
六つ目の忌むべき存在【謎解き】2,000字
江戸初期に造られた物だそうです。確かに古いと言えば古いです。でも、そのぐらいの建物は日本中にいくらでもありますよね?
国の重要文化財にはなっているようです。当時の城主が建立したとかなんとかで歴史的価値もあるようなので。
でも、それって下の本殿?の話なんですよね。俺がしたいのは上にある小さな社の話です。何度か建て直されているらしいですけど、本殿よりも歴史があると聞きました。
小さい神社が本殿脇の山道を上って行った所にあるんですよ。本殿とは別の物を祀っているそうです。何でも昔の偉い人の身体の一部が納められているとか。実際に見たことはないんですけどね。
でも、俺が面白いなと思ったのはそれじゃないんです。何でも、六つの忌むべき化け物?について記された巻物も納められているらしいんですよ。
直接見たことがあるわけじゃありませんが、知っているという村の年寄りに聞いたんです。
普通、化け物っていったら天狗だったり河童だったりそういう妖怪についてかなと思いますよね。
でも、違うんですよ。
まず、サル。
サルですよ、あのサル。サルが忌むべき化け物っておかしいでしょ? まあ、俺は笑えませんけどね。サルってただの動物じゃないですか。
次に、クモ。
妖怪みたいに恐ろしいと思う人もいるかもしれませんが、しょせん虫ですよ。化けグモだったらまだしも。
次は爆笑もんですよ。なんだと思います?
ジジイ。
ジジイってなんやねんって感じですよね(笑)。たまに妖怪みたいな爺さんいるけど。
ジジイほどインパクトのあるヤツはもうないのでまとめて言いますね。
ヘビ、キツネ。
ヘビもキツネもわからないではないけど、化け物ではないですよね。ただの動物ですよ。
それで、気付きませんか?
巻物に書いてあるらしい順に言ってきたんですけどね。
サル、クモ、ジジイ、ヘビ、キツネ。
六つの化け物?について書かれた巻物なんですよ。五つ目までしかないじゃないですか?
これについても話があるんですよ。
詳しいことはいまいち知らないんですけどね。何代か前の下の神社の神主が、六つ目の部分を破ってしまったそうです。あれ? 一つ目だったかな? まあ、ともかく端っこを破いちゃったらしいです。
あ、言い忘れてましたが、上の神社に神主はいません。ちっちゃい社なんで下の神社の神主がまとめて管理しています。
六つ目は「人」だったんじゃないかなと思うんです。ありふれた生き物と人。それが忌むべき化け物だなんて……わくわくしませんか?
人が化け物だなんてヤバい!って感じで昔の神主がその部分を破っちゃったんじゃないかと俺は推理してるんです。
この話は村ではできないんですよ。年寄りが怒るんですよ。あっ、ジジイだからか(笑)。
でも、向かいの変わり者の爺さんだけは別です。そもそも俺がこの巻物の話を聞いたのはその爺さんからですから。自分は武士の家系だとかなんだとか自慢してくる爺さんです。先祖は一度に八つの武器を振り回して戦ったと記録に残っていると言っていました。嘘に決まってますよね。タコじゃないんだから。
それに武士って言っても落ち武者ですよ。この辺は落ち武者が作った村らしいので、みんな元を辿れば武士なんじゃないかな。
あ、神主さんも武士だったらしいですよ。落ちてきた武士の中では二番目に偉かったって聞いたことがあります。爺さん情報ですけど。
うちも多分、武士の家系だったと思うんですよね。家族は何も教えてくれないんですけど、その爺さんが言ってましたから。
何とか様の二番目の家来だったんだからしっかりしないとダメだみたいなことを言われました。二番は神主さんとこじゃないんかい!って内心突っ込みましたけどね。
巻物については教えてくれましたけど、破られた部分に何が書かれていたかとか、なんで破ったのかとかそういうのは教えてくれないんですよ。
知ってるっぽいんですけど、なんか、これはまだ言うんじゃなかったみたいなことを言って教えてくれなかったんです。
他の村の人間に聞いても、知らないとか禁忌だとかなんとか言って教えてくれないですし。
でも、俺としてはあまり有名じゃなくてよかったなと思うんですよ。この話を聞いた時に、俺の他に友達も三人いたんですけどね、あっ、俺が子供の頃です。
めっちゃいじられたんですよ。でも、俺はリーダー的な立ち位置だったんで、いじりはその場だけで終わりましたけど。他の奴らには言うなって釘を刺しましたし。爺さんも他言無用だって怖い顔してましたし。
なんで俺がいじられたか、知りたいですか? サルで俺は笑えないって言ったじゃないですか。実は俺の名字、猿毛なんですよ。
俺としては、爺さんの話をもっと聞きたかったんですけど、友達が俺をいじり出して話は終わっちゃったんです。
爺さんは俺たちが大人になったら詳しく教えてくれるって言ってたんですけどね。
その前に死んじゃって……俺も忘れそうなんで記録として話しました。
*
六つ目の存在について彼は自分の推理を語るが……。別の何かが見えてこないだろうか。
解答編はこちら。
この話の聞き手が自分の考えを語るという体の解答編も用意しています。
ここまでの情報で、「六つ目の忌むべき存在?」が分かった方はいらっしゃるでしょうか?
いいなと思ったら応援しよう!
