秋田 五城目町という小さな町で ~vol.2~
そういうわけで、4泊5日現地にどっぷり滞在したわけだ。
もちろん主役は生徒たちで、さまざまな現地の方々にインタビューをして、大阪で考えてきた課題(の予想)、解決策(の予想)はみるみる覆されていき、新たな視点から五城目の課題を見つめなおすこととなった。
そういうプロセスを経て、生徒たちは一皮も二皮も剥けながら成果報告会に向けて準備を進めていった。秋田に来る前、来たすぐ後のなんとも怪訝な表情(どうして秋田に行く必要があるの?これまでの北海道でよかったのに。的な)は嘘のように、みな口を揃えて「五城目に来れてよかった」と言っていた。
みんなも僕と同じように五城目に惚れたのかな?いや、きっと惚れていた。
そんな中で僕の心に引っかかっていることを。
「五城目町は人口過疎・少子高齢化のトップを走っていて、さぞ住民の方々は苦しい生活をしているんだろうと思っていたけど、みんなにインタビューすればするほど、住民の方々は今の生活に満足していて、不幸なんかじゃなく、十分幸せな生活を送っているんだということに気づいた。(だから大丈夫なんだって気づいて安心した的な。)」という発表のまとめが多かったこと。
そうなんだよ。不幸なわけなんかない。
みんな世界中のいろんなところに住んでいて、その人たちそれぞれの生活があって、不安や不満はそれぞれある。でも、それを不幸だと呼んで(呼ばれて)しまったら、これまで長いこと住んできた自分の「場所」さらには「人生」を否定することにも繋がる。そんなこと誰もしたくない。
もちろん、住んでいる国・場所によってはその日1日を無事に生き延びられるかわからない。そんな生活もする人たちが実際にいる。
だが、五城目町がそういう場所ではないということは考えなくてもわかること。ということは、五城目町に住んでいる人たち(もちろん大阪に住んでいる僕たちも)は”それなりに満足”し、”それなりに納得”し、”それなりに幸せ”に生きてるに違いない。
けど、だからと言って、それでいいのか?その疑問がずっと頭をぐるぐる回ってモヤモヤしていた。
あるチームが発表で「今はそれでいいけど、20年後、30年後この町はどうなるのか」という発言をしていた。
そうなんだよ、そういうことなんだ。
けど、”今の生活で十分”という人の割合が高ければ高いほど、物事を変えるのは本当に大変になる。人の脳は”変化しないことを好むように”できている。そして、その現状維持層の割合が”無事に”下がった時には、もう取り返しのつかない状況になってるかもしれない。
この4泊5日という短い期間で、圧倒的な原体験をし、感動とともに秋田五城目の現状を確認できたことで、今回の探究旅行の成果としては十分すぎるものだとは思う。
ここから大阪での学校生活という日常の中で、彼らがたどり着いた着地点からさらに一歩進む手伝いがどこまでできるだろうか。。。
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