10月の読書記録 ~駆け足で走り去る読書の秋~
こんにちは。
京都芸術大学 通信教育部 空間演出デザインコースに在籍するひじきです。
いよいよ秋が来たかと思ったらすぐそこに冬の気配を感じ、早々にストーブを出すべきか悩んでいます。
9月は読書量0冊でフィニッシュというなんとも不甲斐ない結果でしたが、今月はそれなりに読書が進みました。
というのも、レポート課題の鬼門として鎮座する(後回しにしている)「生活空間デザイン史」にいよいよ取り組み始めたからです。
この課題は「近代日本の作家たち」という書籍に掲載されている建築家の中から3人を選び、その分析および関連性を記述するというもの。
建築界の歴史認識すらままならない建築ビギナーにはかなりハードルの高い課題に立ち向かうべく、借りてきた積読の山に対峙した10月でした。
とはいっても建築関係の本ばかりではなく、デザイン関係の本にも寄り道をしました。
というわけで、いくつかオススメをご紹介します。
画文でわかる モダニズム建築とは何か
建築史家であり、自ら建築の設計も手がける藤森照信氏の著書「人類と建築の歴史」の中からモダニズム建築に関する項を抜粋し、数々の建築イラストを手掛けてきた宮澤洋氏がわかりやすく画文に起こした本。
古代ギリシアからはじまり約2000年近く続いてきたいわゆるヨーロッパ的な建築様式が、たった30年ほどで鉄とガラスとコンクリートでつくられた四角い箱に置き換わったのはなぜなのか。
世界的な流れやキーパーソンについてイラストでわかりやすく書かれているので、サクッと読める。
中でも、日本の伝統建築がモダニズムに大きな影響を与えたという話は興味深く、歴史と絡めて理解するとこんなに面白いのかと実感する。
なんとなく知った気になっていたモダニズム建築の解像度が少しだけ上がった気がする。
幾何学パターンづくりのすべて ファッション、建築、デザインのためのリピートパターン制作ガイド
回転、並進、鏡映、映進という4つの原則をもとに様々な幾何学パターンの仕組みを解説。
シンプルでありながらも要素の形状や配置によって無限のバリエーションを生み出す秘訣が書かれている。
また、シームレスパターンやエッシャーパターンについても非常にわかりやすく、これを読んだら誰でも実践できるという意味で非常に有用。
イラレスキルの練習として、パターンづくりを趣味にするのもいいかも。
ブルーノ・ムナーリ かたちの不思議 1~3
世の中の円形、三角形、正方形で構成されたものを集めた図鑑的な本。
あらゆる形の最小単位といえる丸と三角と四角。
意識をしていないだけで、身の回りには数えきれないほどの丸、三角、四角が潜んでいる。
シンプルだからこそ奥が深い。まさにブルーノ・ムナーリならではの着眼点が詰まった本。
パッケージデザインを学ぶ 基礎知識から実践まで
パッケージの素材、形、印刷、内容物の種類によるパッケージの違いといった基礎的な部分からそれぞれの具体的な実例とそのポイント、デザインプロセスなど網羅的にパッケージデザインを学べる入門書的な本。
地域の農産物のパッケージをリデザインするという「ローカルデザイン」の課題に行き詰ったのでなにかしらのヒントを得るために読んだのだが、「なんとなくおしゃれなだけのデザイン」から脱却するためのヒントがたくさん散りばめられていた。
いわゆる事例集とは違って、理論や目的とともにパッケージングの意図が書かれているので、コンセプトをパッケージに落とし込む際の考え方が身に着きそう。
おみやげのデザイン - パッケージで魅せる全国のおいしいギフト
おみやげパッケージの事例集。
地域密着型のおみやげが多く、比較的新しい物から歴史あるものまでバリエーションも多い。中でも鬪雞まんじゅうは秀逸。
商品のイメージとあえて離れた目を引くものや、思わず手に取りたくなるかわいいもの、その発想はなかった!と感心させられるものなど発見と学びが多くあり、今後パッケージデザインをしていくなら手元に置いておきたいと思える一冊。
パッケージ事例集はいくつか持っているが、他の本と被る商品がほとんどなく、個人的には資料としてもかなり有用だった。
憩うためのパッケージ・デザイン コーヒーとお茶
こちらもパッケージの事例集ではあるが、コーヒーとお茶のパッケージのみを集めているというのが特徴的。
コーヒーとお茶は商品そのものの見た目での魅力発信や差別化が難しい分、パッケージデザインの果たす役割が非常に大きいと感じた。
同時に、同じ題材でこれだけのバリエーション、印象の違いを与えられる素材としての面白さもある。
パッケージを通して「憩いとはなにか」を考えるのはTW課題の「五感の空間デザイン」のヒントにもなりそう。
本のある空間採集: 個人書店・私設図書館・ブックカフェの寸法
日本全国の一風変わった小規模書店ばかりを集めた本屋の図鑑的な本。
味のある内観パースと詳細なコメント、読み応えのあるレポート。本屋好きにはたまらない1冊。
展示什器や店内の寸法も記載されているのでTW課題「小さなショップ」の参考にも最適。
知っている店も載っていたが、改めて俯瞰的に見てみるとまた違った魅力を感じた。本という共通のコンテンツを使いながらも、これだけのバリエーションがある本屋という空間の持つポテンシャルは非常に高い。
以上、今月の読書記録でした
10月の総読書数は16冊。
建築以外の本ばかりの紹介となってしまいましたが、実際は建築関係の本もいくつか読んでいます。これがけっこう面白い。
建築家の生きざまと建築物をリンクさせることで知的好奇心が刺激され、いまさらながらに建築に興味が湧いてきています。
建築系課題はもうレポートしか残っていないんですが…。
今月は結構いろいろな本を読めたので、この調子で積読を消化していきたい…!
それではまた来月。