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名古屋もやっと福岡を意識し始めた。インバウンドサミットin中部 感想

今週10月24日に催された『インバウンドサミットin中部』を聴講してきました。3年前にnoteを頑張るきっかけをくれた友人の青木優くんが代表を務める株式会社MATCHAが毎年開催しているイベントで、中部地区をテーマに開催されるのは今回が初めてでした。

ちょうど地域限定旅行業務取扱管理者の資格を取得して、これから名古屋の着地型観光を事業テーマにしようかと考えていた折に今回のイベントのリリースに触れ、すぐ参加を申し込みました。地域限定旅行業務取扱管理者の詳細については次のリンク先の記事をご覧ください:


名古屋と福岡の対比

セッションの中でもたびたびフォーカスされたのは、『名古屋と福岡の比較』です。登壇者のうち、特に名古屋市の副市長・松雄氏はこれをしきりに意識していましたが、個人的には非常に興味深いテーマでした。次にセッションで挙がった定量的な比較の要点をまとめます:

定量的な比較の要点

  • コロナ明けてからの空港利用客数の回復力は福岡空港が頭ひとつ抜けている。中部以外に新千歳や那覇と比べても。

  • 中部国際空港は主要空港の中でも回復が最も悪い部類。

  • 訪日外国人の観光地認知度では、「名古屋」は「九州」「福岡/博多」より高い。ただし「中部」ではかなり低い。

  • 名古屋は消費流入額が大阪市や福岡市よりも相当下回っている。名古屋でお金が落ちていない。

  • 2023年の中国国慶節シーズンでの都市別滞在実績について、2019年(コロナ以前)比で福岡はプラス、名古屋はマイナス

セッションではいずれも具体的な数字をスライドで示してくれましたがここでの掲載は控えます。

福岡移住の経験がある名古屋市民としての所感

私は2016年、福岡市に半年ほど移住した経験があります。そこから名古屋にUターンした後も年に数回は福岡を訪ねることを続けていたので、「福岡に対する名古屋」はこの7年、自分の中でどうしても失くせない視点でした。

今回、特に松雄氏の話を聞いて、正直「市はようやく自覚したのか」という気持ちになりました。批判と評価、半々です。

名古屋の驕り

自分がセッションをメモした中に「名古屋が福岡に負けている理由がわからない。観光はともかくビジネスではトヨタがあるので負けないのだが」という松雄氏の発言がありました。一言一句同じではないですが、ニュアンスとしてはそのような発言があったと記憶しています。この発言こそ、自分が名古屋にUターンしてからずっと感じていた「名古屋の驕り」の姿勢そのものです。

松雄氏の発言の通り、名古屋(および愛知県)はトヨタのお陰で産業的な地盤が非常に堅固です。また産業革命以前に遡っても、かつてこの地が織田信長という天下人を生み出した背景には、広大な濃尾平野の豊かさに裏付けられた経済力の強さがありました。

そんな歴史的背景もあり、名古屋・愛知・尾張という土地はその経済力の強さを守るためというべきか、非常に保守的な地域です。変化を好まず、人材の流動性も低く、結果として地域の外で起きている潮目を見る力がとても弱い。松雄氏の発言にはこの性質がよく出ていると感じました。

悪いことだけではない

しかし、セッションの最後には希望を感じました。「後れを取っている」という状況をようやく自覚し、挽回するための向こう10年でのグランドデザインをちゃんと考えていることもしっかり話してくれたからです。市としてそれなりにヴィジョンを持っていることがわかりましたし、もっといろんな場面で多くの市民に届くように発信してほしいと思う話でした。

外からの評価を借りる

松雄氏の話でもたびたび登場しましたが、やはり『タイム』誌に「世界で最も素晴らしい場所50選」として名古屋が選出されたのは大きなことです。

このタイム誌事変の数年前、名古屋は市場調査で「最も訪れたくない都市」という評価を得ていました。名古屋は昔から他県からのディスをものすごく受けてきて、そこに住んでいる人たちも自虐に慣れてしまっています。名古屋が『いい場所』と評価されることに慣れていないし、自分たちの口からも「名古屋はいい街」と胸を張って言えませんでした。

しかしタイム誌という権威から客観的に評価されたことで、市としては「『素晴らしい場所』として名乗りを挙げてもいいんだ」という、自虐をやめるためのお墨付きを得たんじゃないでしょうか。松雄氏の口ぶりからはそんな印象を受けました。保守なので権威には弱い。

市民の愛着

セッションで中の屋株式会社の香川さんが「自分の扱うサービスを好き・愛せると思えるかどうか」「好きならば自ずとPRできるだろう」ということを仰っていました。

私が福岡市や、以前足繁く通っていた岐阜県郡上市で出会った人たちは、みんなその土地を愛し、自分の住む街のいいところを語ってくれる人ばかりでした。そんな人たちに出会えたからこそ自分も福岡や郡上という街のことを好きになり、名古屋から何度も足を運び続けました。

名古屋を好きだと胸を張って言える人をどれだけ増やせるか。香川さんが仰っていたようなことが、おそらくこれからの名古屋の観光にとって最も難しい課題になるのではないかと思います。

誰がリーダーシップを振るうのか

名古屋の誰もが名古屋を好きだと言えるようになるために最も必要なことは、誰かが強いリーダーシップを発揮することだと私は考えます。そしてそれを担うのは、名古屋市長であるべきです。ここに名古屋の根深い問題があります。

私が福岡に住んでいた頃は、元アナウンサーの高島宗一郎氏が福岡市長の2期目を務めていた時期です。高島市政はIT・ベンチャー企業の誘致など様々な改革に大変な力を入れて、着実に成果を上げてきました。詳しくは同氏の著書『福岡市を経営する』等の文献をご参照ください:

現在の福岡市の躍進は、高島市長の強いリーダーシップ抜きには間違いなく語れません。高島市政の福岡市で、短い期間であっても生活できたことは本当に幸運でした。

さて、名古屋では長らく市長を河村たかし氏が務めてきました。たびたび、不名誉なニュースで市外県外に名を轟かせる人です。

彼は彼なりに名古屋を愛して市政のために尽力しているというのは一応わかるのですが、人間性としてダーティな部分が多すぎ、名古屋市民の大半が彼をリーダーとして支持しているとはとても言えません。前回の選挙で河村氏が当選したとき、次点とは本当に僅かな票差だったことからもそれは明らかです。

彼は次の市長選には出馬しませんから、次の名古屋市長がどんなリーダーシップを振るうのかによって、松雄氏の語ったヴィジョンの現実性が大きく変化すると思います。高島市長のような、「この市長が名古屋を率いてくれるなら、名古屋はきっといい街になると胸を張って言える」……そう思えるような人物が立ってくれることを期待します。

結論

話が変な方向に逸れました。結論として、タイム誌の件を機に「大きな観光チャンスの流れが名古屋に来ている」のは間違いありません。それを拾えるかどうかはともかくとしても。松雄氏の話は本当に市民として、そしてこれから名古屋で観光に取り組もうとする一事業者として、非常に頼もしく思いました。

もちろん本会が「インバウンドサミットin中部」と銘打っていたように、名古屋が中部の全てではありません。自分も名古屋という狭い範囲にとらわれず、大きな視点で捉えていくよう意識して取り組みます。

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みずのつくる
フリーランスでホームページ制作のコーディング外注を請け負っています。詳しくは以下をご覧ください。ご依頼お待ちしています。 https://note.com/tsukurumizuno/n/n533ff49fabbf

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