勇気づけと勇気くじきの違いを知り、メンバーの意欲を引き出す(2)
こんにちは。企業や組織の個性を見つけ潜在力を引き出す、オートパイロット経営コンサルタントで中小企業診断士・司法書士・メンタルトレーナーの小野司です。
オートパイロット経営(自動操縦経営)で最も重要なのは、現場の自立性・創造性を高めること、そして会社や組織の個性を活かした事業計画(設計図)を作ることです。
リーダーが現場に行かなくても現場をまわるようにしたい、経営を自働化したいという、若手リーダー、経営者様にそのヒントをお届けしています。
アドラー心理学に勇気づけという考え方があります。
この勇気づけは、自立性・創造性を高めるための組織作りでみとても大事なコミュニケーション方法になります。
そのため、勇気づけと勇気くじきについて、紹介させていただいています。
その1つに、
「プロセスを評価することは、勇気づけになるが、結果を重視することは、勇気くじきになる」
ということがあります。
前回は、「結果を重視することは、勇気くじきになる」について、
子育てを例に紹介させていただきました。
今回は、「プロセスを評価することは、勇気づけになる」について紹介します。
前回と同じく、80点を取った子どもに対しての親からの働きかけで考えます。
勇気づけですと、
「覚え方をいろいろ工夫していたからだね」
「毎日、コツコツ積み上げていたからだね」
のようにプロセスを評価します。
この時、子どもは、80点という結果より、
その工夫やコツコツ積み上げていたという
プロセスが認められたととらえます。
プロセスを認められる場合、
次、結果が出ないと認められないという不安も少なくなります。
それよりいいのは、
プロセスを評価するためには、
「親は子のプロセスを見ている」ことです。
親から子供への、いつも見ているんだよ、いつも応援しているんだよというメッセージにもなります。
また、子どもの中には、
結果を出せれば、何をしてもいいという考えを持つ子もいます。
そのような考えも生まれにくくなります。
これは、組織作りでも同じです。
カイゼン活動の事例で紹介します。
1時間に100個作れるようになったチームに対し、
リーダーは、そのプロセスを評価してあげます。
「いろいろ工夫していたよね」
「たくさん試行錯誤していたよね」
「みんなでアイデアを出し合っていたよね」
というようにです。
プロセスを見ていなかった場合は、
「100個つくれた。よくやった!」
のように”結果”を伝えることになるかもしれません。
この時も、”結果”を重視するのではなく、
”感謝”や”貢献”を伝えます。
「100個作ってくれて助かったよ」
「100個作れるようになって感謝しているよ」
のようにです。
これらは勇気づけになります。
カイゼン活動では、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回します。
メンバーは、自分たちが行った行動(Do)に対し、
リーダーが、どのような反応(Check)したかによって、
次の行動の意欲が上がったり、下がったりします。
ですから、メンバーの意欲を高めるには、Checkが最も重要になります。
そのCheckで重要な考え方が、勇気づけになります。
専門用語を用いていえば、
「結果承認よりも、プロセス承認や成長承認を重視する」のです。
さらに「存在承認」にまで行ければもっといいです。
先月、
「一人前になるまで、ほめるようなことはしないものだ」と言われていた
60代後半の創業社長に、この勇気づけの話を紹介しました。
それに対し「時代は変わったな」と言われていました。
私は、時代が変わったというより、
心理学、脳科学、行動経済学、などの研究や社会実験が進んだ結果
と感じています。
それらをうまく取り入れるといいのです。
実際に、カイゼンをうまくしている企業、変化に対応している企業の多くは、意識的・無意識的に勇気づけを活用しています。
関連することは、拙著『ちっちゃな「不」の解消から始めるカイゼン活動』p186に記載しています。
みなさまのヒントになりましたら、ありがたく思います。