見出し画像

政治講座ⅴ695「米国資本市場からの中国企業分断(デカップリング)の猶予期間」

果たして、中国企業の粉飾・隠蔽体質が改善されているのであろうか。徐々に中国企業を廃止に誘導する手段であるが、投資家に対する被害を少なくするためと、その投資家が逃げ出すための延命猶予期間とも見える。一気に上場廃止になると色々支障(時価総額1.1兆ドルの危機)が生じるからの措置とみた。それ以外にも投資家に対する隠蔽、粉飾決算、などが暴露される可能性が多い。
米国は中国が米国証券市場から集めた金で世界を荒らしまわっていることにやっと気が付いたので浄化して、資本市場を分割(デカップリング)の方向に政策を変えていることに気が付くべきである。中国企業に投資した投資機関が逃げ出す猶予を与えられていると思うべきであろう。

       皇紀2682年12月17日
       さいたま市桜区
       政治研究者 田村 司

記事を時系列に並べた

2022.3.10

中国企業273社に「米上場廃止」リスク、時価総額1.1兆ドルが危機

米証券取引委員会(SEC)3月10日、中国でKFCやタコベル、ピザハット等を運営する「ヤムチャイナ」が、上場廃止の危機に直面していることを発表した。米国では昨年12月に「外国企業説明責任法(The Holding Foreign Companies Accountable Act)」が成立し米当局は、米国で上場する中国企業に対し、帳簿への全面的なアクセスを要求しているものの、ヤムチャイナはこれに応じていない。

SECはヤムチャイナ以外にも、半導体洗浄ツールのACM Researchや、バイオ医薬品のザイ・ラボ、BeiGene、HutchMedなどを上場廃止リスクがある273社のリストに加えている

これらの企業は、今後も公開会社会計監視委員会(PCAOB)に必要なアクセスを提供しなかった場合、2024年までに米国で強制的に上場廃止となり、合計で1兆1000億ドルの時価総額が失われることになる。

SECの発表を受けて、米国に上場している中国株は大幅に下落し、Nasdaq Golden Dragon China Indexは10日に10%急落し、2008年以来で最大の下げ幅を記録した。ヤムチャイナの株価は、ニューヨーク市場で11%下落した。

モーニングスターのイワン・スーは、「今後数週間のうちに、より多くの中国のADR(米国預託証券)が暫定リストに含まれると予想される」と述べており、米上場の200社以上の中国企業がいずれ上場廃止になるとの見方もある。

中国証券監督管理委員会(CSRC)は、「証券規制の政治化に反対する」としながらも、米規制当局と意思疎通を続ける意向を表明した。

問題の核心は、中国政府が長年、監査書類を国家機密とみなし、企業が米国の規制当局に帳簿を渡すと、国家の安全保障を危険にさらす可能性があると考えていることにある。

SECのゲンスラー委員長は、企業が米国で証券を発行するならば、その帳簿は査察の対象にならなければならないと指摘し、これまで50以上の国や地域がPCAOBの検査に協力したが、中国と香港はこれに反発していると述べた。

2022.6. 1 3

中国企業150社に上場廃止警告 米、時期早める構え

2022年6月13日 22:00 

中国企業の米上場問題を巡って米中の神経戦が続いている。米証券取引委員会(SEC)による新規則導入から約半年間で、ネット検索最大手の百度(バイドゥ)など150社が「上場廃止警告リスト」に入った。全上場企業の6割に相当する。当局は混乱回避に向けて協議を続ける一方、米議会は上場廃止時期を2023年に早めようとしている。資本市場の分断(デカップリング)は着実に進んでいる。

2022.8.16

中国の国有企業5社、米証券取引所からの上場廃止発表

2022年08月18日

中国国有企業の中国アルミニウム(チャルコ)と中国人寿保険、中国石油化工(シノペック)、中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国石化上海石油化工の5社は8月12日、米国ニューヨーク証券取引所(NYSE)からの自主的な上場廃止を申請するとそれぞれ発表した。5社はNYSEに上場している米国預託株式(ADS)を廃止する。

