政治講座ⅴ773「50歩100歩の機密文書問題」
「五十歩(逃げた者)が百歩(逃げた者)を笑う」
由来は漢文「孟子」
「五十歩百歩」の由来は中国の漢文「孟子」です。戦国時代、中国の梁の恵王が「凶作の地にいる人を移住させ助けようとするも人が集まってこない。なぜだ?」と孟子に問うたところ、「戦地で五十歩逃げた人が、百歩逃げた人を臆病だと嘲笑ったら、どう思うか?」というたとえ話を持ち出したそうです。
そのたとえ話に恵王は「逃げたという事実は変わりないから同じである」と答えました。孟子は「その道理が理解できているなら、他国より多い人数を望むべきではない」と返し、同等の立場にありながら、相手を嘲笑う愚かさを表現したのです。ちなみに、当時の中国では国にどれだけの人民がいるかで争いをしていた背景があります。
翻って現在の米国の機密文書管理について論じる。これぞ、現代版の「50歩100歩」である。今回は報道記事を紹介する。そして、日本はスパイ天国と言われる昨今であり、機密情報管理において「他山の石」とすべきである。
皇紀2683年1月18日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
バイデン氏の機密文書問題、トランプ氏と「平等な扱いを」…共和党
読売新聞 - 2 時間前
【ワシントン=田島大志】米国のバイデン大統領の事務所や私邸で機密文書が見つかった問題で、共和党議員は15日、公表が遅れたことを「不透明だ」などと相次いで批判した。以前にはトランプ前大統領も同様の問題が発覚しており、共和党はバイデン政権に対し、両氏の問題への対応の違いについて追及する構えだ。
米共和党のジム・ジョーダン下院司法委員長は15日、FOXニュースの番組で「透明性が欠如している。ホワイトハウスは透明だと言っているが、正反対だ」と批判した。同委は問題の調査をすでに始めている。
ジョーダン氏は、中間選挙前の昨年11月2日に文書が見つかったことに触れ、「国民は1月9日に報道があるまで知らなかった。トランプ氏は中間選挙前に自宅を捜索されている。二重基準だ」と訴えた。
共和党のジェームズ・コマー下院監視・説明責任委員長も15日、CNN番組で「中間選挙の前に、バイデン氏側はトランプ氏に特別検察官を立てた。政治的なもので、偽善だ」と指摘した。両氏の問題で「平等な扱いを求める」とも強調した。
機密文書発見のバイデン氏自宅、訪問者記録は存在せず=ホワイトハウス
BBC News -
アメリカのジョー・バイデン大統領の自宅で副大統領時代の機密文書が見つかった問題で、ホワイトハウスは16日、大統領の自宅の訪問者記録は存在しないと発表した。
機密文書発見のバイデン氏自宅、訪問者記録は存在せず=ホワイトハウス© BBCニュース 提供
野党・共和党はデラウェア州にあるバイデン大統領の自宅で機密文書が見つかったことを受け、訪問者記録の開示を求めていた。ホワイトハウスは、そうした情報を公開するかどうかについて明言を避けていた。
大統領顧問室は16日、大統領の自宅については誰が訪問したのかを把握する慣例はないと説明した。
大統領顧問室スポークスマンのイアン・サムス氏は、「数十年の近代史におけるすべての大統領と同様に、(バイデン氏の)私的住居は個人的なものだ」と述べた。
大統領私邸の訪問者は記録せず
警護を担当するシークレットサービスはこれまで、大統領の私邸について訪問者記録を管理していないと説明してきた。米連邦捜査局(FBI)が数百もの機密文書を見つけたドナルド・トランプ前大統領の私邸兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」をめぐっても、訪問者記録は保存されていないと裁判所への提出書類で説明している。
一方で、シークレットサービスはデラウェア州ウィルミントンのバイデン氏の自宅や、同州リホボスビーチの同氏の別荘に常駐し、入室前に訪問者のスクリーニング検査を行っている。
ホワイトハウスについてはウェブサイト上で訪問記録を公開している。これはバラク・オバマ政権時代に導入された。トランプ政権時代に一時停止されたが、バイデン氏が大統領に就任した際に復活した。
共和党が多数派の下院監視委員会のジェイムズ・コマー委員長(共和党)は先週末にホワイトハウスのロン・クレイン大統領首席補佐官に宛てた書簡で、「バイデン大統領による誤った機密資料の取り扱いが、彼が我々の国家安全保障を脅かしているかどうかという問題を提起している」と述べた。
「彼の住居を訪問した人物のリストがなければ、誰がこれらの非常に機密性の高い文書にアクセスしたのか、米国民は決して知ることができない」
最高機密の文書も発見か
バイデン氏をめぐってはこれまでに、自宅や、ワシントンのシンクタンク「ペン・バイデン・センター」にあったかつての私的オフィスで、少なくとも合わせて約20の政府文書が見つかっている。
これらの文書はオバマ政権下で副大統領を務めていた時期のもの。最高レベルの「top secret(極秘)」に指定されているものもあったと、米CBSニュースは報じている。
14日には、バイデン氏の自宅から機密文書が新たに6ページ見つかったとホワイトハウスが発表した。
大統領記録法では、機密文書を含むホワイトハウスのすべての記録を、大統領は任期満了時に国立公文書館に引き渡すことが義務づけられている。
ホワイトハウスは「不注意によりこれらの文書の置き場所を誤った」とし、調べに全面的に協力していると説明している。
現在、司法省の特別検察官がバイデン氏による文書の取り扱いについて捜査を進めている。下院監視委員会は独自に調査を開始するとしている。
参考文献・参考資料
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