「だからつくねは今日も働く」の話
私の仕事は掃除をする事だ。
そう言うと大概の人は
「大変じゃない?」
と言ってくる。
「……大変な時もあるっちゃあるけど……割と楽しい」
と私は答える。
私は……
昔から割と整理整頓や掃除が好きだ。
こんまりさんが出てきた時は、ときめきお片付け術もしてみた。
ぐちゃっとした部屋が
徐々にキレイになっていく。
私の手によって……
それは、この上ない快感だ。
「ずっと一人で寂しくない?」
こう聞かれると
「寂しくない」
食い気味に答える事になるだろう。
一人は返って好都合。
好きなタイミングで休憩し、疲れたらノンストップを見ながら早めにお弁当を食べ、お腹いっぱいになったらその後はイスに座ってお昼寝をする。
やる気がない時はないなりにダラダラして、やる気のある時はめっちゃ働く。
こんなに私に向いてる自由な仕事も、なかなかないなあ……と思っている。
いつもは一人で仕事をするが、今日は最強の人と一緒。
私が仕事を教えてもらった女性……
森さんと一緒にとある銀行の社宅(3LDKのマンション)の清掃だった。
火曜日にその指示書をもらったが、既にその時に
(やった……木曜日の仕事は……既に終わったも同然……)
終わったも同然を越え
ピクニック
修学旅行
物見遊山
そんな感じ。
昨夜は
(ふふふ……
明日は森さんと仕事!お昼、何処に食べに行くかなー……近くに良い店があるかな……
あ!めちゃ近くに珈琲館ある!イェーイ!)
ワクワクして、少し寝つきが悪くなった。
今日の物件は駐車場が一台分しか空いてないらしく、森さんの車に乗り込む。
「そういや、こないだのミーティング……
『同じ事何回も繰り返さなくて良いので……時間がもったいないし、早く仕事行きたいです』とか言ってくれて、スッキリした〜」
と言われ
「言って良かったです?何か……私一人で暴走してるかなー……?とか思って……」
「いやいや、心の中で拍手してた!」
「もう少し分かりやすく、応援して下さいよ」
楽しくおしゃべりをしてるとあっという間に現場に到着。
「じゃ、私水回りから掃除していきますね」
「お願いしまーす」
森さんはウチの会社の最古参の一人。
私はその次くらい。
阿吽の呼吸で仕事が進む。
空腹の具合から
(そろそろ11時過ぎ……)
スマホを見ると
11:10
(やっぱりな!)
「森さーん!11時過ぎです!私、いつでもお昼行けますんで!!」
「じゃあ、一段落したら行こうか」
と返事が。
しばらくして
「そろそろ行くー?」
「ハイ!よろこんでー!」
珈琲館にて。
「わー!どれにします?私、カルボナーラかな……」
「私もそれにしよ」
「食後にケーキ食べたいですよね……モンブランがいいな」
「私は……リンゴのタルト」
カルボナーラを美味しく食べた後、ケーキが出てきた。
「うまー……」
「うん!美味しい!!」
「時に森さん……業者さんに伊勢谷友介いませんか?」
「……おる!!めちゃ背の高い男前の人!」
「いますよね!」
「しかも、低姿勢で感じが良い!」
「そう、そうなんですよ〜!」
お会計の時にいつもお財布を出し、
「今日は払います」と主張するも
「いつも頑張ってくれとるから!」
毎回おごってもらう(わーい)。
美味しい食事と会話を楽しんだ後はお仕事もはかどるよ。
何だかんだで、4時位までガッツリ働いた。
「よー働いたなあ……」
「本当ですよ……お疲れ様です」
でも、実は私はそんなに疲れてなかった。
早い段階で
(今日は楽勝じゃな……今日は事務所に寄るから……あんまり速く仕事を終わらせると、良くない……少しゆっくり丁寧にしよう……)
と抑えめに動いたし、何より森さんとキャッキャしながらのお仕事は遊んでいる感覚が強くて、疲れた感が低いからだ。
が、それは言わないでおいた。
今日のつくねはあんまり頑張っていない。
明日のつくねは……今日よりは働いた感じになる事だろう。
明日のあなたは……
▶頑張って働きますか?
楽しく働きますか?
それとも働かない?