5社については、米国で2020年に成立した「外国企業説明責任法(HFCAA)」に基づいて米国証券取引委員会(SEC)が「委員会指定企業」に指定している。委員会指定企業は、米国公開会社会計監督委員会(PCAOB)が監査報告書を完全に審査できない企業が指定される(2021年12月8日記事参照)。委員会指定企業に指定された企業は毎年、外国政府機関による株式保有率などをSECに報告することが義務付けられる。委員会指定企業に3年連続で指定された企業の証券は米国の取引所での取引が禁止される。委員会指定企業は8月16日現時点で中国企業を中心に155社に上る(注)。

5社は発表でHFCCAには言及していない。ただ、各社は上場廃止の決定の理由として、上場維持にかかる行政手続き上の負担などを挙げている。米国では、2001年に発覚した米企業エンロンの不正会計事件などを契機に成立した「サーベインス・オクスレー法(SOX法)」の下、上場企業は監査についてPCAOBの審査を毎年受ける義務がある。SECは、中国と香港がPCAOBの審査に協力していないことを問題視している。米中の当局はPCAOBによる中国企業の監査情報へのアクセスについて協議しているが、SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は7月の記者会見で「(合意に至れない)リスクはある」と発言し、米中の合意に懐疑的な見方を示した(ブルームバーグ7月13日)。

(注)委員会指定企業への指定が確定した企業数。委員会指定企業への指定は2段階に分かれている。SECはまず暫定的な指定を行い、企業はそれに対して15営業日以内に不服を申し立てることができる。企業が申し立てしない、または申し立てが却下された場合に指定が確定する(2022年5月9日記事参照)。(甲斐野裕之)

2022.12.15

米、中国企業の監査「全面点検可能に」 上場廃止リスク回避

Reuters - 5 時間前

[ニューヨーク/香港/ワシントン 15日 ロイター] - 米上場企業会計監視委員会(PCAOB)は15日、米国に上場している中国企業の監査状況を検査するための全面的なアクセスを初めて得たと発表した。

米、中国企業の監査「全面点検可能に」 
上場廃止リスク回避© Thomson Reuters


アリババなど米株式市場に上場する中国企業約200社は、上場廃止となるリスクが回避された。
PCAOBのエリカ・ウィリアムズ委員長は「潜在的な問題を根絶し、企業に責任を持って解決させるため、完全かつ徹底的な検査・調査を行うことが史上初めて可能になった」と述べた。
B・ライリー・フィナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、上場廃止の恐れがなくなったように思える中国企業の見方が変わると指摘した。

しかし、15日の取引では中国企業の米国上場株はニュースを受けて上昇したものの、その後値を消し、一部は大きく下げて引けた。
電子商取引大手のアリババ、JDドットコム(京東商城)、およびインターネット検索大手の百度(バイドゥ)の米国上場株は3─5%安。音楽配信会社テンセント・ミュージックは3.5%下落。
S&P総合500種が2.5%下落した市場全体よりも大きく値を下げた。iシェアーズMSCI中国ETF(上場投資信託)は2.2%安だった。
監査で問題が発覚することへの懸念も聞かれた。
インガルス・アンド・スナイダーのシニアポートフォリオストラテジスト、ティム・グリスキー氏は今回のニュースについて、「理論的には投資リスクの一つが取り除かれる」はずだとしつつ、より厳しい会計監視によって問題が明らかになれば「特にそれを修正したり、潔白を証明する努力がなされない場合、このセクターにとって非常に悪い状況になる可能性がある」と述べた。
米中は今年8月、米上場の中国企業の監査状況を米当局が検査することを認める協定に調印。中国は長年、国家安全保障上の懸念を理由に検査受け入れに難色を示していた。
協定ではPCAOBに対し、中国企業の未修正の監査書類を入手して中国の監査法人職員から聞き取りを行う権限や、検査対象を独自に選ぶ裁量を与えた。
投資家などの間では、米検査官が実際に合意通りのアクセスを得たかどうかPCAOBの報告に関心が集まっていた。
PCAOBは、独自の裁量でKPMGの中国法人とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の香港法人を検査対象に選定したと明らかにした。
ウィリアムズ委員長は、検査では「多数の潜在的な不備」が見つかったとしたものの詳細には言及せず、他地域での初検査で見られたのと同類と述べるにとどめた。
また「きょうの発表を中国・香港企業(の監査状況)に問題がないことを示すものと誤解すべきではない」とくぎを刺した。報告書は来年に公表する。
米議会は2020年外国企業が3年連続で米国の監査基準を満たさない場合、米国の取引所から上場廃止にする法律を可決した
PCAOBを監督する米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は、PCAOBがこの日示した判断について、3年の順守期間がリセットされると述べた。同時に「中国当局は2023年以降もPCAOBに検査・調査全面アクセスを付与する必要がある」とも強調した。
会話を始める

