![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/155715590/rectangle_large_type_2_28713044fac432ae9d644708dbd1e66f.png?width=1200)
生物講座「赤ちゃんが赤ちゃんを産む生理現象」
信じられないが本当のことのようである。封入胎児は、二重体と呼ばれる一卵性双生児奇形の特殊な場合。
一卵性双生児の片方の発育が極端に悪く、もう片方の体内に寄生するように発育したもの。別名・胎児内胎児。発生学的原因及び奇形腫との違いは、完全には解明されていない。
今回は封入胎児(胎児内胎児)の報道記事を紹介する。
皇紀2684年9月26日
さいたま市桜区
生物研究者 田村 司
1歳の中国男児 おなかに「赤ちゃん」がいた
AFPBB News によるストーリー
![](https://assets.st-note.com/img/1727155192-bQmLO1F6UCPMgvwktl3Xzny9.png)
【9月24日 CGTN Japanese】中国中部の湖南省湘潭市で、1歳5カ月の男児のおなかが原因不明で膨らみ、湖南省人民病院で診察を受けた後、医師がそのおなかから発育不全の胚胎を取り出しました。このケースは「封入胎児」と呼ばれ、まれに見られる先天性疾患です。男児は21日に無事退院し、順調に回復しています。
男児の母親の紹介によりますと、3カ月前、両親が男児のおなかの右側上部が膨らんでいるのに気づきましたが、過食が原因と思い、病院には行きませんでした。その後、男児はますますおなかが膨れ、泣きわめくようになりました。湖南省人民病院小児外科を受診したところ、医師の検査で男児の腹腔(ふくこう)内に直径13センチの巨大な混在密度嚢胞性腫瘍があり、それが腹腔の大部分を占めていたため、腫瘍が破裂して出血し、おなかの中の重要な器官を圧迫するリスクがあり、すぐに取り除く手術が必要と判断されたということです。
病院の小児外科の専門チームがすぐに男児の「後腹膜腫瘍切除」手術を行ったところ、切り取られた「腫瘍」には完全な両手両足、背中、およびまだ完全には発育していない頭部があることが確認されました。
医師によれば、この「腫瘍」は実は封入胎児、または胎児内胎児と呼ばれるもので、一人の完全な胎児のある部分に別の一人、或いは複数の不完全な胎児が寄生していることを指します。封入胎児と男児とは双子の兄弟または姉妹であり、封入胎児は発育が不完全なために独立して生存することができず、栄養を取るために男児に頼る必要があります。男児の体内から切除された「腫瘍」は内生性の封入胎児で、発生率は新生児の約50万分の1と極めて低いとのことです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News
50万人に1人 胎児のお腹にもうひとりの胎児「胎児内胎児」(コロンビア)
2019年03月23日(土)21:00
![](https://assets.st-note.com/img/1727333505-kSpyqKvzfBCZ8sOrwQNU1ol3.png?width=1200)
50万人に1人の確率で発生するとされる非常に稀な先天性奇形「封入奇形胎児(胎児内胎児)」。このほどコロンビアで、母親のお腹に宿った胎児がその症状を抱えていることを専門医が発見した。
コロンビアで2月22日、モニカ・ヴェガさん(33歳)から3,175gの女児イツァマラちゃんが誕生した。実はイツァマラちゃんは一卵性双子のひとりで、もうひとりの胎児はイツァマラちゃんの腹部に取り込まれている「封入奇形胎児(胎児内胎児)」だった。
妊娠35週にモニカさんを診察した医師は、当初はお腹の胎児に肝嚢胞があると思ったという。しかしカラードプラ超音波と3D/4D超音波によるスキャン検査を行った結果、胎児の腹部に羊膜嚢に包まれ羊水に浮いている小さな別の胎児がいることを発見した。その胎児には栄養を運ぶ血液が流れる別のへその緒がついており、大きな胎児の腸の部分に結合していた。
