政治講座ⅴ418「富裕層からの略奪が目的の共産主義の暴力革命、ロシアは祖先返りし恐怖政治へ」
今回は、舛添 要一氏(国際政治学者)の見解をお聞きしよう。
皇紀2682年10月9日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
【舛添直言】劣勢に回ったロシア、それでも侵攻をやめないプーチンの「理屈」
舛添 要一 - 37 分前(舛添 要一:国際政治学者)
ロシアはウクライナ4州を併合し、ロシアと一体の領土としようとしている。しかし、軍事的には各地の要衝をウクライナ軍に奪還されるなど、劣勢に立たされている。ウクライナ戦争は大きな転換点を迎えている。
4州併合とロシア軍の劣勢
ロシアは、ドネツク、ルハンスクの東部2州、ヘルソン、ザポリージャの南部2州を併合し、国会で採択された関連法案にもプーチン大統領が署名して、10月5日には統合の手続きが完了した。その結果、ロシアは、通貨、税制、経済システム、司法などの諸制度をロシア化する作業を加速化させることになる。また、ザポリージャ原子力発電所も国有化する。
しかし、ウクライナや日米欧の先進民主主義国をはじめとする国際社会は、この併合を認めておらず、紛争は続いていくだろう。
一方、ウクライナ軍は反転攻勢を強めており、ドネツク州北部の鉄道の要衝リマンを奪還したり、ヘルソン州で複数の集落を解放したりしている。
アメリカは、ウクライナがロシアに奪われた領土を回復するまで支援を続けることを明言しており、4日、新たに6億2500万ドル(約900億円)の追加軍事支援を行うことを表明した。2月のロシア軍による侵攻以来、アメリカのウクライナへの軍事支援の総額は168億ドル(約2兆4300億円)に上っている。
ロシア軍は各地で劣勢に立たされており、それが予備役30万人の召集の背景にある。しかし、予備役対象者のデータが不備であり、召集に際しては多くの混乱が生じている。
予備役召集に反対する反戦デモもロシア各地で起こっており、また、徴兵逃れのために国外に脱出したロシア人の数が70万人に達したという報道もある。
軍幹部を次々に更迭
一方、強硬派からは、軍による作戦の失敗を非難する声も上がっている。そのような批判を意識したのか、プーチンは、3日、西部軍管区司令官のアレクサンドル・ジュラブリョフ大将を更迭した。ハリコフ州の要衝イジュームをウクライナ軍に奪還されたことの責任を問われたようである。
先にも、ドネツク州の拠点リマンから撤退したことについて、中央軍管区のトップが非難されている。
9月24日には、兵站担当のドミトリー・ブルガコフ次官が解任されている。補給作戦の失敗がロシア軍に苦戦を強いたという判断に基づくものである。
プーチンは失脚するか
以上のような状況から、プーチンが近く失脚するのではないかという観測もあるが、その機はまだ熟していない。9月29日にロシアの独立系世論調査機関「レバダセンター」が公表した世論調査結果によると、プーチン大統領の支持率は前月の83%から77%に下がっている。不支持率は21%で前月より6%上がっている。
この支持率低下は予備役召集が理由である。
しかし、政府とは無関係の機関による調査でも、まだ支持率は高い。国民の不満もプーチンを政権から放逐するところまでは高まっていないと見るほうが間違いないであろう。
これから冬が到来する。極寒と雪の中で、兵器の稼働率、兵員の体力などからも、戦闘のテンポが遅くなる。その間に、ロシア軍は新規参入の兵士の訓練、兵器の補充などを行い、態勢の建て直しを図るであろう。
また、東南部4州を併合したことにより、併合州へのウクライナ軍の攻撃をロシア本土への攻撃とみなすということになる。それは、核兵器の使用を合理化することにつながる。
敗戦や屈辱を避けるために核兵器を含むあらゆる手段を使うことは、ロシアの公式な戦略である。この核兵器使用という威嚇を行うこともまた時間稼ぎであり、欧米のウクライナへの武器支援の拡大を阻止する方策なのである。
戦争は越年し、長期化することが考えられる。ベトナム戦争のように泥沼化することも想定せざるをえない。
アメリカが指導力を発揮して、プーチンとゼレンスキーに停戦させるしか、早期の解決は期待できないが、バイデン大統領にその指導力があるとは思えない。
そして、プーチンという指導者がどのような思想と行動で動いているかも重要である。参考になるのは、プーチンが尊敬する帝政ロシアとソ連邦の政治家である。
プーチンが敬愛する帝政ロシアの政治家ストルイピン
プーチンは、セルゲイ・ヴィッテ(1849年〜1915年)と並ぶ帝政ロシアの偉大な政治家、ピョートル・ストルイピン(1862年〜1911年)を高く評価する。
