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月極トトム
2016年12月17日 02:28
早苗は、人生に絶望し、何もかも信じられなくなっていた。誰の言葉も響かない。何を聞いてもそらぞらしい。ただただ頭をよぎるのは、人生を自分の手で終らせたいという誘惑。いつも自分の死を想像し、死に方を模索する。人生に彩りが一切消えてモノクロの世界に浮遊している自分を消し去りたくて仕方が無い。死、死、死、死、死、、、、、ネガティブ過ぎる思考回路が止まらない。「死にたい」と思ってい
2016年11月19日 01:28
化粧台の鏡に映り込んだ久志と目が合って、真弓は少し目を見開いて、「目が合ったね」と無言で合図した。化粧をする真弓の斜め後ろでソファーにくつろいで絵本を読んでいた久志が、いつのまにか本から目を離し真弓の化粧する様子を見ていたようだ。絵本は小さなひざの上に開かれたままだ。化粧に真剣になり過ぎていて、少し怖い顔をしていたかもしれない。なんとなく不安そうに覗き込む様に鏡越しに真弓の表情