政治(防衛・外交)講座v524「新ファイブアイズ構想の行方」
中国の振る舞いは極めてひどく、明らかに敵対的で攻撃的なため、自由・民主主義などの価値観を共有し、その覇権主義に防波堤をつくる必要があることで、共有認識になったことは良いことである。そしてこれが防衛としての抑止力に繋がると確信している。
皇紀2682年11月1日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
日米英豪加の「新ファイブアイズ」が浮上、中国メディア「中核的な役割演じる可能性も」と警戒
Record China 2022/10/29 18:45
© Record China
中国に対抗して日本と米国、英国、オーストラリア、カナダの5カ国で構成する枠組みの「新ファイブアイズ」が浮上、と中国メディアが伝えた。この中では「新ファイブアイズが米国の『インド太平洋戦略』で中核的な役割を演じる可能性を否定できない」として、警戒感を示した。
ファイブアイズは米英豪加にニュージーランドを加えたアングロサクソン系の英語圏5カ国による機密情報共有組織。米英が立ち上げ、1950年代までに加、豪州、NZも参加した。米国以外は英連邦の構成国だ。
米国を中心に「エシュロン」と呼ぶ通信傍受網で電話やメールなどの情報を収集、分析しているとされる。参加国の情報機関は相互に傍受施設を共同活用する。長らく公式に存在を認めていなかったが、2010年の関連文書の公開で活動の一端が明らかになった。
新ファイブアイズに関連して、中国網は豪州を訪問した岸田文雄首相が22日、アルバニージー豪首相と「新安全協定」に署名した、と紹介。「日本はすでに豪州を米国に次ぐ緊密な安全パートナーとしている。重視すべきは米日安全関係の急速な強化が単独的な現象でないことだ。米日の最近のアジア太平洋における一連の軍事安全活動と結び付けると、米国主導の新ファイブアイズが徐々に形成されていることが分かる」と続けた。
さらに「英豪加は最近、日本との軍事安全交流に非常に意欲的だ」と言及。「日英は5月に『円滑化協定』に署名し、二国間関係を『準同盟』に格上げした。加外相は10月中旬に訪日した際に、両国は軍事情報を共有する『情報保護協定』に向けた調整を開始することで合意した」と付け加えた。
中国網は「さまざまな動きは地政学および大国の競争という考えに支配される新ファイブアイズが冷戦を背景とする宗教・信仰・価値観を元に形成された伝統的なファイブアイズに取って代わる可能性があることを示している」と指摘。「米国の世界戦略の重心が『インド太平洋』にシフトし、中国を最も主要な『戦略的競争相手』とするのに伴い、大国の競争への対応が近年徐々にファイブアイズの重要な機能になっている」とした。
日本の参加については「ファイブアイズに憧れている」とする一方で、「日本が加盟するためには多くの技術的問題がある」と論評。「これは主に日本国憲法が政府による公民の情報の取得を制限しており、また日本国内の情報体制および情報収集能力に不備があるためだ。さらに国内の民意の反発により、日本が加盟するための条件は短期的に備わっていない」と述べ、早急な参加は困難との見方を示した。(編集/日向)
中国警戒で広がる「ファイブアイズ」の役割-日独加わる余地の議論も
Peter Martin (News)、Kitty Donaldson、Kait Bolongaro
2020年10月22日 10:29 JST
「一種の冷戦への逆戻り」-英国王立防衛安全保障研究所のエヤル氏
枠組みが大きくなれば情報源を守る上で懸念が増すとの指摘も
米国やオーストラリアなど欧米の価値観を共有する国々が中国との対立を深める中で、米豪英とカナダ、ニュージーランドの5カ国から成る機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」が役割を広げつつある。
新型コロナウイルス感染症(COVID19)や子どもの人身売買といったあらゆる問題で情報分析の向上を追求するファイブアイには、メンバーを増やす呼び掛けもなされている。
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジョナサン・エヤル国際安全保障部長は「かつてアンゴラで起きた出来事をソ連のプリズムを通して見たように、世界中で集められた情報は常に中国アングルを持つようになる」と述べ、「一種の冷戦への逆戻りだ」と指摘する。
