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いつか再び駆け抜ける Tokyo Midnight Friday
この一年半の間、仕事を終えた金曜日の夜の時間はほとんど、愛車に乗って高速道路や東京の街を駆け抜けていた。それがまるで昨日のことみたいだと、今頃になって思いふけることがある。
今頃になって振り返れば、一昨年の11月頃から先々月までに渡って、今住んでいる東京の自宅から100km以上離れた実家を毎月1、2回の頻度で行き来してきたのは、我ながら正気の沙汰ではなかったと思う。
以前まで勤めていた会社から、移動にかかる交通費を支給されることは、人事異動が発令される前後問わず、ほんの1円たりともなかった。
その際、引っ越しする費用をある程度負担すると告げられていたものの、いざ蓋を開けてみれば、提示された金額は愚にも付かないものであった。こちらが自腹を切ってまで引っ越しをさせようとする会社の行為に、かつてない憤りを覚えた。
当初の話では一定期間だったとはいえ、はじめから地元に戻るつもりは考えていなかった。後になって会社からそうした冷遇を受けてもなお、私は東京に構えた住居を手放すことを選ばず、空家賃を支払ってまで維持することしか頭になかったのである。
社員一人が、確実に不利益を被る事態にさせておきながら、ろくにサポートしようとしなかったのは、それが会社として出した結論なのだろう。
しかしながらその結論に対して、自分で見切りを付けるタイミングにおいては、冷静に考えたら一つか二つだけでなくいくらでもあったのではないかと思わないことはない。
だが結果的には、自己の将来性であったりや予想外云々などを理由に慎重に行動してしまったおかげで、随分と無駄な時間を費やしてしまった。そのことにおいては、ようやく東京に戻れてからまだ日は浅いが、個人的に反省せざるを得ない。
ただ今更になって過ぎてしまったことを、一個人の愚痴として零してもしょうがない。こちらで真意なり真相なりと確かめる必要もなければ、取り返しようのない時間に憂いている場合でもない。
これはこれで終わったことにして、また新しい日々に身を置かなければならないのだ。また再び、誰かに煙たがれる曲者になりかけようとしていても。
そして、いずれどこかのタイミングで帰省する際、爆音にしてまで夜の高速道路を駆け抜けたいと思う曲が飛び込んできた。
これまでも、そして今も自分の心の隅に抱えたままでいる、各々の哀しみや怒りなどの負の感情を。世直しに失敗しかけたこの街へと、いっそかなぐり捨ててしまいたいぐらいに。
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