日露戦争講和で活躍したヴィッテが1905年11月に首相になり、憲法制定にも力を注ぐが、翌年の6月に辞任する。内務官僚のゴレムイキンが後継首相となるが、短命に終わる。その後、7月にストルイピンが首相に就任した。
彼は、反体制派を徹底的に弾圧し、多くのテロリストを処刑したため、絞首台の綱が「ストルイピンのネクタイ」と呼ばれたくらいである。しかし、他方では、テロルの根源にあるロシア社会、特に農業の改革に全力をあげた。
土地改革によって、ロシアの穀物生産は飛躍的に伸び、生産・輸出とも世界一になり、石油や鉄鋼の生産も増え、工業生産も急増した。この時期の経済発展には瞠目すべきものがあり、海外からの投資を呼び寄せることにもつながった。
ストルイピンに自分自身を重ね合わせるプーチン
プーチンは、危機の時代に偉大なロシアを発展させた指導者としてストルイピンを位置づけ、1990年代の危機からロシアを救った自分とオーバーラップさせている。
フィオナ・ヒルとクリフォード・ガディが言うように、「プーチンはピョートル・ストルイピンのような過去数世紀に活躍した国家主義者たちと自分を重ね合わせ、自らをロシア史の主役へと変身させた」のである。
たとえば、ストルイピンは新生のドゥーマ(国会)に政府と協力する役割を期待したが、プーチンも同様に、現代のドゥーマは大統領を支えるのが仕事だと喝破する。
1907年にストルイピンは、国会議員に対して、「諸君に必要なのは偉大なる変革だが、われわれに必要なのは偉大なるロシアだ」と批判する。これもプーチンのお気に入りの文句である。2011年に、このフレーズを真似て、プーチンは「われわれに必要なのは偉大なる変革ではない。偉大なるロシアだ」と述べている。
1907年に、外国人記者のインタビューに答えて、ストルイピンは「国家に20年の内外の平静が与えられれば、改革事業が完成し、ロシアは見違える姿に変わるだろう」と述べた。プーチンは、「私に20年間を与えてくれれば、ロシアは見違える姿に変わるだろう」と自分に都合の良いように変更して引用している(『プーチンの世界 「皇帝」になった工作員』、新潮社、2016年、96〜100p)。
ウクライナ4州の併合を満場一致で承認したロシア国会の動きをみれば、プーチンが国会は「大統領を支えるのが仕事だ」と見なしており、国会もそれに応えていることは明白である。そこには三権分立などという考え方はない。
このように、国家と自分を同一視するプーチンの思想と行動を念頭に置いておかなければ、今後のウクライナ戦争の展開予測を間違う危険性がある。
スターリンと同じ理屈で動くプーチン
プーチンが影響を受けている先達がもう一人いる。スターリンである。
プーチンは、スターリンは祖国をファシズムから守った偉大な政治家だとして高く評価する。そのため、スターリン批判を禁止したほどである。
「人類史上一番偉い人はだれか」を問うた2021年5月のロシア人に対する世論調査では、1位がスターリンで39%、2位がレーニンで30%、3位がプーシキンで23%、4位がピョートル大帝で19%、5位がプーチンで15%である。
スターリンは、1939年8月23日に独ソ不可侵条約を締結し、ヒトラーと組んでポーランドを分割領有したり、バルト三国などを支配下においたりしたが、これは第一次世界大戦、ロシア革命とそれに伴う内戦の混乱の中で奪われたロシア帝国の領土を回復する試みであり、まさに「歴史的不正義を正すこと」だった。
ロシアは、2022年2月24日、ウクライナに侵攻したが、プーチンによれば、それは、ベルリンの壁崩壊、ソ連邦の解体という混乱の30年間に失われた領土と支配地域を回復する作業の一環である。
1989年のベルリンの壁崩壊で東西冷戦は終わったが、アメリカが盟主を務める西側が勝利し、ロシアが率いる東側が敗けた。3年後の1991年12月にはソ連邦が解体し、15あった共和国はそれぞれ単独の国家として独立していった。
冷戦の敗者であるロシアにおいて、2000年3月の大統領選挙で当選し、大統領に就任したのがプーチンである。アメリカと勢力を二分したソ連邦の時代を懐かしむプーチンは、ソ連帝国、強いロシアの復活、失われた領土の回復を大きな目標に掲げる。まさに、スターリンと同じである。
プーチンもまた、スターリンと同様に「歴史的不正義を正す」ための戦いを挑んでいる。スターリンは、ドイツと組んで1939年にポーランドを分割したとき、1921年にポーランドに奪われた西部ベラルーシと西部ウクライナに軍を進めたのは、ベラルーシ人とウクライナ人を解放するためだと豪語した。プーチンもまた、ウクライナ東部のドンバス地方に住むロシア人を解放するためだと、ウクライナ侵攻を正当化している。2人の論理は酷似している。
