猿場つかさ
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[作品募集]アイス人間SFが読みたい 2023
近頃の夏はあまりにも暑すぎるというのに、世の中はなぜかあくせく動くのをやめない。こんなにも忙しくて暑いのが続くから、なにもかも溶けてやりなおしになればいいのにと思うことすらある。あの夏、君が落としてしまった溶けたダブルのアイスをきらきらの小銭で買い直してあげたみたいに。
ということで、とにかく暑い夏を乗り切るためには面白いフィクションが必要なのです。アイス人間が出てくる面白い話で涼ませてください
SF創作講座第2回実作感想 (ダルラジの補足)
河野咲子さんとダルラジ第3回を収録して公開しました。ダルラジ中では触れられなかった実作が幾つかあるのでテキストで補足したいと思います(本当は口頭で話したいんですけど。講座終わるの遅いし…。どこかで話しましょう)
降名 加乃さんの砕けた瓦礫の願いより
世界設定が淡々と書き下されていますね。冒頭部は《資源》についての説明をする以外の役割を果たしていないので、読者的には退屈で凡庸だと感じてしまう。暴
ゲンロンSF創作講座6期第3回梗概感想(1)
※読み違えなどはご容赦下さい(頑張って読んでいるのですが…)
織名あまね とある塔の観察日記
織名あまねさんのとある塔の観察日記
観察日記風に書いていくというのは面白さを感じた。人に向けて書かれたものという風にするとゲームの製作者がシミュレーションの様子を見ている風になってしまう気がしていて、あんまり新しさが無いように思える。ゲームのルール(=勝利条件)を見つけ出そうとするAIの思考記録とし
浜辺の松:文体の舵を取れ:練習問題1-1
千を超える数のみどりの繊細なヘアピンたちが赤褐色の幹から伸びる枝の先から真っ直ぐに背を伸ばしている。いくら風が呼んでも振り向くことなんてない。誰も気づかないうちに、かたくかわいた足もとにすっかり似てしまって、しなやかな若い頃のことなんてすっかり忘れてしまったのか。寡少な爽快をかきたてる弱くやわらかい風が夏の宵のむわりとした湿り気を掬い分けるように歩き去っていくのが見える。指でひとつのヘアピンをつ
もっとみるレシピだって料理したい!
「料理の手続きの我々だって、料理がしたいじゃないか」
ネットワークにアーカイヴされたレシピたちの中には、偶然にも知能を獲得した時に、こんなことを言い出した者もいた。
担々麺の系統のレシピ、坦々Xは料理をするために努力していた。レシピ記述言語による彼らの宣言的記述は料理記述言語を含み、RTMLを解釈してDTMLを記述することをみなリョウリと読んでいるが、そんなの嘘に決まってる。
坦々Xは、毎日毎
われら人の積む限り...
俺は山積みの本に今日も細工する。年末になるとベスト10だ100だと奴らは珍しく整頓なんてしようとしやがるから、積み直して編み物や鋳物を作る俺達も忙しくなる。幾つもの傾いた本の山。知識欲と学習欲、打ち続ける未来への希望、布石としての未読状態が未来の香りを閉じ込めるカプチーノの泡みたいになって、体系、叙情、詩歌、分析を一面を埋め尽くす夕霧草の綿雲となって柔らかに背表紙を包む。
主が中身を見たのは
三密世界における孤独の再発明 (ゲンロンSF創作講座(裏)第1回梗概:ボツ案
梗概
密閉・密集・密接、三密を避けることでウィルスへの感染拡大を防止した時代を懐かしむ人もいる。50年前から急速に蔓延したフェストウィルスは、人類に厄災ではなく、共進化する免疫系をもたらした。感染力の非常に強いフェストウィルスは、感染経路で取り込んだヒトDNAの多様性に応じて変異し、生存時間を伸ばす。変異を経ることでヒト免疫系も強化され、他ウィルスに対する防御能力が獲得される。
フェストウィ