日記 おばあちゃんになっても
地元で療養中のこと。
普段はお盆休みと年末年始にしか会えない友人に、またしても会うことができました。
この友人を、そうですね、あんずちゃんとしておきます。
あんずちゃんとは、かれこれ20年近くの仲になります。かといって、ずっと一緒にいた友だちというわけではなく、別の高校と大学に進学し、就職先もバラバラです。共通点は、住んでいた地区、幼稚園と小学校1年生のときのクラス、中学校の吹奏楽部で担当していたパート、という、なんとも奇妙な感じです。
20歳を過ぎてから会う友人なんて、せいぜい同じクラスでずっと一緒にすごしていた親友ぐらい、というひとが多いのではないでしょうか。わたしは勝手にそう考えているのですが、きっとそういう世の中で、あんずちゃんと今もこうして定期的に会っているのは、ちょっと不思議だなと思っています。
きっと気が合うんでしょう。そしてお互いに干渉し過ぎない。
そんな程よい距離感が心地良い。
ずっと友だちでいようね、なんて約束を交わさなくても、多分ずっと友だちでいるんだろうなという気がします。
そんなあんずちゃんとぷらり遊んだ日の日記です。
あんずちゃんが以前訪れた際に休みだった、というお店のリベンジに参加させてもらいました。
家で作るオムライスは抵抗があって、もうしばらく作っていないかもしれません。おしゃれなお店のようにふわふわの卵にはできないし、昔ながらの喫茶店のように綺麗に包み込むこともできない。自分でつくるとどうしてもケチャップライスに卵のおふとんをのせただけ、な料理になってしまう。口に入れたら全て同じ?、いいえ、オムライスは見た目が大事なんです。お皿が運ばれてきた瞬間に、「わあ、オムライスだ!」と心躍るあの瞬間を味わうには、おふとんではだめなのです。
あんずちゃんは期間限定のアボカドクリームのオムライスを注文していて、ひとくち分けてくれました。こちらから何も言わずともひとくちを分けてくれる、とてもやさしい友だちです。
ランチを終え、お腹がいっぱいになったのですこし歩こうということになったのですが、この日は寒波がきていたのか、猛烈に寒い。寒い寒い寒い。さ、む、い!!!!寒いときって、寒いしか言えない。冷たい風が強く吹いていた日でした。
あまりの寒さに「もうカフェ行っちゃおう」「そうだね」と意見が一致し、ランチを終えてから数十分しか経ってないにも関わらず、ふたりがお気に入りのカフェに向かいました。
ふたりとも平日限定のアップルパイを注文しようとしたところ、なんと「のこり一個です」とのこと。半分こしよう、ということでアップルパイとショコラチーズケーキを注文しました。
このとき、「ざんねんだね」と肩を落とすのではなくて、「最後の一個がのこっていて良かったね」と笑い合うことができて、改めて、あんずちゃんのこういうところ、好きだなあと思いました。
その後はチェーンのカフェに入り、別れの時間が来るまでゆっくりおしゃべりをたのしみました。
会話の内容はほんとうに些細なことで、ミスドの新作がたのしみだとか、冬は鍋ばっかりつくっているだとか、ちいかわのガチャガチャがコンプできないだとか、そんな話ばかり。
深い話をするときがあっても、「人生いろいろだよね」と最後はふっと気が抜ける。あんずちゃんと話していると、そういう気楽さがいつもある。
肝が据わっていて、しっかりと地に足をつけて歩いている彼女のことを尊敬するし、もしそんな彼女がひとりでは起き上がれないようなことがあったときには、わたしの存在を頼ってほしいな、なんて思います。
けれど実際には、数年後にぱったり会って、「そういえばあのときこんなことがあって…」と打ち明けられて、「えーそうだったの!」「人生いろいろだね」「ほんとよね」そんな会話が繰り広げられることが安易に想像できてしまう。