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写真日記

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2022年8月の記事一覧

不条理

不条理

どうしようもない熱波に焼かれて近くの柳に寄りかかる。猛々しい蝉の音が気になって見上げると性淘汰の縮図があった。片翼もがれ、明るい未来がなくとも幹にだけは捕まり、弱々しくも登っていく。そんな不条理を克服してしまう我々の悍ましさを日々忘れてはいけない。

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1/50s

オキシトシン

オキシトシン

幸福感をもたらす物質としてセロトニン・ドーパミン・オキシトシンが横並びで紹介されている。この中で最も得難いのはオキシトシンだろう。なぜなら自分一人では獲得できないと考えられているからだ。どれだけ陽光を浴びても、風光明媚な景色を捉えても分泌されないということだ。

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f8
1/20s

既知外

既知外

自転車は単なる移動手段ではなく、目的にもなり得る。肉体も精神もクランクを回した数だけ強くなった。そして常識からは遠ざかっていった。しかし、その既知外な目に映る景色には非日常が溢れている。

ISO100
f4.5
1/500s

高速

高速

高速で街を飛ばして見ている人間はこの景色に縁がないだろう。最近のメディアで若者による動画の倍速視聴が取り上げられていたが、これらの性質は根本的には同じように感じる。

ISO100
f14
1/25s

対称性

対称性

ガラスを透過した光はやけに目を惹く。僅かな不自然さを感じ取っているからだろう。対称性に潜むそんな違和感にさえ個性という価値をつけようとすることも日本人的美意識なのか。

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1/13s

楽天地

楽天地

高校生の頃、東京にはなんでもあると聞いていた。ところがいざ来てみれば似たものが喰い合っているだけで、楽天地ではないことが分かった。西の端のマルバダケブキが導く先を除いては。

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1/20s

曇天

曇天

人間は雨にめっぽう弱い生き物だ。その下では活動を控えるのが大半ではなかろうか。快適な晴れ間こそが楽しみだとする風潮には異を唱える。雨だからこそ見ることができる動植物の動静を目の当たりにすれば曇天も悪くないと思えるはずだ。情趣を解する心を残していれば。

ISO400
f4
1/13s

浮遊感

浮遊感

親子、カップルや友人同士で溢れかえる場所を一人で歩いていると不思議な浮遊感がある。人はいるのに誰からも観測されていないことが自分と他人との違いを浮き彫りにする。だからこそ自分らしくあることが希少であることを実感し、肯定することができる。たとえ観測できるのが本人だけだとしても。

ISO100
f14
1/60s

水垢

水垢

雲浮かぶ空の青が映るビルの窓ガラス。対して赤が映える特徴的なモニュメント。通り過ぎることなく脚を止めたのは美しいと感じるそんな色彩の対比を撮るためではない。明暗こそがシャッターを切る理由であり、白や黒で真っ平らに塗り潰した中に水垢のような拭いきれないリアルさを残すことができた時、良いコレクションができたとほくそ笑むことが叶う。

ISO100
f13
1/60s