アトランティコ県バランキージャで、高リスク妊娠を専門とするミゲール・パーラ・サーヴェドラ医師は「この症例は自身のキャリアの中でも初めてのケース」とし、女児の腹部に存在するもうひとりの胎児がこれ以上成長して女児の臓器に影響を及ぼすのを防ぐため、また出生時にこの胎児が女児の腹部の臓器を押し潰す危険性を避けるために妊娠37週の時点でモニカさんから帝王切開で女児を取り出すことを決意した。ミゲール医師から聞いたモニカさんは「あり得ない」と最初は信じられない様子だったが、医師の細かな説明を聞き、事態を理解したという。
女児が生まれた2月22日の翌日、腹腔鏡手術が行われ、医師らは体長約4.5cm~5cm、重さ14gほどの不正形成の胎児を無事に女児の腹部から取り出した。自身の羊膜嚢に包まれていたこの胎児には、未発達の頭部やへその緒、四肢があったが、脳や心臓がない状態だった。
イギリスの医師会雑誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal)」によると、「Fetus in fetu」と呼ばれる先天性奇形の最初の症例報告は1808年で、50万人に1人の確率で発生するとされている。この封入奇形胎児(胎児内胎児)は骨や筋肉組織、毛を含む腫瘍「奇形種(テラトーマ)」と誤診されることもあるが、ミゲール医師は今回の胎児は同じ卵子からの一卵性双生児として育っていたものであることを確信している。
未発達の胎児は、大きく健康な双子のかたわれと結合して生まれてきたり、吸収されて体の内部や外部で部分的に成長することがあることから、寄生性双生児などとも呼ばれている。『The New York Times』が伝えるところによると、こうした状態は受精後早い段階で起こった受精卵の細胞分裂がうまくいかず、不完全な状態で細胞分裂を繰り返し、大きな胎児が未成熟の小さな胎児を包みこんでしまうことにより起こる非常に稀なケースという。これまでの症例は少ないが、最近ではインドやインドネシア、シンガポールなどで似たような例が報告されているようだ。
ミゲール医師は「手術を終えた女児の容態は安定している。腹部に傷ができたが、普通の赤ちゃんとして順調に育っている」と話している。
画像は『The Sun 2019年3月21日付「‘PREGNANT’ NEWBORN Little girl is born with her own 14g twin growing INSIDE her tiny belly stunning doctors」(Credit: CENTRAL EUROPEAN NEWS)』のスクリーンショット(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)
封入胎児とは
封入胎児(ふうにゅうたいじ、英: fetus in fetu, inclusio fetalis、独: Fetus in fetu, fetale Inklusion、仏: fœtus in fœtu、羅: fetus in foetu)は、二重体と呼ばれる一卵性双生児奇形の特殊な場合。
一卵性双生児の片方の発育が極端に悪く、もう片方の体内に寄生するように発育したもの。別名・胎児内胎児(たいじないたいじ)。
発生学的原因及び奇形腫との違いは、完全には解明されていない。
発生確率は出生50万例に1例程度。さらに稀に、2体の寄生体が発育していることがあるが、文献に報告されたのは全世界で100例未満。
発育が悪いほうを寄生体、良好な方を自生体と呼ぶ。寄生体は自生体の頭蓋腔、眼窩、胸腔(縦隔)、腹腔(腹膜腔)、骨盤腔に存在することが多く、栄養を自生体に依存する。最も高度に分化した成熟奇形腫ととらえる見方もある。
CT、超音波などの画像診断と組織病理学により発見されるケースが多い。寄生体はほとんどの場合無脳症であるが、ほぼすべての症例で脊柱と四肢が存在する(それぞれ91%と82.5%)。そして下肢は上肢よりも発達している。脊柱があることにより、奇形腫ではないと診断される。
別名など
封入胎児という名称は完全に統一されてはいない。
参考文献・参考資料
1歳の中国男児 おなかに「赤ちゃん」がいた (msn.com)
50万人に1人 胎児のお腹にもうひとりの胎児「胎児内胎児」(コロンビア) (2019年3月23日) - エキサイトニュース (excite.co.jp)
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?