「恐怖」によって兵士を戦場に追い立てたスターリン
1941年6月22日未明、独ソ不可侵条約を破棄して、ドイツ軍はソ連に侵攻する。ヒトラーのバルバロッサ作戦の開始である。ドイツ軍の侵攻に備えていなかった赤軍は、ドイツ軍の怒濤のような進撃に次々と崩壊していく。ドイツ軍に比べて、装備も訓練も士気も劣っており、彼我の戦力は比較すべくもなかったのである。
この状態を変えるために、スターリンは、7月に軍事コミッサール制を復活させ、党の代表による部隊の監視を行う。さらに、8月16日には「捕虜になることを犯罪とする」最高司令官命令を発令した。
秘密警察などを統括するNKVD(内務人民委員部)は、兵士が前線から後退したり、脱走したりするのを阻止するために「特務部」を設置し、戦闘から離脱する将兵を逮捕し、処刑していった。この特務部は、開戦から10月10日までの3カ月半に、2万6000人の将兵を逮捕し、1万人以上を射殺した。
スターリンは、司令官たちにも同様な厳しい措置をとった。西部戦線の司令官ドミトリー・パヴロフをはじめ、西部方面軍の幹部たちに敗北の責任を問い、7月22日に銃殺したのである。
このように、スターリンは、処刑という恐怖による威嚇によって将兵に戦闘を継続させるという手法もとった。
次々と司令官を解任するプーチンの手法は、スターリンの独裁を真似たものである。スターリン時代のように、その恐怖の手法が現代のロシアに通用するかどうかは不明だが、プーチンの行動にスターリンが大きく影響を及ぼしていることを忘れてはならない。
戦争が長期化し、ロシア兵の死者が増えれば、国民の反戦気運は高まる。そのときには、「ファシズムとの戦い」というスローガンは力を失ってしまう。スターリン体制下で、この同じスローガンが意味を持ったのは、初戦の劣勢を跳ね返し、ベルリンに向かってドイツ軍を撃破していった赤軍の働きがあったからである。プーチンが、ナチスに対するスターリンの勝利を再現しようとするならば、核兵器使用という選択となるかもしれない。
世界は、第三次世界大戦への瀬戸際に立っている。
「孤立」払拭狙う? プーチン氏、旧ソ連圏首脳と異例の「誕生日会」
朝日新聞社 - 昨日 19:00
ロシアのプーチン大統領が7日、70歳の誕生日を迎えた。故郷のサンクトペテルブルクに旧ソ連構成国の首脳を集めて異例の会議を開いており、ウクライナ侵攻で深まる孤立イメージの払拭(ふっしょく)を狙ったとみられる。一方、今年のノーベル平和賞は同日、政権が弾圧するロシアの人権団体メモリアルに決まり、皮肉な「誕生日プレゼント」になったが、それに対する発言はなかった。
「歴史的に最も親しい友人であり、同盟国である国々の指導者とここで会えるのをたいへんうれしく思っている」
サンクトペテルブルクのコンスタンチノフスキー宮殿で7日に開かれた旧ソ連圏の独立国家共同体(CIS)の非公式首脳会議。プーチン氏は会議の冒頭、こう述べて、各国首脳を歓迎した。
ただ、翌週、中央アジア・カザフスタンで公式の首脳会議が控えているなかでの異例の開催。急に決まったためか、加盟9カ国中、参加したのはプーチン氏を含む8カ国の首脳だった。慌てたのがロシアと軍事的にも経済的にも同盟関係にある中央アジア・キルギスだ。
プーチン大統領の誕生日を皮肉で祝った世界の国々
東スポWEB の意見 - 昨日 14:40
プーチン大統領は10月7日に70歳になった。ウクライナ侵攻を支持するロシア正教会最高位のキリル総主教はその日、プーチン氏を称賛し、心身の健康を願うとする声明を発表した。
一方、ウクライナ侵攻に反対する人々はプーチン氏の誕生日を祝いたくないだろう。チェコ・プラハの人々は、プーチン氏の等身大の全裸像をさらし上げて、誕生日を皮肉で祝った。全裸像は金色のトイレに座り、トイレたわしを持っている。多くの人々がその全裸像を担いでプラハを練り歩いた。
また、リトアニアのアルヴィダス・アヌサスカス国防相は、プーチン氏が家族とともに秘密の核シェルターに隠れているという噂に言及して、ツイッターで「プーチン大統領は誕生日プレゼントとして、人とのコミュニケーションを取るための双眼鏡を贈られました。リトアニアの人々はプレゼントとして〝花火〟をあげたいので、買う資金を集めています」と記した。プーチン氏は暗殺などを恐れ、人と会わずに隠れているため、双眼鏡で遠くから人をのぞき見てろという皮肉。花火はミサイルの比喩だろう。