2022.12.16

米当局、中国企業の監査確認可能に 上場廃止リスク低下

2022年12月16日 5:29

ニューヨーク市場には中国企業262社が上場する(ニューヨーク証券取引所)=AP


【ニューヨーク=斉藤雄太】米上場企業会計監視委員会(PCAOB)は15日、米株式市場に上場する中国企業の監査状況を確認するため、中国本土と香港の会計監査法人を検査できるようになったと発表した。中国企業は監査の「質」を担保できずに米国で上場廃止となる懸念がくすぶっていた。今回の進展はそうしたリスクの低下につながりそうだ。

PCAOBは8月の米中証券規制当局の合意に基づき、9~11月に国際会計事務所のKPMGの中国法人とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の香港法人に試験的な検査を実施した。中国国営企業を含む8つの契約案件について、監査状況を調べた。

米国側は検査にあたって
①対象案件の選定で中国当局や監査法人に事前通知せず、干渉も受けない
改ざんのない完全な監査報告書を含め必要な情報を保持できる
③案件の担当者に直接面談し、証言を得られる――の3点を重視した。
一連の作業を踏まえ、中国・香港企業の監査状況を検査するための「完全なアクセス権を確保した」(PCAOBのエリカ・ウィリアムズ委員長)と判断した。

今回の検査では、監査状況について多数の潜在的な問題点が見つかったものの、そうした点を発見できたこと自体が検査プロセスが正常に機能した証拠だと前向きに評価した。2023年以降も定期的な検査・調査を実施する計画という。今後、中国当局による妨害などがあった場合は、現在の評価をただちに変更する考えも示した。

米証券取引委員会(SEC)の監督下にあるPCAOBは投資家保護の観点から、米上場企業の監査を担当する監査法人を定期的に検査している。米上場の海外企業も対象で、世界で50以上の国・地域の監査法人を検査・調査している、中国政府国家安全保障にかかわる情報が流出しかねないとして拒んできた。

米中対立の激化や中国企業の不正会計問題の続発を受け、米議会では20年12月、外国企業説明責任法が成立した。3年連続でPCAOBの検査を拒んだ場合、その監査法人が担当する企業を米国で上場廃止にするもので、24年にも多くの中国企業が米市場から締め出される可能性が出ていた

米議会の超党派諮問機関の米中経済安全保障再考委員会によると、ニューヨーク市場に上場する中国企業は9月末時点で262社ある。このうち過半はSECが監査状況を検査できていないとして社名を公表しており、ネット通販大手アリババ集団や検索大手の百度(バイドゥ)などを含む。資本市場を舞台にした米中の摩擦が和らぐ方向に向かっていくのかが今後の焦点になりそうだ。


参考文献・参考資料


米、中国企業の監査「全面点検可能に」 上場廃止リスク回避 (msn.com)

米当局、中国企業の監査確認可能に 上場廃止リスク低下: 日本経済新聞 (nikkei.com)

中国の国有企業5社、米証券取引所からの上場廃止発表(中国、米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)

中国企業273社に「米上場廃止」リスク、時価総額1.1兆ドルが危機 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

中国企業150社に上場廃止警告 米、時期早める構え: 日本経済新聞 (nikkei.com)

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?