新芽
厳しい寒さが過ぎた頃、新芽が咲き、生物が活動するための準備が開始される。それに気づいた人間は「もう冬は終わりか」と、まるで自分は影響されていないかのように春に備えて身支度をする。事実として人間は一年を通した活動を可能にしているのだが、それが休眠を必要としない理由にはならない。人間社会特有の中身のない風習や等級、理不尽な格差と平等主義の共存による疲弊に苦しみ、冬を抜け出せない者の存在は誰しもに心当たりがあるはずだ。心の底から暦を刻んでいなければ、疎外感と孤独に押しつぶされてしまう。抜け出すために足掻くのも無駄にはならないが、慣れることも一つの手段だし、反対方向へ逃げればどこかに抜け道があることも知っている。
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