一方、ウクライナのオレクセイ・レズニコフ国防相は「お誕生日のお祝いとして、『臆病者』の称号を与えます」と揶揄した。
そんな中、プーチン氏は世界の指導者の1人から支持的な誕生日メッセージを受け取った。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は「地域の平和と安定を守り国際的な正義を実現するための闘いで、両国の相互の支持と協力が前例がないほど強化されつつある」と祝電を送った。朝鮮中央通信が報じた。
プーチン政権内部で陰口「ウクライナへの執着強すぎる」、直接異議唱える側近も…米メディア
読売新聞 - 昨日 20:45
米紙ワシントン・ポストは7日、ロシアのプーチン大統領に対し、側近の一人がウクライナ侵略の進め方について直接異議を唱えたとする情報を米情報機関が入手したと報じた。露大統領報道官は情報の内容自体は否定しつつ、政権内に「見解の相違がある」と認めた。ウクライナ軍の反転攻勢により露軍は劣勢で、米バイデン政権は「政権中枢の混乱を示す兆候」として注視しているという。
この側近が侵略作戦の進め方についてプーチン氏に直接、不満を伝えたのはここ数週間の出来事という。バイデン米大統領には、側近の実名も伝えられたという。
欧州の高官が同紙に語ったところによると、プーチン氏のウクライナへの執着が強すぎることに対する陰口も政権内部で増えているという。プーチン氏を政権から引きずり降ろす兆しは確認されていないという。
政権の動向に詳しいカーネギー財団のタチアナ・スタノバヤ研究員は最近、米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」で、プーチン氏が「核の脅し」を強め、兵員補充のため部分的動員を発令したことで、政権内部や露社会で「どこまでプーチン氏についていくべきか」という問いかけが始まっているとの見方を示した。
露有力紙RBCなどによると、ウクライナ侵略作戦に参加している露軍東部軍管区の司令官が解任され、ルスタム・ムラドフ中将に交代した。東部ハルキウ州などでウクライナ軍に占領地を奪われた責任を問われたとみられる。
侵略に参加している露軍西部軍管区の司令官も最近、更迭されている。
クリミア大橋爆発 プーチン氏、インフラ警備の強化を命令
毎日新聞 - 2 時間前
2014年にロシアが一方的に「併合」したウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ橋「クリミア大橋」で起きた爆発をめぐり、ロシアのプーチン大統領は8日、橋や電気と天然ガスをクリミア半島に供給するインフラの警備を強化するよう指示する法令に署名した。ロイター通信が露メディアの報道として伝えた。
クリミア大橋はプーチン氏の肝いりで18年に自動車用、翌19年に鉄道用の橋が開通した。クリミア「併合」の象徴と言われ、露軍への兵器や物資を輸送する戦略的に重要なルートとされている。
ロイターによると、ロシア運輸省は8日夕、鉄道と一部車道の通行止めが解除されたと発表した。車道は片側交互通行となり、乗用車とバスの往来が認められた。トラックはフェリーを利用するという。【ベルリン念佛明奈】
My opinion
露西亜と旧ソ連との時代錯誤を避けるために、若干解説する。
1991年の旧ソ連の崩壊から、露西亜人の人権意識はどの様に変わったかである。スターリン時代の赤軍の行動原理は富裕層から略奪した者は自分のものであるという強盗集団意識で構成されていたと考える。それが、モチベーションであったと思われる。富裕層からの略奪が目的の共産主義の暴力革命であった。略奪と暴力が支配する社会。それが、現代に国際社会に通じるかというと否である。強盗殺人まで正当化する軍隊に入隊する常識あるロシア人が逃げ出すのは当たり前である。強盗殺人の共犯者になるのである。何も知らない盲信している露西亜人は民間人を殺害し、財産を略奪する戦争犯罪に手を貸していることも知らず、戦闘を繰り返しているのである。味方を替えると、前線で戦う露西亜兵士が犠牲者でもある。スターリンの恐怖政治で開戦から10月10日までの3カ月半に、2万6000人の将兵を逮捕し、1万人以上を射殺したことは評価に値しない。
どんとはれ!
参考文献・参考資料
【舛添直言】劣勢に回ったロシア、それでも侵攻をやめないプーチンの「理屈」 (msn.com)
「孤立」払拭狙う? プーチン氏、旧ソ連圏首脳と異例の「誕生日会」 (msn.com)
プーチン大統領の誕生日を皮肉で祝った世界の国々 (msn.com)
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