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12月-1月の読書記録 ~達成感と油断大敵~

こんにちは。
京都芸術大学 通信教育部 空間演出デザインコースに在籍するひじきです。

「やっと」というべきか、「いい加減に」というべきか、とにかくTR課題「生活空間デザイン史」を書き終えました。

振り返れば課題に着手したのが10月。
卒制着手に必須のこの課題。
「いつかやろう…」と後回しにした結果、気付けば「ここで単位を取れなければ来年一年を棒に振る」というがけっぷちの状態に。

建築家の基礎知識ほぼ0の状態からここまでやりきったという感慨深さと、終わってみればなんだかあっけないなぁという感じもありつつ、無事レポートが通ることを祈って2月を過ごすことになりそうです。

年末は何かと用事が立て込み、読書記録を書く時間もなかったので今回は12月・1月合併号ということで書いていこうと思います。

というわけで、今月のオススメ本の紹介です。

究極のロゴデザイン: 精鋭クリエイティブディレクター、アートディレクターの思考と表現から学ぶ。


2年次後半から3年次の課題になってくるとコンセプトからブランド名を考え、ロゴを制作するという課題も増えてきます。
自分も含めて多くの人はいままでロゴ制作なんてしたことがなく、なにからどう考えたらいいかもわからないはず。

この本はデザイン業界の第一線で活躍するデザイナーたちがどのようにロゴを作っているかを知ることができます。
写真、作例が豊富なのに加えて、ロゴに使用されているフォントが記載されているのもポイント。
ロゴ関係の本はいくつか読んできましたが、質、ボリュームどちらをとってもこの1冊があればとりあえずは十分といった感じです。(その分、重量もそれなりにありますが…)

ちなみに、自分の場合はこの本をパラパラめくりながら作りたいブランドのイメージに近いロゴに付箋をつけ、改めてそれらを俯瞰しつつ具体的なデザインを固めていくような使い方をしています。


[改訂版]実例付きフォント字典


Adobeユーザーには自由に使えるAdobe Fontsというサービスがあり、なんと2万種類以上ものラインナップがあります。

いままではその中からなんとなく好きなフォントや有名なフォントをいくつかダウンロードして使いまわしていたのですが、デザインに合わせたフォント選びを意識したいと思うようになって手に取ったのがこの『実例付きフォント字典』という本です。

タイトルの通り、和文書体を掲載したフォントの辞典です。
その数なんと約2496種!
そのうち179書体は実例としてフォントが使用されたデザインが載っており、「このフォントでこういうデザインが作れる」というのが非常にわかりやすいです。
すべてというわけではないですが、実例付きのフォントのほとんどはAdobe Fontsでダウンロードできるものなので課題制作にもなからず役に立つはず!


家具のデザイン―椅子から学ぶ家具の設計


3年次TW科目の「五感の空間デザイン」は空間かプロダクトのどちらかを選択して取り組む課題なのですが、プロダクトを選択した場合は家具のデザイン、設計、模型制作をすることになります。
とはいえ、いままで図面といえばほぼ空間のみで、いきなり「家具のデザインして三面図かいてね」といわれても困る人は多いのではないでしょうか。(自分はそうでした)

それで読んだのがこの本なのですが、椅子の企画からデザイン、設計、製作にいたるまで網羅的に書かれているので、なにをどうしたらいいかわからない自分のような人におすすめです。
例えば座面の広さや高さについても、人が座りやすい、くつろぎやすい姿勢というのがあって、それをどう椅子のデザインに落とし込むか、また、逆に座面の形によっては足を圧迫して血行を悪くする可能性があるなど、感覚的にデザインするだけではわからない部分も書かれていて非常に参考になります。
まずはこの一冊を読めば基本的な部分は抑えられるはず。


