荻上チキが代表を務める一般社団法人『社会調査支援機構チキラボ』の協力で行われた。

 実に荻上チキらしい素晴らしい仕事だと思う。

 『彼女たちの売春(ワリキリ): 社会からの斥力、出会い系の引力』や『検証 東日本大震災の流言・デマ 』などで荻上は社会問題を数字で可視化させてきた。最近はyomyomという文芸誌で「ポリアモリーレポート」を書いている。

 ……暴力的なコミュニケーションの蔓延が、多くのクリエイターたちのモチベーションを奪い、生産性や創造性を奪い、表現の現場から退場させてきた……また、フリーランスの地位が不安定であることが、ハラスメントをより深刻化させている実態を踏まえ、……フリーランスの法的保護を行うことも求めていきたい。


 クリエイティブとハラスメントは大きな問題だ。

 

 表現の機会や仕事を得るために、暴言や暴力に耐える現実がここにあるのだ。


天才アート集団『カオス*ラウンジ』への告発


 アート集団「カオス*ラウンジ」の代表黒瀬陽平のセクハラ及び同組織のパワハラが告発された。

 「カオス*ラウンジ」とは梅沢和木、黒瀬陽平、藤城嘘の3名をメンバーとした現代アート集団である。 

 日本の現代アート界のトップである村上隆からバックアップを受けたり、批評家の東浩紀からも認められていた。
 世間的な知名度はteamLabのように高くはないが、批評やアート界隈ならば知らぬ者のいない超有名なアート集団なのだ。
 彼らの作る作品は、社会を挑発するような作品が多く、『福島第一原発麻雀化計画』やコピーした紙幣の販売したり、また、インターネット上に公開されている画像を、製作者の許可を得ずに素材としてアート作品に使うなど物議を醸す活動を繰り広げてきた。 

 露悪的な作品も多いが、非常に面白い作品があるのも事実だ。

 カオス*ラウンジ新芸術祭2017 市街劇「百五〇年の孤独」は明治時代の福島と現代のフクシマを重ね合わせ、他にはないアート作品となっている。

http://chaosxlounge.com/wp/archives/2157

 
 また、彼らの活動は作品制作に留まらず、ジェンダー問題も盛んに取り上げ、クリエイティブとハラスメントに対して問題提起も行ってきた。

 もちろんこの活動は、正義を振りかざす一方で、自分達はハラスメントを行っていたとして、ダブルスタンダードが浮き彫りになった形となり、黒瀬はさらに批判を浴びることになる。


 カオスラウンジのハラスメントとは、どのような事件だったのか?

 事件について解説していきたい。

 なお、あらかじめ述べておくと、本事件は係争中のため、何が正しい事実か僕の視点からは正確に判断できない。
 そのため、事実の検証というよりは、両者の発言を【本訴訟の争点】で比較検討して、【今後、証明すべき点】で、今後の裁判で詳しく説明するべきポイントを指摘することに留めておく程度にした。


事件の概要


 事件の大まかな流れ(安西の説明による)は以下のようになる。

 
 黒瀬はアルバイトとして働いていた安西に対して、『服の中に勝手に手を入れる』や『性行為をしたい』など性的な関係を要求した。

 安西は拒否したものの、黒瀬の何度も繰り返される要求に疲弊して、性行為に応じる。なお、初めはオーラルセックスのみで、その後は通常の性行為だった。

 これ以降、両者は継続的に肉体関係を持っていた。安西は黒瀬に恋愛感情を持っていた時期もあったが、黒瀬との非対称な関係(上下関係)に耐えられなくなり、関係の解消を申し出た。

 黒瀬は『恋愛関係を解消するならば、カオスラウンジを辞めてもらう』と告げ、関係解消を拒絶した。(黒瀬は安西の気を引きたかったからと説明)

 現代美術業界で働き口を確保することは簡単ではないため、安西は諦め、両者の関係は続いた。

 その後に、黒瀬の配偶者に両者の関係がバレてしまった。黒瀬の配偶者の強い要求もあり、黒瀬及びカオスラウンジは安西に対し、退職要求を行った。 

『現代アート集団「カオス*ラウンジ」をセクハラと退職強要で提訴。「アート業界のホモソーシャル性、変わるべき」』
https://www-businessinsider-jp.cdn.ampproject.org/v/s/www.businessinsider.jp/amp/post-228812?usqp=mq331AQTKAFQApgBsae-lufa-cH1AbABIA%3D%3D&amp_js_v=a6&amp_gsa=1#referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&csi=0&ampshare=https%3A%2F%2Fwww.businessinsider.jp%2Famp%2Fpost-228812%23referrer%3Dhttps%3A%2F%2Fwww.google.com%26csi%3D0


