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BAR 妻
娘が寝静まった夜。そのお店はシャッターを開いた。
僕が誰もいないカウンターに陣取ると、マスターである妻が、キンキンのグラスに氷をたっぷりぶち込み、ライムを絞る。
そこに、ココナッツミルクを優しく注ぎ込み、追いかけるようにパインジュースも投入。
最後はカットパインをグラスに差し込み、妻特製のノンアルカクテルが完成。
少しこうべを垂れた後、グラスを口元に持っていくと、南国タイムが身体中に流れてきた。
「美味しい」
気がつくと、口からそう漏れていた。
マスターは表情を変えることはなく、目線だけこちらにくれた。
さあ、夜はここからだ。
※実際はあーだこーだ言いながら、「美味しい!」と騒ぎ立てました。