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アメリカの大学で博士号の学生がしていること
こんにちは。
今日はアメリカの大学で博士号の院生がしていることについて少し書きたいと思います。
授業
専攻にもよるのですが、大体1年目は授業を各学期3つ取ります。
基本的に、秋学期(前期)と春学期(後期)に授業を取りますが、後で説明するGraduate assistant(経済支援受益者)の人の場合は、条件に1年間と9ヶ月の2パターンあり、前者の場合は夏学期にも授業を取らなければいけません。
後者の場合は夏学期は任意になります。
ただ、教授も夏休みを取るので、良い授業があるかどうかは運次第です。
個人や選考にもよりますが、文系なら基本的に2年間は授業を取ることになると思います。
私のルームメートは理系(生物学専攻)なので、授業受けていたのは1年間でけでした。2年目からは基本的にラボで研究して、学期に1つセミナー(講義ではなく会話形式で、基本的にはレポートなどで評価がなされる)を取るような感じだったようです。
研究助手・講義助手(graduate assistant)
さらに、授業の課題とは別で、理系専攻の場合は(ほとんどの人が経済援助等を受けているので)、授業とは別で研究アシスタントや講義アシスタントの仕事もします。
文系では、運良く資金援助を得られている人は同じようにそういった仕事があります。
ちなみに経済援助は、funding や graduate assistantshipなどと呼ばれます。
基本的には、上記の仕事をやる代わりに学費免除と健康保険の補償が与えられ、手当ももらえます。
つまり、アメリカの大学の博士号ではお金を払わずに、むしろもらいながら就学することができます。
これがアメリカで博士号を目指す人が多い理由の1つだと思います。
卒業までのステップ(文系の場合)
文系の場合は博士号卒業論文(dissertation)を書き終えることを持って卒業・博士取得となります(ちなみに理系の場合は、卒業論文の代わりに複数の研究論文の出版が条件になることがほとんどのようです)。
dissetationを書くどころか、研究をスタートさせるまでにステップがいくつもあります。
まず、
2年生の終わりまでに、あるいは少なくとも後述するqualifying examinationという試験を受ける1学期前までに、4人の教授を自分で選び、dissertation committeeというグループを組成します。
4人のうち1人は必ず所属学科外の人でなければいけません。
なので、2年生の終わりまでに組成をしたいとすると、それまでの学期でできるだけたくさんの教授とコミュニケーションを取っておく必要があります。
授業を秋と春だけ取るとなると、4学期×3授業なので、最多で12人の教授の授業が受けられますが、指導教授の授業は少なくとも2つは取ると思うので、実質11人になると思います。
また、文系の場合、定性的研究方法論(qualitative research methods)と定数的研究方法論(quantitative research methods)の授業を少なくとも合計で9単位(3つの授業)を取らなければなりません。
あなたが定数的研究をするのであれば、定数的研究方法論の授業を教えてくれた先生にDissertation Committeeに入ってもらうことをお願いするのはありだと思いますが、定性的研究の場合、その教授にお願いするのは難しいと思います。
理由はいくつかありますが、大きな理由としては、その先生が定性的研究方法論の教授だとしても、定性的研究は多岐にわたる(定量的研究も実はそうですが)ため、定性的研究方法論の先生が、あなたの分野の研究方法にあなたの指導教授より詳しいという可能性は低くなります。
指導教授の方が研究方法論に詳しいとなると、研究方法論の授業の先生がcommitteeに参加する意義がなくなってしまいます。
ということで、実質選べる教授は9人になります。
長くなってしまったので、committeeについてはこれぐらいにして、次に進みたいと思います。
文系に関しては、大体の人が2年目の最後から3年目の最後のどこかでqualifying examinationという試験を受けると思います。
これはdissertationに「取り掛かる」資格があるかということを確かめるために行われます。
qualifying examinationに通った後は、取り残した授業があればそれらを取りながら、proposalを書きます。
proposalとは文字通り、どういった卒業論文するかという内容の提示で、文系の専攻では、基本的には卒業論文の第一章から第三章まで(Introduction、 Literature Review、Theoretical Framework)の提出になります。
proposalが認められたら、IRBという部署に「これからこういう研究は始めますので、許可をお願いします」という申請書を出し、それに許可が出たら、実際にデータ収集が始まります。
研究内容によりますが、データ収集には半年から一年、長い人では二年かかることがあります。
ただし、公共のデータを使う場合はIRBの許可も入りませんし、データ収集の時間も要りません(ちなみに私は公共のデータを使う方向で進めていますが、これでいけるかどうかはまだ分かりません。Wish me luck!)。
データ収集の後はデータ分析と実際に論文の執筆になります。
これも個人差がありますが、大体半年はかかるようです。
このように、卒業論文だけでも大変なのですが、さらに、卒業後の就職に有利になるためにするべきことがあります。
それが次のセクションで話す出版物です。
研究論文の出版
文系でも、卒業後に教授として働きたいなら卒業までに論文などを3つ出版することが当たり前となっています。
なので、卒論研究とは別で研究論文を単独、あるいはクラスメートや指導教授などと共同で取り組み、出版を目指します。
私のような文系の場合、book reviewというものも出版物の1つとして
カウントされます。
Book review とは、その名の通り、本のレビューです。
本の感想が出版されるって面白いですよね。
私も読んだ本のreviewを書いて、あるジャーナルに送ったものが、「フィードバックを元に推敲して再提出してください」と言われました。
かなり書き換えてしまったせいか、今日その再提出したものの評価が返ってきて、“Rejection”となりました。。。
初めてのbook review でしたし、初めての推敲だったので、この失敗に学び、次に活かしていこうと思います。
よくあることだと分かってはいますが、やはり自信があった分だけ落ち込みますね。。。
この夏は研究論文も執筆しようと思っているので、こんなことではへこたれていられませんね。
追記(2025年1月):
このbook reviewは時間はかかりましたが、無事に12月にAnthropology and Education Quarterlyという学術雑誌に掲載されました。
いかがでしたでしょうか。
大雑把ですが、これが博士号課程の学生がやっていることです。
他にも博士号課程中にやるべきことややった方がいいことなどがあればまた書こうと思います。
では、また次回。