映画の感想:Winny
前回のエントリを機にアウトプットを再開しようという気運こそ高まったものの、結局なんも書かないまま一ヶ月経過。
こりゃまずいと思い、最近珍しく映画を立て続けに観に行ったのでその感想を書くことにします。ネタバレ前提で書いていくので、気にする方はご自衛ください。今回取り上げる映画は『Winny』です。
かつて一斉を風靡したファイル共有ソフトWinny、その開発者を摘発した事件に関する刑事裁判の再現映画です。自分もその時代のインターネットを生きた人間なので、事件のことは当時からよく知っていました。
退屈への懸念
鑑賞前の懸念として「退屈じゃない?」という想像がありました。テーマ的に、観客の注意を映画に惹きつけるのが難しいんじゃないかと。
最近、劇場で映画を見るのがしんどいと感じることが増えました。高くない料金を払って、暗い室内で身動きもせず音も立てずトイレも我慢して、興味もない予告編を15分ぐらい見せられたあとで2時間画面を見続ける、そして観客ガチャのハズレあり……と、それだけのハードルを超えてでも劇場で見たいと思える映画がなく。
そして映画自体も、それに応えて100%画面に引き込むような展開を2時間続けてくれるわけではありません(3時間ノンストップでグイグイ引っ張ってきた『ダークナイト』は本当に衝撃的だった)。
そんなわけで自分は正直映画館でスマホ触る人の気持ちもなんとなくわかるし、実は今回、自分もそれをちょっと想定した席予約をしました。具体的には、WEB予約画面でガラガラな上映回であることを上映直前に確認して、最後方の端の席を上映直前に予約しました。
懸念の払拭
結局蓋を開けたらスマホは触りませんでした。「冗長だな」と感じる前に新しい場面に移るようなテンポよくカットを進める作風で、退屈はほとんどしませんでした。
1点、金子氏の宇宙への憧れみたいな回想をキャラ付けとして挿入してありましたが、そこらへんは映画的な脚色に見えて微妙だったかな。金子氏の実際の成長の背景にあった心情ではないように見えた。
逆に、主任弁護人が警察の自白強要をひっくり返す法廷尋問のシーンは、あえて映画的に演出することが却ってエンタメ的で爽快感のある味になってましたね。『逆転裁判』だよあれ。
役者評価
金子氏を演じる東出昌大について、自分は彼がデビューした『桐島、部活やめるってよ』が本当に好きで何度も繰り返し見てきたので、ちゃんと顔と声と名前を一致して覚えている役者でした。
何年か前に不倫でバッシングされて表舞台にはあまり出てこなくなりましたが、少し前から「山に移住して狩猟生活をしている」という近況が報じられていますね。
自分も一時期はそういう暮らしの可能性を模索した人間なので、とても面白い生き方を選んだなぁと思って見てました。
彼のそういう俗世と離れた暮らしで磨いた感覚が、決して俗人とはいえない非凡な能力を持っていた金子氏を演じる役作りに生きたんだろう、とは見て取れました。
壇弁護士を演じた三浦貴大さんは、昨年末の『仮面ライダーBLACK SUN』でしか知らなかったのですが、ビルゲニアと同じ人には全く見えなかったな……。この人もインタビューを読んでみたら、なかなか共感できる話をされてました。
前項で話題に出した主任弁護人役の吹越満も、異能の弁護士の怪演ぶりが心地よかったですね。
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本当は『シン・仮面ライダー』との二本立てにするつもりで書き始めたんですが、Winnyだけで予想よりも長くなっちゃったので、シンの方はまた別途書くことにします。
(執筆時間:約50分)