スパイが活躍する映画「ミッション:インポッシブル」シリーズとは違い、ファイブアイズには正式なスタッフも本部もない。米国家安全保障局(NSA)や英政府通信本部(GCHQ)、豪秘密情報局(ASIS)などの組織をつなぐ非公式なネットワークだ。2000年代前半まではその存在が公に認知されることはなかったが、今は会合が時折、報道資料で伝えられる。
事情に詳しい関係者によれば、英語圏5カ国のパートナー関係は、電波信号傍受による情報活動に焦点を絞っていた以前と比べるとはるかに進展しており、新たに発生するさまざまな課題に対応するのに不可欠なフォーラム的な特徴を帯びつつある。
ラーブ英外相は6月、中国による香港国家安全維持法(国安法)導入で香港市民が脱出する事態に備え、ファイブアイズのパートナーに「負担の分担」を訴えた。その後、バー米司法長官を含めた内務担当相はオンラインを介した子どもの性的虐待と「敵対的な国家の活動」について協議。財務相会合ではCOVID19の経済的影響が話し合われ、5カ国の国防相は定期会合を増やすことで合意した。
カナダ安全情報局(CSIS)のトップだったリチャード・ファデン氏によれば、「中国は今、ファイブアイズ全ての国および西側諸国にとって脅威だと一般的に認識されている」という。
ロイター通信は2018年10月、ファイブアイズが中国に対抗するためドイツや日本などを加える余地を広げたと報道。今年8月には河野太郎防衛相(当時)が日本経済新聞とのインタビューで、ファイブアイズとの連携強化に意欲を示した。
ただ米中央情報局(CIA)の中国での責任者を務めた経験があるランディ・フィリップス氏は「枠組みが大きくなればなるほど、情報源と情報収集のやり方を守ることについての懸念が増す」と説明。豪国防省で戦略・情報担当の幹部だったヒュー・ホワイト氏は、電波信号傍受をベースに長年続いたパートナーシップを中国の挑戦に対抗するため活用できるというアイデアには「極めて懐疑的」との見方を示した。
実際、中国の行動に目を光らせても難題は残る。例えば、オーストラリアは中国への対応で主張を強めつつあるが、中国は豪最大の貿易相手国。英国も欧州連合(EU)離脱後の世界で貿易相手を必要とする。
今月の総選挙で与党が大勝したニュージーランドは中国と足並みをそろえることに慎重な傾向にあったが、中国は祝意を示し両国間の「相互信頼と協力」を強調した。英国のラーブ外相は最近、米中の「新冷戦」に自国がとらわれることに警戒感を示した。
それでも、RUSIのエヤル氏はファイブアイズの協力関係強化について「中国がわれわれに必要な接着剤を提供している」との認識を示す。「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まってから、また今年が始まって以降、中国の振る舞いは極めてひどく、明らかに敵対的で攻撃的なため、政治家を一段と結束させている」と指摘した。
原題:‘Five Eyes’ Spy Alliance Trains Focus on Xi in Echo of Cold War(抜粋)
ファイブ・アイズとは 英語圏5カ国で機密情報共有
2020年8月15日 2:00
▼ファイブ・アイズ 米英などアングロサクソン系の英語圏5カ国によるUKUSA協定に基づく機密情報共有の枠組みの呼称。米英が立ち上げ、1950年代までにカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わった。米国以外は英連邦の構成国である。
米国を中心に「エシュロン」と呼ぶ通信傍受網で電話やメールなどの情報を収集、分析しているとされる。参加国の情報機関は相互に傍受施設を共同活用する。長らく公式に存在を認めていなかったが、2010年の関連文書の公開で活動の一端が明らかになった。
日本は5カ国と安全保障面で協力を進めている。米国は日米安全保障条約に基づく同盟関係に基づいて連携する。英豪などとの関係は「準同盟国」とも呼ばれ、情報保護協定や物品役務相互提供協定(ACSA)などを結んでいる。
参考文献・参考資料
日米英豪加の「新ファイブアイズ」が浮上、中国メディア「中核的な役割演じる可能性も」と警戒 (msn.com)
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