 安西側の告発に対して、カオスラウンジ及び黒瀬は、一旦は、セクハラ及びパワハラについて謝罪した。

 
 しかし、謝罪後、直ぐにカオスラウンジ及び黒瀬はセクハラ及びパワハラは無かったとして、発言を撤回した。

 前回プレスリリースにおきまして、弊社は「現時点で、弊社内での業務におけるハラスメント⾏為について、他の社員とスタッフが関わっていたことも確認した」との旨を記載いたしました。

しかしながら、改めて調査を⾏い、弁護⼠等の専⾨家を交えて協議をした結果、当該記載は不正確なものであったと判断いたしました。
『2020年7⽉24⽇のプレスリリースにおける 調査報告とお知らせ』
http://chaosxlounge.com/wp/archives/2868


 そして現在は、名誉毀損として安西及びnoteに記事の削除と損害賠償を求めて、裁判所に訴えている。


 安西とカオスラウンジ及び黒瀬。


 裁判の準備書面を基に、両者の発言を比較検討していきたいと思います。

本訴訟の争点


 現在、行われている訴訟は2つあります。

 ○カオス*ラウンジから安西への名誉毀損

 ○安西からカオス*ラウンジへのパワー・ハラスメント及び黒瀬のセクシュアル・ハラスメントの訴え


 どちらの訴訟も争点はおおむね同じであり、

 ①安西に対して黒瀬からセクハラがあったか

 ②不貞行為の発覚後、カオスラウンジから安西に退職勧告というパワハラ行為があったか否か

 このようになる。

 
 では、訴状を見ていきたいと思います。

 ○カオスラウンジ側の主張


 カオスラウンジが黒瀬の行為にセクハラに該当しない理由として、以下の2つを挙げています。

 ○安西と黒瀬は、仕事管理アプリ「Notion」でデートの予定を共有しており、お互いの自由意思に基づいてデートをしている。
 
 ○黒瀬の配偶者に不貞行為を批判されたときに、『黒瀬のセクハラが原因で肉体関係となった』と安西は発言しなかった。

  現に、安西と黒瀬とは、単に性交渉を行っていただけでなく、一般的なデートもおこなっており、「Notion」というアプリを用いて、デートの予定を2人で管理する など、安西の意に反して強要された関係では到底なし得ない関係を築いている。
 また、安西は、安西と黒瀬との不貞開係が黒瀬の配囲者に発見した際においても、黒瀬の配偶者やカオスラウンジに 対して黒瀬による性的関係の強要について何ら述べておらず 、仮に安西と黒瀬との関係が、黒瀬により 強要されたものだとすれば不自然と言わざるを得ない。(令和2年10月16日付け訴状の8頁)


 また、カオスラウンジの行動がパワハラに該当しない理由としては以下となっている。

 ○安西より自発的に『自主退職します』という旨のメールが送られてきた。


 安西は、令和2年6月18日16時26分にカオスラウンジスタッフに「先日のMTGでお話しした通り、合同会社カオスラは自己都合で退職させてください。」という内容のメールを送信している。
 また、安西は、上記メールより以前である令和2年6月15日23時46分に黒瀬の配偶者に対する不貞慰謝料の損害賠償事件について依頼している弁護士へ送信するつもりであったメールの誤送信をカオスラウンジスタッフに送信している。そして、そのメールには「以前メールで共有した合同会社カオスラの辞職について退職フローが届きましたので共有します。会社に手間を掛けないためにも自主退職を考えており、その旨会社に伝えておりますが6月19日までに返答するつもりです…」
 ……メールには「会社に手間を掛けないためにも自主退職を考えており、」と記載されていることからも安西は自主退職を強要されたのではなく、自らの意思に基づいて自主退職を選択したことが明らかです。(令和2年10月16日付け訴状の10頁)


 ○安西の反論

 
 これに対して、安西は以下のように反論します。

 安西はカオスラウンジに勤務してから幾度となく、黒瀬より身体的な接触を求められた。これは黒瀬の職場上の優位性をもとに作られた関係であり、明確にセクハラに該当するとしている。

