
政治講座ⅴ1863「米国の核を含む戦力(核共有)で日本を守る拡大抑止策」
人類は「性善説・性悪説」どちらであろうか。肉食動物は無暗に餌となる動物を殺さない。自分が生きるために食料(餌)として殺して食するのである。しかし、「食う」ためではなく、「殺す」ことに快楽を感じて、そのために「殺す」ゲーム、つまり狩猟ゲームを趣味するハンターもいる。
翻って、人間同士の殺し合い、つまり戦争は人間の持っている本性であることは間違いがない。では、戦争を防止する方法は攻撃を仕掛ける相手より強くなり、相手に報復を恐れ、手出しをしないと思わせることが、ベストであろう。
旧ソ連が崩壊してウクライナが独立したときに、核兵器を保持していたが、放棄することになった協議と覚書がある。
それが、ブダペスト覚書である。ウクライナは核兵器を放棄したのであるが、その結果、ロシアの侵略を招いているのである。核兵器のない弱い国は侵略されて滅ぼされるのが国際政治の常である。
ブダペスト覚書とは1994年12月5日にハンガリーの首都ブダペストで開催されたOSCE(欧州安全保障協力機構)会議において、アメリカ・イギリス・ロシアの核保有3ヶ国が署名した覚書である。内容としては、ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタンが核不拡散条約に加盟したことに関連して、協定署名国(つまりアメリカ・イギリス・ロシア)がこの3ヶ国の安全を保障する、という内容のものである。またフランスと中国は、別々の書面で若干の個別保障をしている。しかしながら、署名した国々の1つであるロシア自体が2022年にウクライナに侵攻したので、(ロシアの署名分に関しては)この覚書は既に破棄されている(また、2014年のクリミア併合でも既に反故にしていることは、ロシアの2018年大統領候補のクセニア・ソブチャク(ロシア語版)からも違反行為という声が上がった)。
この様な国際政治の荒波を日本はどのように乗り越えてゆくべきであろうか。
今回はそのような報道記事を紹介する。
皇紀2684年7月22日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
核兵器を含む拡大抑止を明文化、日米が初の共同文書…中国・ロシア念頭に年内策定を目指す
読売新聞 によるストーリー
日米両政府は、米国の核を含む戦力で日本を守る拡大抑止に関する初の共同文書をとりまとめる方針を固めた。日米の外務・防衛担当閣僚が今月下旬、東京で、核抑止力などを巡る協議を開催して方向性を確認する。中国やロシアなどによる核の脅威が増す中、米国の方針が揺るがないことを文書で明確化することで、抑止力を高める。

複数の日本政府関係者が明らかにした。日米両政府は2010年に外務・防衛担当の実務者による定例の拡大抑止協議を設置し、議論を重ねてきた。日本政府関係者によると、これまでの蓄積を踏まえ、共同文書には、抑止力を発揮するための日米両政府の考え方を明記する。年内の策定を目指すという。
具体的には、米国が核兵器などを通じて日本周辺の抑止に貢献するとの決意を文書に盛り込む。日本がどのような事態に直面した場合、米国が第三国に対する報復を実施するか――など、平時から有事までを想定して米側が提供する能力について整理し、方向性を記すものとみられる。
日米間の拡大抑止を巡る実務者協議の内容は、軍事行動に関する機微なやりとりが含まれるため、詳細な公表が控えられてきた。だが、近年は「日米が緊密に意思疎通していることを外国に見せること自体が抑止力になる」(日本政府関係者)との考えから、協議内容の概要に限って公表されるようになっている。
共同文書の詳細は安全保障上の理由で公表されない見込みだが、文書の作成自体は対外的に打ち出す方向だ。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略は、北大西洋条約機構(NATO)側が軍事介入の意思を示さなかったことが引き金の一つとなったと指摘されている。
日米両政府は、拡大抑止に関する方針を明文化した共同文書をまとめることで米国が日本を守る意思を示したい考えだ。
日本周辺では、中国が、核兵器を含む軍事力の拡大を不透明な形で図っている。中国が日本を侵攻する場合、米国の介入を阻むことが前提だとされており、日本は米国の関与を重視している。
◆ 拡大抑止 =自国に限らず、同盟国が武力攻撃された場合にも報復する意図を示すことで、第三国による攻撃を未然に防ぐ安全保障政策。米国は「核の傘」に加え、通常兵器も含める形で、日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に抑止力を提供している。
参考文献・参考資料
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?