卵の殻をけずる試み
つくるまなぶ京都町家科学館 ものづくりナビゲーターのひらしょーです。
今回のお話はけずってまなぶ講座を公開中の裏話。
なにかの役に立つかもしれないし役にたたないかもしれない。でもこんなことができるよってアイデアです。
けずれるってたのしい
みなさんも、こどもの時に石どうしをぶつけて割ったり、粉にしたり、泥を固めて泥団子にしたりと素材に触って遊んだ記憶があるのではないでしょうか。
物が持つ性質を物性といいますが、こんな言葉をつかわなくても、3歳児は素材の違いを全身を使って(時には食べて)体験します。力を加えると形が変わったり、泥団子を光らせるのは代々子供達の中で継承されている遊びのようです。
今回のテーマである「けずる」。物性を理解するための1つの手法とも言えます。いざ削ってみると、やってみて気づく疑問がたくさんあります。
講座の中では、工具をつかっていくつかの素材にアプローチして楽しみながら自分の中に問いを立てていきます。なかなかおもしろい講座ですのでご興味があればぜひご参加を。
卵をけずってみる
先日の講座後、晩御飯を作りながら卵の殻が削るには良い素材かもと気付きました。(問題を可視化することを見える化と呼ぶように、講座の後は全ての物が削れる/削れないで見える「削れる化」になってる 笑)
まず卵の上下に削って小さい穴を開け、そこから注射器で空気を送りこんで中の生卵を出し切る、そして水で中を洗います。
けずったらなにができるかな?イメージは自由に広がっていく。
まずはどんな穴が開けられるのか試してみる。小さい穴をまず開けて、コーン型のヤスリで穴を広げると正円っぽい穴が開けられることがわかった。
回転は早めで優しく削ると割れにくい。やってみて素材の反応を手で確かめながらやると、これ以上削ると割れるのがなんとなくわかるようになる。これは文章では伝えることができない体験。
これはただの穴の空いた卵だけど、大きさを変えて考えるとこんな建築とかあってもいいし、中に木がたくさん生えてる空間になっていたらかっこいいよね。
穴に何かつけてみる
削ってある程度好きな穴が開けられることがわかったので、他のものを組み合わせてみる。卵にイヤホンを付けただけで新しい家電みたい。
どんな音が聞こえるのかな?卵を温めながら、体温に応じた選曲をしてくれる?もしくは卵型のデバイスだったら親鳥が卵を温めるデータを上手に集められる?鳥のための音楽?などなど、かってに想像が広がっていくから面白い。
卵に取手の金具をつける
卵に金具をつけてみると支点が固定される。水を入れると重心が変わって傾いたりしてシシオドシみたいに動かないかしら。植物がここから生えていてもいいし、内側を塗装してしまえば水が漏れる心配もないかも。
水漏れしなければポットにできたり。。。そう言えば普通のポットはつるっとした焼き物が多いけど表面が卵くらいのマットだったら滑りにくいし影の陰影が変わってかわいいかもしれない。
卵にスイッチがついてたら?
トグルスイッチは見た目からして、スイッチON /OFFしたくなるワクワクな形状に見えるのは私だけでしょうか。
卵のスイッチ入れたら卵が光る?動き始める?喋り始める?中から何かが出てくる?
ただのスイッチだけど、卵についているという状況なだけでストーリーが産まれていると気づく。ほかにはどんなことが起こるかもしれないかイメージしてみて!
ゼンマイがついてたら?
ゼンマイ回すと歩きそう。どんなモーションで動くとぐっとくるかな?ゼンマイというより魚の尾びれにも見えるから潜水艦みたいになっててもかわいい。
部品を足して車やロケットに作り込んでも多分かなりかわいいものに出来上がりそう。
そのへんにある素材をつけてみるだけで、もともと卵にしか見えなかった物が、家や家電、おもちゃやロケットなどいろんなものに見えてきました。
「けずる」はあくまでも手段で、その後いろんなものを削ってみたり、空いた穴にさまざまな組み合わせをするとアイデアが広がったり、ストーリーが生まれたりします。
妄想を膨らます力と実装させる力も両方もっていれば、頭でかんがえるだけで生まれるアイディアより力強いものが生まれる。それが作りながら学ぶことにつながっていくと考えています。
中身はスタッフ(こどもたち)が美味しくいただきした。
最後に残った今回の”副産物”の全卵2個つくったガトーショコラ。おいしくいただきました。
平河