 黒瀬は、2019年5月、勤務を始めて間もないアルバイトの社員であった安西の身体を触ったり、性交渉を要求するなどし、7月末頃から安西を性交渉に応じさせると、仕事で呼び出した機会に性交を求めるなどしてこれを継続し、12月以降、 両者の交際が始まったものの2020年1月末頃から安西が交際の解消を申し出るようになると、それなら原告の仕事を辞めてもらうなどと言ってこれを拒否し、 交際の継続を強奨しました。…… 明確にセクハラに該当します。
 さらに、安西と黒瀬の性的な関係は、一貫して立場の不均衡、 安西に対する圧倒的に優位な地位を背景としたもので、…… 安西は、雇用主で、一回り以上も年上で、既婚者である黒瀬から、 都合よく性交渉を求められることに苦痛を覚え、……たいへんなストレスを感じていました。
 ……安西自身は黒瀬に対して恋愛感情があったことを率直に認めているものの……かえって黒瀬の仕事に関する指揮命令と性的な要求を 混在させたセクハラ行為が先行していたのですから、これを「両者の自由 な意思の下行われた恋愛開係」など評価するのは誤りです。


 他にも、黒瀬が、個人的に損害賠償の支払いを約束でいることや、仕事管理アプリを共有していたことだけで自由恋愛ということは判断できない


 ……加害者である黒瀬自身が、安西に対して関係を強要したとして損害賠償の支払いを約束しているのに、原告が強要はなかったな どと主張するのは奇妙というほかありません。なお両者の関係、事実の経過に鑑みると、タスク管理アプリを共同して使用してデートの予定を管理した(仕事の予定も同時にこのアプリで管理していました。)との一事をもって、両者の自由な意思で行われた 恋愛関係などとする原告の主張はおよそ的外れです。


 不貞行為であったことは事実であり、安西にも問題があるため、黒瀬の妻に対して、セクハラがあったことは、常識的に考えて主張するわけがない。


 また、安西は当初から黒瀬の妻との関係では自らに落ち度があることを認めています。加害者としての立場を自覚している安西が、被害者である黒瀬の妻に対して性的関係の強要について主張していないのは当然のことです。原告指摘の事情は強要がなかったことの証拠に はなりません。(令和2年11月30日準備書面43頁)

 
 加えて、パワハラあった事実として、告発後に、安西に送られたSNS等を根拠に出します。

 黒瀬の Slack
 ……安西さんの想いや、抱えていたことなど 聞きました。いままで安西さんから直接言われていたことだと思ったし、 何度も訴えていたことだったはずなのに、それを理解できず、ちゃんと向き合えなかったこと、本当にごめんなさい。
安西さんに対して、然るべきときに、誠実に対応できなかったこと、 それはぼくだけじゃなく、カオスラの組織としての問題もあると思いますが、一番の責任はぼくにあり、相織としての動きをコントロール、修正できなかった責任はぼくにあります(以下略)。(7月22日)
 関係者KのLINE
 ……解雇を受理した件は、僕が責任があるため、 以前も言ったとおり責任追求された場合は僕の判断の責任のため、僕も退職しようと思います。(7月20日)
 ……法的な理由ばかり防衛的に 考えてました。色々と個人的に、安西さんのためと思いつつ自分のこ とや会社の事を優先に考えてたと思いました。 ……社会的な安西 さんの尊厳や保証を考えられてなかったです。……男性や女性の点と部下の関係などを考えずに、被害 者·加害者として単純に考えすぎてました、本当に幼稚でした。…… (7月23日)

 関係者 KのTwitter(既に削除済み)
 ……僕は、退職フローにおいて辞職を促すなどの対応 をしてみました 僕自身、それは元代表のパワーハラスメントに加担する行為であったと思っています。(2020年7月26日ごろ)
 
 関係者FのTwitter(既に削除済)
 カオスラ代表としての咳きです。今回のカオスラのリリースについ て、私は元代表黒瀬陽平のパワーハラスメントに加担してしまったことを認め、これを改善していくことを表明しようと思います。(2020年7月27日1時11分)

. 自分で思い悩んだ部分もありましたが、年齢差·性差·そして立場の違いを自覚せずに被害者に接してしまったことが、被害者を強く追 い詰め、ハラスメントに加担してしまったことを痛烈に反省しております。(2020年7月27日1時13分)
 (令和2年11月30日準備書面28頁〜30頁)

