『メンヌク』 [開発日誌vol.3]
こんにちは、あからんです。
『メンヌク』開発日誌vol.3は散々だった話とやらないことを決めた話です。
※タイトルが未定につき変わることがあります。
『メンヌク』の前身であるプロジェクトの開発3年目にして起きた悲劇、それはディレクタ不在問題です。開発が長引きディレクタがプロジェクトを抜けて、どうなったか?
まずは私が相談役を呼びました。相談役とプロデューサーが打ち合わせをして、新たな方針が決まりました。そして相談役の提案をもとに敲き台ができました。
しかし、ディレクタを立てないまま、出たアイデアを全部詰め込んだものができてしまいました。プロデューサーと相談役、テストプレイヤーを招待してテストプレイするとマズイことになりました。
「これは…」「面白くないっすね」
「これをこうしたらどう?」「苦痛です」
どれくらいマズイかというと、カレーとアイスとお寿司が食べたいと言う声があったから全部混ぜた丼の出来上がり、おあがりよ!ってな味です。散々でしたね。
「このゲームを作ったディレクタは誰だぁ!」相談役が不動明王のような表情で放った海原雄山のような怒号が室内に響き渡りました。(※脚色です)
「ディレクタ…確かに…いませんね」そう、誰もディレクタをやっていなかったのである。全員が別プロジェクトからの助っ人で、専任のメンバーすらいない状態で起きた悲劇でした。
ディレクションはやることを決めることだと思われがちですが、実は「やらないことを決める」のだと、まさに不動明王のごとく、やりたい煩悩を断ち切るように慈悲深く相談役が語りました。(※脚色です)
次に相談役はターゲットの設定を示しました。
このゲームを楽しむ人はどんな人なのか?非コアゲーマーで、ゲーム。気軽にエンジョイして、ロールプレイを楽しむくらいで遊ぶ人です。ターゲットに対して、できあがったゲームはあまりに複雑になっていました。そこで複雑なことはやらないことに決めました。
プロデューサーがその場でディレクタに任命したのはなんと私でした。もちろん二つ返事でオーケーです。
私に実績はありませんでしたが、せっかくのもらったチャンスです。まずは一ヶ月の間、限界の働き方をして自力でどこまでできるかを挑戦しました。ゲームの案を5本作り、それら全てをボツにしました。●●●時間以上もかけてしまい「働きすぎだよ」とたしなめられました。結局、私は自力ではルールデザインができず、相談役にお願いすることにしました。私は「自力だけで作ること」をやらないことに決めました。
そうしてできたのが『メンヌク』です。
「メンバーを引き抜くという点だけに絞ってみよう」相談役が突然ゲームを思いついて準備をはじめました。40枚弱程度のカードで面白いゲームの誕生、ターゲットのテストプレイヤーが楽しめるものができました。相談役が以前作ったゲームも突然思いついて短時間で作ったそうです、積み上げた経験値の差を感じました。
メンバーを「引き抜く」「奪い合う」「自分のもとに集める」情報戦と争奪戦の応酬戦。1ターン目からクライマックス。2ラウンド目で完結することもあり「もっかい!」をつい言いたくなる。3、4 、5人のプレイルールがあり、プレイ感が全て違います。それでいてトランプより少ないコンパクトさ。1回が短いので「1回だけ」「もう1回!」と繰り返すことでプレイ時間が変幻自在という、意外と欲しいのになかったゲームをお求めの方へ。そんな方にこそやってみてほしいのが『メンヌク』です。
次回はインストが原因でプレゼンを失敗した話を書きます。