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人間関係のマトリックスを活用して、自立した組織をつくる
こんにちは。企業変革コンサルタントの小野司です。
カイゼン活動、業務改革活動、企業変革活動に取り組む若きリーダー、経営者様に活動のヒントをお届けしています。
変革活動の最大の目標の一つは、メンバーそれぞれが「自立」することです。
そして、自ら問題点を見つけ、自ら解決していくこと、創造的に仕事をしていく組織を作ることです。
これは、多くの社長さんからいつもお聞きすることです。
自立する組織をつくるために、ヒントとなるのが「人間関係のマトリックス」です。
人間関係のマトリックスを簡単に説明しますと、対人関係において、人間が感情的にいきがちな場所があり、
・相手が「自立」にいると、自分は「依存」に
・相手が「依存」にいると、自分は「自立」に
なるいうものです。
簡単にいえば、「自立」とは、人に頼らない、「依存」とは人に頼るというものです。自立は、周囲をあまり見ず一人で前進するタイプ、依存は、周囲の気持ちに寄り添うタイプという側面もあります。
そして、
・一方の「自立」が強まれば、相手の「依存」も強まる
・一方の「自立」が弱まれば、相手の「依存」も弱まる
という力学関係が生まれます。
また、個人の「自立」「依存」は、固定するのではなく、相手によって、また、その時々によって変わります。
理想は、センターといって、「自立」でも「依存」でもない状態、または、「自立」「依存」が行ったり来たりする状態です。
注.人間関係のマトリックスでは、自立・依存とも、それぞれ「ポジティブ」「ネガティブ」に場合分けされ、4つに分類されマトリックスになります。ここでは、簡単に「自立」と「依存」の2つで説明しています。
詳しくは、『ユダヤ人大富豪の教えⅢ 人間関係を築く8つのレッスン』本田健著(大和書房)をご覧下さい。
会社の場合、経営者のほとんどは「自立」にいます。そして、従業員・パートさんは「依存」にいることが多いです。
会社組織の場合、少なくとも、ほとんどの従業員は、入社時は「依存」にいます。(すべての赤ちゃんが「依存」にいるのと似ています。)
その後、経験を積んでいくうちに「自立」の状態が増えてゆきます。
一方、経営者の「自立」が強い時、従業員はなかなか「依存」から出てこれません。入社からずっと「依存」の方もいます。
ある会社の事例です。
社長の「自立」が強く、現場に対し強く指示することで現場が回っている工場がありました。社長は、従業員の一部から“天皇“と呼ばれていました。
そこの従業員の一人は、「社長は言い出したら、(進言しても)聞かないから。だから、それに従っています。」「でも、社長の言っていることは正しいことが多いから、それでいいんです。」と言われていました。
そして、ここ数年、社長の「自立」が強くなり、従業員さんの「依存」も強化されてゆきました。
そこの工場は、かなりの規模になっていますが、社長がいないと現場が回らなくなっていました。工場長不在で、次の工場長も育っていませんでした。それが大きな経営課題でした。
私が関与してきた会社組織を見ていますと、
経営者やメンバーがセンターに近い時、みなさん軽やかに生き生きと動いています。
センターに近いと感情によるムダも少なく、生産性も高いです。心理的安全性も高い状態にあります。
さらに、みなさん創造的に動いていますので、リーダーも育ってきています。
前出の事例での取り組みですが、
変革活動を一定期間、メンバーに預けてもらいました。社長の「自立」から一度切り離しました。
さらに、(社長を90点とすれば)最初は60点でも許容してもらえるようお願いしました。
そうしますと、従業員の中に「自立」が見え始めました。また「自立」したいと心がザワついていた人が現れてきました。
変革リーダーは、その人の「自立」を受け止め、大事に育ててゆきました。
メンバーに「自立」が現れてくると、社長の「自立」も和らいできました。つまり、センターに寄ってきました。
並行して、社長には、センターを「意識」してもらうことをお願いしました。例えば、がんばらなくていいことなどをお伝えしました。
(一度では、伝わりにくいので、繰り返し伝えること、伝えるタイミングや言い方に工夫も必要でした)
このようにして、会社の構成員をセンターに集めてゆきました。
若い変革リーダーのみなさま。
活動の参考になりましたら、ありがたく思います。
補足ですが、
メンバーの自立をうながすためには、「不」の解消が効果的です。
詳しくは、『ちっちゃな「不」の解消から始めるカイゼン活動』小野司著 日刊工業新聞社
をご参照ください。
https://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00003599