絵を描くのが好きになれる本 一人で手軽に始める日常のスケッチ


「スケッチが上手くなりたい」というのは入学当初からずっと思っていたものの課題以外でスケッチをする時間がなかなか取れなかったのですが、ある程度課題の目処が立ってきたので本格的にスケッチをしたいと思って読んだ本です。

この本は大きく、①絵を描くためのマインド②スケッチの道具③スケッチに使える技法の3つのパートに分かれているのですが、なかでもマインドについての内容が非常に良かったです。

「人は元々絵を描きたいという欲求がDNAレベルで組み込まれているが、年を取るにつれ教育や周りの評価によって苦手意識に変わってしまう。」とか、「絵を描くのは手の力ではなく目の力。観察力が絵を上手くする。」など、絵を描くことに対するハードルを下げながらもやる気を引き出してくれる金言がたくさん書かれています。
あくまで「自分のためだけに日常をスケッチする」ことが目的で、絵画的な絵を描くための指南書ではないというのもポイント。
絵を描くハードルがぐんと下がります。

著者は元々建築を学んでいたというのもあり、木やパースの描きかたなど建築系の学生にも役立つような内容になっているので、スケッチに対して苦手意識のある空デ生にこそ読んで欲しい。

ちなみに技法的な部分は著者のYoutubeチャンネルでも観れますが、機械翻訳的な日本語字幕なのでこの本で読むとより理解が深まります。


コミック 文体練習


「コミック 文体練習」という一見するとどんな内容かわからない本ですが、初めて読んだときは「やられた!」という衝撃を受けました。

フランスの小説家レーモン・クノーが書いた「文体練習」という本があるのですが(ちなみに未読)、あるひとつの短いストーリーを99通りの文体で表現したという本(らしい)です。
つまりこの本はそれのコミック版であり、ある男の何気ない日常を切り取った1ページの漫画を99通りの方法で描き分けているんです。

これは実際に読まないと魅力が伝わらないのが残念ですが、ページをめくるたびに「なるほど!そう来たか!」という面白さがあって、デザイン的な視野を広げるための学びとしても最適だなぁと感じました。
「自分ならどの視点から表現するか」を想像しながら読むとよりおもしろいです。


ないもの、あります


堪忍袋の緒や舌鼓、転ばぬ先の杖など「言葉としてはあるけど見たことのないもの」を扱う店『クラフト・エヴィング商會』。
それらの商品の使い方や注意事項が書かれた商品カタログとでも言えばいいのか、そんな不思議な本です。

思えば、誰もが子供の頃に、「針千本、のーます」などと、簡単に口にしたり、耳にしたりしたものですが、よく考えてみますと、この刑罰、実に恐ろしいものではないでしょうか。

(中略)

「針千本、のーます。指きった」と、約束が交されたあと、おもむろに本品を取り出し、相手に確認してもらえば良いのです。
「これが、その針千本である」と。
こうなると、そう簡単には、嘘などつけなくなるというものです。

『針千本』

まるで落語のようにオチが利いた文章はクスっと笑える内容でありながらも、どこか「本当に実在するのでは?」と思わせるリアリティがあり、実におもしろいです。

この本を出版しているクラフト・エヴィング商會は他にも似たコンセプトの本を出していて、その中でも、未来から届く架空の書物を集めた『らくだこぶ書房21世紀古書目録』は本好きにはたまらない一冊です。
架空とはいっても、装丁から中の文章にいたるまで見事に作りこまれた21冊の本の実物の写真が掲載されていて、そのクオリティの高さと発想の豊かさには脱帽です。
こういう遊びゴコロがありながらも本気で作られた作品、大好きです。


以上、今月の読書記録でした
12月・1月の総読書数は23冊。
今月でついに卒制前のTR科目とS科目がすべて終わり、残すはTW科目のみ。
(TRのテストはまだありますが…。)

残る2つのTW科目はそれなりに重い課題なので気を抜かずにこのまま走り抜けたいですが、多少は時間もできそうなので課題とは関係ない積読も消化していきたいと思っています。

それではまた来月。

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