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冷たい強風に煽られながら 駅までの道を歩いた マフラーを忘れて寒さがしみる 午後二時のホー…
小川に笹舟を流すような優しさだけで、詩を書いていられたら幸せだったけれど、時々、言葉は風…
あの、まだ夏とも言えない湿った季節 あなたの手を握りしめて 運河沿いを歩いていた 噂どおり…
濃紺の夜空に真鍮の三日月が刺さって 傷口からじわりと滲む冷たい血液 わたしを静かに蝕んでゆ…
わたしはどうしようもなく怒っていて この怒りをどうしていいのかわからず 落ち着きのない感情…
なにもかも思うようにいかなくて ぼろぼろのわたしがここにいて でもこの世界のどこかでは だ…
午前7時の月をつかまえて 不安そうにうつむいている 閉じたカーテンの向こう側 聞こえてくる太陽の笑い声 描いた夜が終わりたいと言い 清らかな朝が始まらせてと言う 思わず耳を塞いでしまうほど世界の声は美しい 終わりのような始まりの時間 もっと空の色が海王星ほど青かったら あの白い月が鯨の涙ほど純白だったら 永遠と呼ばれるものを 信じることができたのかもしれない 迷いのない青にほんの一滴だけ 心細さの白を落としたような朝空 青と白の真ん中で / 月乃 #ソネット #
いのちの重さをはかりながら生きていた のこりのいのちを数えながら生きている それでもそれ…
ふわっと風が跳ねて 瞬いて目を閉じて 午後の優しい光を 瞼の上で受け止める 干したシーツの…
今は どんどん過ぎていく 今も 今も 今も さっきとは もう違う 今が 今が 今が 今が…
真っ白な時間が積もっていく音 たとえ耳が壊れてたって聴こえる 張りつめた空気が静寂を奏でて…
冬空の隙間から白い声 ずっと雪を待っている 凍える心はふるえるだけ 燃えているのは太陽だけ …
記憶の蓋をひらいてウミガメの産卵 ぽろぽろと産み落としてく言葉を 丁寧に文字にして並べてい…
見たくない夢をみて 泣けないのに涙だけこぼれて 見たかった夢を忘れて 泣いているのに涙さえ出ない 甘えてる場合じゃなかった 諦めてる場合でもなかった 萎んだ心も褪せた空も変わりゆく あの偽物みたいな雲だって流れて 手が届きそうで届かないのがやっぱり月 追いかけても逃げてゆくのがやっぱり月 とらわれるのは苦しくて それが愛だと言われたらもっと苦しくて だからわたしはどこまでも月でいたかった だれも立ち入ることのできない領域で 月にさよなら / 月乃