 
○安西の反論に対するカオスラウンジの回答

 以下のカオスラウンジの反論については、僕的に論理破綻を感じるので、批判をさせてもらいました。

○2019年5月前後の安西と黒瀬の関係
 ……安西としては、 黒瀬からすでに一度「2人 でどこかに抜けたい」と言われた経緯もあり、黒瀬が安西に対して好意を抱いていることは明らかであったにも関わらず、安西は拒否することも十分可能であった当該誘いを受ける形で原告での業務を開始した。
 そして、個人的な誘いから、契約などを締結することもなく口頭契約のみで業務を開始したこともあり、 安西と黒瀬との関係 は通常の上司と部下の関係よりも現な関係であった。

 そして、周囲からみた2019年5月前後と安西と黒瀬との開係は、少なくとも他のスタッフから……周囲から 見て親密な間柄に見える関係性であった。……(令和3年2月2日付準備書面11頁)

 
 これは、相手の尊厳を踏みにじった、物凄く失礼な発言だ。これは極めて危険な論理だ。

 カオスラウンジの論理は

 『デートした社長の会社に就職した時点で、相手からの好意を受け止めたとでき、社長の女となる。そのため身体的な接触をしてもよい』

 という風に解釈を生み出してしまう恐れがある。


 これは、相手の尊厳を踏みにじった、物凄く失礼な発言だ。これは極めて危険な論理だ。

 デートを重ねた回数で身体的な接触が可能にはならない。やはり、相手の明示の同意を求めるべきだろう。もし、同意がなければ諦めるしかない。

 正直、これが天才アート集団で、若手トップ批評家の論理なのか、と目を疑ってしまった。

 もちろん、外部から見て二人の関係性は5月頃から付き合っているように伺えたという弁護士の意図があるのだろうが。

 ○安西と黒瀬とが性交渉をするようになって以後の関係について
 この点について、安西は、「セクハラ行為が先行していたのであるから、これを「両者の自由な意思の下行われた恋愛関係』などと評 価するのは誤りです。」と主張しているが、立場の違いを利用して一方的に性的な言動や要求を行う加害者に対し、 その被害者が徐々に恋愛感情を抱くようになるということは不自然な事実経過であり、 むしろ、 2019年12月末頃以降に安西が恋愛感情を抱くに至っていることからすれば、2019年5月以降の安西と黒瀬とのやりとりは、 両者の自由意思の下行われた恋愛関係に基づくものであったと考えるのが自然である。(令和3年2月2日付準備書面12頁)


 最終的に恋愛関係になったという結論のみで、服の中に手を入れる行為や、付き合ってもいない相手への性行為をしたいと主張を遡及的に問題なしとしてしまう論理。
 これにも極めて暴力性を感じる。

 再度述べるが、批評家の論理なのか、と落胆した。


 黒瀬を含めた関係者とのやりとりやSNSの発言について以下のように述べる。
 

 ○黒瀬と安西とのSlackでのやりとりの内容については不知。

 ○関係者と安西との LINE については、関係者がLINE において当該内容の文章のメッセージを送信したこと自体は認める。各プレスリリースの公表、SNSへの投稿、メッセージの送信をしたこと自体は認める。
(令和3年2月2日付準備書面6頁)

  ※不知とは、知りません、という意味です。

 これに関しては反論にすらなっていない。

 まず、黒瀬と安西とのSlackでのやりとりの内容については不知という返答は論外。
 不知と述べる前に、ちゃんと調べて回答してくれ、と思う。黒瀬に聞けば済むだけだろう。

 また、SNSへの投稿やメッセージの送信したこと自体は認めるという、これも返答になっていない。
 反論したいならば、発言者を改めて調査して、内容を精査すべきだ。
 
 

 ○安西の再反論

 

 以上に対する再反論が安西からなされる。

 カオスラウンジの発言は反論になっていない、と述べる。


 原告は、安西が2019年5月から7月に、黒瀬からセクハラを受けたことについても、原告の役員スタッフが被告安西と1名のアルバイトを除き全員男性という以外は、 すべて「不知ないし否認する」としています。
 セクハラを否定する原告の主張に何らの根拠がないことは、黒瀬と安西の職場における上下関係、 黒瀬が安西に関係を強要したことを認めて精神的損害に対する解決金、すなわち慰謝料を支払う旨合意していること等からあきらかですが、原告は、本件記事がセクハラを摘示したことは名誉毀損にあたるとしながら、安西がセクハラにあたるとして指摘する具体的な事実について、どこを否認し、どこを不知とするのか特定すらしていません。これでは安西は反論のしようがありません。(令和3年3月19日付準備書面3頁)


