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一瞥

一度立ち止まってしまえば次の一歩が何倍にも重たく感じる。だから動かないことを選択するのは満たされている時であることが多い。自分の居場所や辿ってきた道のりに満足しているからそこに居座るのだろう。どれだけ混雑していたとしても。西の空が紺色に染まってもなお、人集りは期待と困惑の入り混じった妙な静けさを醸し出していた。僕はそれを一瞥して見えない道を進むことにした。

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