見出し画像

「嫌なことをちゃんと言えるようになった」

瀬戸ツクルスクール生へのインタビュー



先日の上越での講演。
基本的に教育は目の前の状態が成果ではないと考えているので、メンバーたちにインタビューなどはしてこなかった。

今回、上越に呼んでくれた学生さんたちに要望を聞いたところ、メンバーの声が聴いてみたいという要望。

せっかくなのでインタビューを行った。

2学期が始まって、朝のミーティングで、それとなく「インタビューやるからね~」みたいな告知をし、その数日後に極めてランダムに生徒たちをピックアップしてインタビューを行った。
本来であれば全員に問いたいところだったが、初めてのことだったのでとりあえずは少数で。

ツクルで活動してきるときに
「〇〇~、ちょっと時間いい~? 質問に答えるだけでいいから~」くらいのテンションでメンバーを呼び、スマホカメラの前に座ってもらい、3つの同じ質問を小2~中3まで。
・ツクルで毎日なにしてる?
・ツクルにきて学んだこと、成長したこと
・将来のことは考えているか?

その様子はまさに発達段階を可視化するとこうなる!みたいな感じになっていた。

上越の講座でその様子を100名近くの方に見てもらったが、全員から細かいフィードバックをもらうことはできなかった。
現場のプロの目からみたらどう映るのか。
信頼できる学び仲間に観てもらい、フィードバックをもらった。
来年、ツクルの研究がスタートがするわけだが、そこでなにを明らかにしていったらいいのかという点において、ひとつの参考になるフィードバックをもらった。

こういったものは具体性が強すぎて、本質を見逃しがちなところあるから気を付けないといけないが、それでも参考にはなるかなと思う。以下、フィードバック。

インタビュー視聴感想

「嫌なことをちゃんと言えるようになった」



 インタビューで動画では、小5の男の子が「嫌なことをちゃんと言えるようになった」と言えたのが印象的でした。
それまで登場したきた子ども達(小2~小4)とは、答えの内容が少し違っていました。
 将来のことを不安と感じ始めるののも、小5くらいでした。
自分の思いがある時、ぐっと我慢するだけではつらいですし、言い方を違えては相手を傷つけてしまいます。
 だから、この男の子が言ったことは、人間関係形成能力の中でも重要なものだと思うのです。
それを可能にしているものが何かを解明できると、非常に面白く、関係者以外の方への説明にも効果的だろうと思います。

同じようなことは、小6以上の子ども達も多く語っていました。
小6「人と話すのが得意になった」
中1「前までしゃべれなかったけど、人としゃべれるようになった」
中2「人としゃべるのがうまくなった」
中3「自分でやってみようと思うようになった」
中3「自信。昔はスーパーの店員さんに話しかけるのもできなかった。」

一言で言ってしまえば、共同体感覚が開発されたからだと思いますが、個々のストーリーを深堀することで、そのプロセスが見えてくると思いました。

共同体感覚が開発される場


共同体感覚について、「他者に関心があること」と説明されることがあります。ツクルでは、どのような場がそれになっているのでしょうか。①朝のミーティング(クラス会議)で顔を合わせる、②ポートフォリオの掲示、③好きなことをやっていい時間と空間、④強制的に他者に関心を持たせられる場面がない、などでしょうか。

一条校では、①②はできても、③は教育課程(本当は学校長の裁量で編成できますが)、④なんちゃって協働や集団主義の指導の圧、などがあります。
私の印象ですが、今でも多くの学校では、ルールの細分化や権威で押さえつけて、学校の安定化を図ろうとしています。しかし、それは、今あるつながりをも分断し、孤立を深め、人間関係の内閉化を強めてしまっています。実は、多くの学校の教員も孤独です。だから、職員室内でグループ化するのでしょう。

対等性によるつながり

幸せに生きるために、役割は違えど、子どもも大人も対等です。お互いに感謝の気持ちを表すことが大切だと思います。それが実現されないのは、子ども時代、そして公務員は、個に責任があまり持たされないからだと思います。

全部他の人のせいにできるから、感謝も尊敬も生まれないと思います。教員も同じです。担当教諭は「今の1年だけやり過ごせば…」、管理職は「3年だけやり過ごせば…」と思っているかもしれません。

ツクルの子どもたちの多くが、人間関係形成について成長したと言及していることは、対等性のもとに他者とつながり、主体性を発揮している表れだと思います。

貴重なデータを閲覧させていただき、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!