 さて、この令和3年3月19日準備書面で安西はとても重要な点を指摘している。

 原告は、黒瀬が、安西と、黒瀬が関係を強要したことについて 安西が被った精神的損害について解決金、すなわち慰謝料を支払う旨合意したことについて、否認するでもなく、認めたうえで錯誤や強迫など合意の効力を否定する事情を述べるでもなく、「不知」と答弁しています。
 セクハラの加害者とされた人物が、被害者に対して被害事実を認め、慰謝料を支払う旨約束したという事実は、セクハラの存否にとって決定的に重要な証拠になります。原告は、黒瀬が安西に対してセクハラをしたと の事実はないから、本件記事は嘘であるとして本件訴訟を提起しているのに、そうした事実があるか否か、確認していないのでしょうか。とても不可思議な答弁です。(令和3年3月19日付準備書面7頁)

 
 重ねてこのように述べている。

 訴外 K が6月5日の会議で安西に対して威圧的な態度をもって退職を迫ったことについては、黒瀬が安西に対してSlackでした謝罪(被告安西事備書面1・25頁2行目以下、原告は不知と答弁)、訴外Kが安西に対してLINE でした謝罪……、原告が加害者、被害者を特定してパワハラの事実を認めて発したリリース……、 黒瀬が加害を認め罪をしたツイート……、訴外 Fが加害を認め謝罪をしたツイート……、訴外Kが加害を認め謝罪をしたツイ ート……、 訴外Kが安西にLINEでした加害の自認と謝罪……、訴外K、安西にLINEでした加害の自認と謝罪……、訴外Fが安西にメールで した加害の自認と謝罪……からも、あきらかです。(令和3年3月19日付準備書面16頁)


 なお、裁判関係の書類については全て以下のサイトから引用させてもらった。
 

https://bewithayanoanzai.cargo.site/

 
 

今後、証明すべき点


 さて、どちらが真実か否かを判断することは避けたい。
 
 係争中であることに加えて、当事者でない僕が事実を認定することは不可能に近い。

 しかし、お互いのやり取りの確認するなかで、腑に落ちない部分があるため、そこを指摘したい。

 
 
 ○カオスラウンジの反論には、不知と述べるところが多いので、きちんと回答すべき。
 黒瀬と安西の個人間ではセクハラの慰謝料を支払う旨約束しているのに、それを不知と回答するのは理解ができない。


 ○2019年5月頃〜7月頃の二人のLINEを公開すべき。
 タスク管理アプリで自由恋愛かどうかを確認せずに、安西及び黒瀬の二人のLINEを公開すればよい。
 安西と黒瀬の過去のトークを追っていけば、恋愛関係なのかセクハラなのか推測も容易だろう。
 これはカオスラウンジだけではなく、安西の方でも明らかにできるのかな、と思う。

 

 ○安西の提出したTwitterやメール等に対する反論をカオスラウンジは述べなければいけない。
 関係者のメッセージを見れば、安西に対して相当の自責の念があることが伺える。
 安西の意に反した退職勧告があったのでは、と思ってしまう。



一般的なモラルについて語りたい。自己の権力についての話


 さて、以下、僕の所感になります。

 
 自己の権力性を理解し、利用して作り上げた関係性であると分かっているにもかかわらず、権力性の外側で築き上げたと鈍感さを決め込む人間には気持ち悪さを感じます。

 この異常さは正直、独身だろうが妻帯者だろうが関係のない気持ちの悪い行為だな、と思います。もちろん、これは男女に限らず、同性間でもあります。
 
 世の中にはそういう奴らがゴマンといます。

 
 人は自らの権力性(暴力性とも言いかえても良い)についてもっと自覚的にならなければならない。
 
 自分の権力に謙虚に生きよう。

 この姿勢が大事なんだと思う。こうすることによって、みんなが生きやすい世の中を作っていく。

 パワハラとセクハラの問題の根源はここにあるのだろう。

 僕が考えるのに、権力性(暴力性)や非対称性を敏感に反応することは、人文知の大きな役割だと思うんですけどね。特に批評家や美術。

 

 僕のnoteは広まらなくても良いですが、クリエイティブとハラスメントという問題がもっと社会的に認知されたら良いなあ、と思います。

https://bewithayanoanzai.cargo.site/

 
 安西さんの活動記録について再度URLを貼らせてもらいます。


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