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写真日記

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2024年2月の記事一覧

すれ違い

すれ違い

すれ違い
振り向き捉えた
日常の
再現できぬ
美を独り占め

僕はGR2というカメラを自在に使いこなしたと自負していた。それを右手に握っていた時期は人よりも写真を撮り狂い、多くの偶然を切り取った。僕の中で一番記憶に残るこの写真も、他人から見れば質の悪い蝶の写真なのかもしれない。易々と見逃す景色ならば、その美しさについて他人からの同意を得られると勝手に期待していた。

名

名を借りて
銭を稼ぐは
赤の他人
貸す名なければ
夜を彷徨う

著名な写真家の展示会場へ行ったが、写真自体に感激することもなければ、思想に影響される予感も皆無であった。一方で、順路を巡り終えた時に僅かな嬉しさが込み上げた。言わずもがなと思える一連の展示は僕の写真が自分にとって意味があることを確かめるには十分だった。

役

役終えて
景観損ねる
鉄屑も
かき集めれば
金と見紛う

路肩に放られた空き缶にすら値段がつけられているというのに、抜け殻になった自分には全く価値がない。今はまだ気力体力ともに残存しているが、仮に出涸らしの身体だけになった時、生きるという必要悪を選択することになる。肉体を切り分けても、言葉を失っても、それらを身に宿していること自体の素晴らしさを伝え、身投げを一つでも減らしたい。

雪

これ雪と
色音匂いで
見分けるが
凝らせば氷晶
穂に付き重なる

人間は真新しい物に名前を付けるが、付けた名を改めて呼ぶことはせず、略称や種族としての呼称で共認識を得る。ある程度の区別さえできれば細かい違いなんてどうでもいいのだ。そんな大雑把な感覚を振り回しているからこそ、緻密に働かせた時に面白いと思える。そして自分が測りとる尺度の不正確さを忘れた時、見る世界が固定され、精彩を欠く。

現世

現世

現世に
生きる己の
旅半ば
鬱し写して
取り得た光

写真にカメラは必須ではない。スマホで十分だという意味ではない。両手をポケットにしまい、景色を眺めるだけでも写真をしていると言って良いと僕は捉えている。絵画、陶芸や工芸と異なり、写真の美術的価値は公にない。フィルムやデータにもない。その時に肉眼で感じた現実こそが最も尊いのだと思い始めたのは最近のことだ。そう考えると、感情フィルターでシャッターが軽

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自由意志

自由意志

安寧に
溺れる人生
博打うち
過酷を知れば
選択数多

便利さに慣れ、それが当たり前だと認識し始めると前提条件に無関心になっていく。整った環境であればあるほど善悪や優劣の分析力が低水準になりやすい。たとえば何らかの転機で条件を失い、自ら補うことになった時、退路がない状況に絶望するかもしれない。
あえて便利さに制約をかけ、地味な面倒事を好んで興じることは華を愛でる者からすれば非効率で愚かしく見えるだ

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