殺死李蓮花-第1巻 運命の始まり-序章

序章
薄暗い部屋に、滴る血の音が異様に響く。鉄臭い匂いが充満し、鮮血が白衣を濡らしていく。切り落とされた腕は静かに転がり、まるで悲劇の生け贄のように横たわっていた。

彼はゆっくりと剣を持ち上げ、その冷たい輝きが相手の蒼白な顔を照らす。剣先が胸元に向かって静かに上がるにつれ、殺意が研ぎ澄まされていく。

「お前は……死ぬべきだ。」

しかし、目の前の男は微動だにせず、ただ悲しげに彼を見つめた。

「君は、自分に嘘をついている。」

その言葉に、彼は思わず動きを止めた。剣の刃がわずかに揺れ、困惑の色が浮かぶ。

「……何だと?」

男の瞳には恐怖はなく、ただ深い哀しみと、抑えきれない慈しみが映っていた。

「もし本当に自分に嘘をついていないのなら、なぜ泣いている?」

まるで鋭い刃が心臓を貫いたかのように、その言葉は彼の胸に突き刺さる。指の力がわずかに緩み、心の中で荒れ狂う感情が押し寄せてきた。

これは憎しみなのか、それとも——

もっと認めたくない、別の感情なのか?

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