インフレがゼロでも日本経済は困らないが、地銀が困る

インフレも失業もない経済って、素晴らしいです。インフレなど無い方が経済には良いでしょう。マイルドなインフレでも預貯金が目減りしたりするからです。「インフレがゼロだと、いつデフレが再発するか不安だ」「インフレがゼロだと、次の不況時に実質金利をマイナスにする事ができない」といった懸念はありますが、将来の懸念を除けば困る事はありません。仮に現状がずっと続くとすれば、日本経済にとって素晴らしい状態です。

しかし、地銀にとっては由々しき事です。頭の整理として、銀行の融資部門は経理部から市場金利で借金をして融資に使う、預金部門は顧客から預かった預金を市場金利で経理部に貸す、と考えましょう。

低成長だと融資残高が減っていきます。企業が減価償却の範囲内でしか設備投資を行わないので、利益の中で配当されなかった残りは負債の返済に回されてしまうからです。そうなると、融資部門は限られた資金需要を巡って銀行間で「貸出金利引き下げ競争」を繰り広げます。融資部門の収益は、量と利鞘のダブルパンチを食らうわけです。

そうした時に、預金部門が利益を稼げていれば問題ないのですが、預金部門は、経理部に市場金利で資金を貸し出しても利鞘が稼げず、コスト分だけ赤字になってしまいます。それでは地銀が持たないのです。

ご参考までに、拙稿です。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9945

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https://comemo.io/entries/663

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