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【第9回】TCIベンチャーアワード~つくば発ベンチャーと最先端技術シーズのピッチイベント~
こんにちは!つくば研究支援センター(Tsukuba Center Inc.)のnote編集部です。2024年1月ももう本日が最終日、早くも12分の1が経過しました。まだまだ寒い日が続きますが、皆さまお体に気をつけてお過ごしください。
さて、note第9回の記事となる今回は、つくば研究支援センターが主催するピッチイベントである「TCIベンチャーアワード」をご紹介します。
TCIベンチャーアワードとは?
TCIベンチャーアワードは、つくば研究支援センターを代表するイベントの一つであり、つくば発ベンチャーの成長促進と起業意欲の喚起を目的として毎年開催しています。
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その名の通り優秀なベンチャー企業を称えるとともに、毎年大賞や優秀賞を表彰する催しとして、2020年度以降これまでに4回開催し、80以上のベンチャー企業や技術シーズに応募いただいています。
過去表彰された企業の中には、日本のみならず、海外のピッチイベントで優勝するなど、大きな注目を集める先も出てきています。
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第4回となる今年度は、今後更なる成長を目指すベンチャー企業を対象とした「TCIベンチャーアワード・ファイナリスト審査会」に加え、事業化前の技術シーズを対象とした「シーズ部門」を新設し、より広く、つくば地域が持つポテンシャルを発信しました。
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TCIベンチャーアワード・シーズ部門発表会
2023年12月21日に開催されたシーズ部門発表会では、茨城県、つくば市に加え、県内の大学・研究機関、VCやアクセラレーターの後援の下、つくば地域の大学・研究機関などから10の先端技術シーズが登壇し、プレゼンテーションが行われました。
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この「シーズ部門」は、新たな産業を創造するような優れた技術シーズを掘り起こし、また研究開発と事業開発の両面から事業化を支援できる環境づくりに向けて、早期から域内外の事業会社・金融機関・投資家との接点を提供しています。
審査にあたっては、以下のVC・アクセラレーターで構成される諮問委員会(アドバイザリーボード)が専門的な見地から検討を行いました。
シーズ部門 優秀賞受賞者
諮問委員会による審議を経て、以下の2名がシーズ部門の優秀賞を受賞しました。
理化学研究所バイオリソース研究センター 林 洋平 氏「次世代リプログラミング因子による iPS細胞の作製」
シーズ概要:
iPS(誘導性多能性幹)細胞を作るためには、「リプログラミング因子」を培養細胞に発現させる必要があります。このリプログラミング因子を人工的に改変することで機能を強化し、高効率、高品質な iPS細胞を作る技術を開発しました。この技術を社会実装させ、自分自身のiPS細胞「My iPS」からの再生医療を実現に導くとともに、リプログラミング因子を直接、個体組織に発現させることで究極の「若返り」へと挑戦します。
筑波大学 武安 光太郎 氏「低価格・高耐久な白金フリー燃料電池触媒」
シーズ概要:
来たるべきカーボンニュートラルに向けて、水素利用は不可欠な技術の一つです。その中核となる水素燃料電池においては、触媒として白金が用いられています。水素燃料電池のコストを下げ、地政学的リスクを減らすためには、白金を代替する触媒が必要になります。我々は、反応の物理的なメカニズムの解析に基づいて、耐久性と量産性を両立した中では世界最高性能をもつ白金フリー燃料電池触媒の開発に成功しました。
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TCIベンチャーアワード・ファイナリスト審査会
2024年1月26日に開催されたTCIベンチャーアワード・ファイナリスト審査会では、応募のあった18社のうち、一次審査を通過したファイナリスト7社がプレゼンテーションを行いました。
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大賞 受賞者
株式会社Octa Robotics「LCI(ロボット・設備連携インターフェースサービス)」
Octa Roboticsが開発した「LCI」は、サービスロボットと建物設備を連携させ、ロボットフレンドリー施設整備機構の規格に準じた拡張性が高く、フレキシブルなシステムです。特に、高層建築物の清掃や警備などにかかる労働力不足をロボットで補ううえで有効なシステムであること、大手デベロッパー等での採用実績があることなどが評価され、大賞を受賞しました。
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優秀賞 受賞者
メルフロンティア株式会社「日本初マグネシウム合金を用いた生体吸収性埋込型医療機器の開発/事業化」
メルフロンティアは、部材組織の均一微細化や不純物の除去等、制御が難しいとといわれているマグネシウム合金を医療機器に使われるレベルにまで高めることに成功しました。これにより、抜去手術等が不要な低侵襲手術の実現など患者のQOLの向上や医療費の削減に資する可能性があることが評価され、優秀賞を受賞しました。
株式会社エイゾス「ノーコードクラウドAI解析ソフトによる『デジタル実験』で研究開発の労力100%削減」
エイゾスは、最小限の実験データから、高精度予測や要因分析を行えるクラウド型AI解析プラットフォーム「Multi-Sigma」を提供しています。同プラットフォーム上で提供する「デジタル実験サービス」は、複数の研究者によるAIの共有で仮想実験を行うことで、研究労力を大幅に削減することが期待されるほか、国内のみならず海外での販売活動を開始予定であり、その動向が注目されることから、優秀賞を受賞しました。
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(前列左から:理化学研究所 林氏、㈱エイゾス 河尻氏、㈱Octa Robotics 前川氏、メルフロンティア㈱ 藤田氏、筑波大学 武安氏、後列左から:BioPhenolics㈱ 貫井氏、ナノブリッジ・セミコンダクター㈱ 杉林氏、㈱Closer 樋口氏、テクノハイウェイ㈱ 永見氏 )
つくば地域におけるスタートアップ・エコシステムの更なる発展に向けて
近年、ディープテック・スタートアップの創出と成長に向けて、マーケットニーズの研究へのフィードバックの強化や初期段階における事業化チームの組成など、事業化の前段階における大学・研究機関と企業・投資家の連携に注目が集まっています。
つくば研究支援センターは、つくば地域の大学・研究機関と企業・投資家の橋渡しを行い、オープン・イノベーションを促進するべく、本イベントの運営をはじめとして、域内外のステークホルダーとの連携に一層力を入れてまいります。
執筆:つくば研究支援センター ベンチャー・産業支援部 大塚和慶
※本記事は、個人的見解・意見を述べるものであり、つくば研究支援センターの組織的・統一的見解ではなく、それらを代表するものでもありません。