7月の読書記録 ~停滞したのでとにかく本を読む~
こんにちは。
京都芸術大学 通信教育部 空間演出デザインコースに在籍するひじきです。
折り返しの夏季シーズン。
なんとかTWとTRを提出したいと思いつつも、遅々として進まない課題たち。
「すまいの空間構想」の事前課題、「小さなショップ」、「空間構成材料」、「インテリア計画論1」と、建築系科目が目白押しで何をどう進めたらいいのかわからず四苦八苦。
コンセプトから図面への落とし込み、平面詳細図と矩計図の描き方が全くつかめなかったので、今月はとにかく本を読みまくって何とか糸口をつかもうともがき苦しんでおりました。
というわけで今月の読書記録です。
ストーリーで面白いほど頭に入る 木造
平面図を書く以前に、構法や各部材の名称に関する知識が皆無だったので、まずはマンガで手っ取り早く学んでしまおうと選んだ本。
課題では1/20の詳細図を描く必要があり、「この線なんの線なん?」状態だったのだけど、木造建築の流れと用語を順序立てて学べたので取っ掛かりとしてはよかった。 漫画なのでストーリー展開上、建築とは直接関係ないパートも多々あるけど、まぁそれはしょうがないかな。
世界で一番楽しい建物できるまで図鑑 木造住宅
木造住宅の基礎から内装まで工程に沿って大きめのアイソメ図で解説されている。通し柱と管柱の違いや外壁と内壁の下地材など文字と図面だけではわかりづらい部分が視覚的に説明されているので非常にわかりやすい。
この本に書かれているイラストを図面に落とし込み、その図面を頭の中で立体に戻せるようになったら一人前ということなんだと思う。まだそこまでできてはいないが…。
詳細図解 木造住宅のできるまで
上で紹介した「世界で一番楽しい建物できるまで図鑑 木造住宅」と内容はほとんど同じだが、こちらはより詳しく細かく書かれている感じ。作業にかかる工期が記載されていたり、建具やエアコンの設置、植栽の手順まで網羅されているので、木造住宅の施工をより具体的にイメージできる。実務として建築に関わりたい初学者が入り口として読むのに最適かもしれない。
ワンポイントアドバイスをしてくれる職人のイラストがかわいい。
ぜんぶ絵でわかる 木造住宅
「見た目は屋根が9割」「窓は立面から考える」「よい間取りは線が少ない」など、他の本とは違ったアプローチで木造住宅の設計のポイントを解説している本。
「いわれてみれば確かにその通り!」と納得できるような内容が満載で、コンセプトを考えたけどなにから手を付けるべきか悩んでいる人はとりあえず読んでみるといいかもしれない。
最もくわしい屋根・小屋組の図鑑 改訂版
屋根に特化し、形状や断熱、素材、架構といったジャンルごとに事例とともに解説している本。特に形状に関してはそれぞれのジャンルごとに様々なパターンの事例が図面とともに掲載されているので、ベーシックな形から発展させたいと思っている人にもおすすめ。
この本を読んでから、街中にある住宅の屋根の形状を意識するようになった。
間取りのすごい新常識
興味のあるところをピックアップしつつ、サクッと流し読み。 「新常識」=「最近の流行り」といった感じで、平屋、土間、スモールハウスなどを取り上げてそれぞれの間取りのポイントと実例を紹介。
他にも「動線から考える間取り」、「吹き抜けや開口部のルール」、「収納のつくり方」など他にはない切り口で間取りを紹介していてなかなかに興味深かった。 特に動線のパートでは「快眠動線」「ご近所付き合い動線」「薪ストーブ動線」など刺さる人にしか刺さらないニッチな例もあっておもしろい。 課題に取り組む際にはコンセプトを固めてから改めてじっくり読みたい。
写真も載っているが基本的には平面図中心の構成なので、良くも悪くも図面を読める人向けではある。
ヤマダの木構造 改訂版
山田憲明氏が設計した作品をもとに構造の解説をしている「事例編」と、木造に関する相談に答える形で解説している「基礎知識編」からなる本。
取り上げられている事例はかなりハイレベルで、正直なところ建築初学者の自分には真似することすらできないが、ありきたりな木造建築から脱却したい建築学生にはめちゃくちゃ刺さりそう。 基礎知識編もその辺の解説本からさらにもう一歩踏み込んだ内容が書かれているので本気で建築を仕事にしたい人は一度読んでおくと良いかもしれない。
グラフィックデザイナーだからできるブランディング
グラフィックデザイナーである内田喜基さんの著書で、いわゆる事例集なのだけど、リサーチからラフ案、クライアントへの提案、最終的なパッケージへの落とし込みまでかなり詳細に説明されているので非常に参考になる。
試行錯誤を繰り返しながら最終的なデザインにいたるまでの過程と採用されなかったボツ案についてここまで書かれている本はあまりないので、見た目的なデザインというよりは思考法の参考書といえるかもしれない。
ちなみにオンライン講座のSchooではこの本から抜粋した内容のセミナーもされているので、興味のある方はそちらもどうぞ。
アートディレクター内田喜基のブランディング|オンライン動画授業・講座のSchoo(スクー)
コンセプトのつくりかた
任天堂のWiiの生みの親である玉樹真一郎さんがコンセプトのつくりかたについて書かれた本。
「そもそもコンセプトとは何か?」という問いからはじまり、コンセプトづくりに必要な4つの原理、実際のコンセプトのつくり方、活用方法について解説している。語り口調のような文体で読みやすく、頭にスッと入ってくる。
今まで課題に取り組むうえで「果たして自分の考えたコンセプトは最良の選択なのだろうか?」という漠然とした不安があったのだけど、コンセプトの定め方のヒントをもらった感覚がある。
なかでも、「既知の良さ」と「未知の良さ」の違いの話が非常に興味深かった。この考え方は卒制にも確実に活きてくるはず。
10パーセントの力で描く はじめてのジェスチャードローイング
ワードとしては耳にしたことがある「ジェスチャードローイング」の本。 スケッチとの違いがよくわからないまま読んでみたが、「具象と抽象の中間を表すイラスト」という説明が腑に落ちた。
いわゆるハウツー本とは違い、絵を描くことの楽しさやジェスチャードローイングの魅力といった内容に半分近くのページを割いていて、これを読めば確かに絵を描きたくなるなという感じ。 ドローイングの手順もわかりやすく、素人でもなんかできそうな気にさせてくれる。
ジェスチャードローイングは基本的に人物を描くイラスト手法のようなので大学で学んでいる内容に直結するわけではないが、課題が落ち着いたら改めてじっくり取り組みたい。
以上、今月の読書記録でした。
7月の総読書数は26冊。8割くらいは図面の書き方の本でした。
苦手意識の強い建築系中心ではあったけど、学んでみると面白い部分もある。でもやっぱりツライ…。
肝心の課題は本を読む前からほとんど進まず、現在テーブルの上は参考書に埋もれております。
はやくこの図面地獄から抜け出せますように…。
それではまた来月。