「僕は自分のことを好きになれません」と、不登校の高校生は言いました。
世界中の子どもたちをワクワクさせる！
メンタルプロコーチの津村柾広（つむちゃん）です👍
Mくんとは2度目の面談でした。
一度目は2年前、高校に入学して数ヶ月、学校を休みがちになり
担任の先生を通して面談（コーチング）の申し込みがありました。
その時の相談内容は、「クラスに馴染めない」「話せる友達がいない」という
コミュニケーションの不安からくる疎外感が原因でした。
あれから2年、Mくんにどんな変化が起きているのか？
わざわざ用意してくれた広めの会議室で、彼の登場を待ちました。
14時の約束でしたが、「今、家を出た」という連絡が14時過ぎに入りました。
なるほど。今、家を出た、という事実が彼の心境を表しています。
およそ10分遅れで、ようやくMくんがやってきました。
「久しぶりだね」Mくんはメガネと白いマスク。
髪は短めでさっぱりしていました。
「あ、どうも」
彼は短めに挨拶すると、背負っていたリュックを下ろしました。
「いつ以来だっけ？」
「え〜っと、多分2年前です」
「あれからどうしてたの？」
「去年のクラスはとても良くて、楽しかったです」
どうやら、私と面談していなかった期間は、うまくいっていたようです。
「で、どうしたの？」
「・・・今のクラスがうまくいかなくて、学校に行くのがつらいです」
つまり、相談内容は2年前と同じ、
クラスに馴染めない疎外感ということかな・・・。
「去年のクラスと今年のクラスは何が違うんだろう？」
「去年のクラスには話せる友達がいたけれど、
今のクラスではうまく話せないです」
「誰とも話せないの？」
「いえ、何人かは話せます」
Mくんは小柄で細身な体格で、ちょっと内向的な性格の子です。
おそらくインドア派で、明らかに陽キャではありません。
とはいえ、去年のクラスではうまくできたのだから、
今年のクラスだってそれなりにできるはずです。
「話せる友達がいるのなら、疎外感はあまりないかな？」
「疎外感はあまりないですね」
「？」もしかしたら問題は別なところにあるのかもしれません。
「夏休みは何をしてたの？」
私は話題の矛先を変えてみました。
「本をたくさん読みました」
彼の声が少し大きくなった気がしました。
これまでライトノベルしか読まなかった彼が、
本格的な長編小説を何冊も読破したらしいのです。
「面白かったかい？」
「はい、とても面白かったです」
声がさらにワントーン上がりました。
「で、自分でも書いてみようと思いました」
Mくんが質問したこと以外に答えるのは、とてもレアなことです。
「おっ！それは小説なのかな？」
「そうです。先週から書き始めました」
「ヘェ〜それはすごいな〜！ちなみにどんな内容の物語なのかな？」
「僕は想像力が乏しいので、自分が体験したこと以外は書けません」
「だから主人公は不登校の高校生です」
不登校の高校生の日常が、Mくんの小説の舞台になっているようです。
「僕は自分のことが好きになれません」
「話すのが苦手で、友達を作れないし、何かに熱中したこともありません」
どうやらMくんは、自分のことをつまらない人間だと思っているようでした。
「話すのが苦手な人は、書くことが得意だったりするよ」
「Mくんがクラスの陽キャのようになる必要はあるのかな？」
「だけど・・・」
Mくんは不満気に首を横に振りました。
誰でも自分が持っていないものが欲しいものです。
本当はM君にしかないものをMくんだけが持っているのにね。
「Mくん、小説を書き上げてみてよ」
「はい。そうですね。書きます」
「どのぐらいかかりそう？」
「おそらく３ヶ月ぐらい」
「それでは３ヶ月後、書き上げた小説を僕にも読まさせてくれるかな？」
Mくんはちょっと躊躇っていましたが「わかりました」と答えました。
私には彼の悩みを解決してあげることはできません。
だけど、彼が小説を書くことを応援することはできます。
だから応援することに決めました。
小説の中の不登校の高校生はどうなるのでしょう？
自分のことを好きになれなくても、何か面白そうなことが見つかるといいな。
例えば面白い物語を書くとかね👍
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