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やさしい物理講座ⅴ121「水星の近日点の移動の100年に約43秒角の謎」

 惑星軌道の近日点が時間とともに移動する現象。
ニュートン力学においても他の惑星の重力の影響によって、ある惑星が楕円軌道を一周した後、近日点がもとの位置からずれる。たとえば水星の場合、近日点移動は一世紀につき約574秒角である。そのうち金星の影響が約280秒角木星の影響が約150秒角他の惑星の影響が100秒角程度である。残りの約43秒角は謎であった。
今回はその謎に迫る。

     皇紀2684年9月7日
     さいたま市桜区
     理論物理研究者 田村 司

近日点の移動のイメージ

2つの天体が距離の逆2乗に比例する引力に従って運動すれば、理想的な状況では閉じた楕円軌道となる。
しかし、何らかの理由により理想的な状況から外れると、様々な摂動により軌道が乱れる
摂動によって楕円軌道そのものが回転する現象が近点移動である。 近点移動を引き起こす要因には、以下のように様々なものがある。

別の天体からの重力

例えば太陽系では全質量の99%以上が太陽に集まり、太陽の強い重力に引かれて惑星は楕円軌道を描いているが、太陽系内の別の惑星からも比較的弱い重力の摂動を受けている。この摂動により惑星の軌道は近日点移動を起こす。
太陽系の惑星で起こる近日点移動は、ほとんどこの効果で説明できる。

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