政治講座ⅴ1994「石破氏の弁明:国民に対するレトリックの上手さは日本一であるが、裏での権謀術数も相当のもの」
本当の悪者は岸田氏であろう。
「火中の栗を拾う役目を総裁ポストと首相ポスト欲しさに飛びついた愚か者であろう。」と客観的に思えるのである。
レトリックの上手さでは自民党No,1であろう。
しかし、政策の不勉強さを露呈し、さらに総裁選での公約を覆した姿には、秀でたレトリックに虚しさを国民に感じさせたことは否めない。国民の岡目八目を甘くみて、国民の保守派を侮って大事な支持基盤を失ったことにまだ覚醒していない。「裸の王様」状態であり、誰も「あなたは裸だよ」と忠告もしてあげない。
「全くご理解いただけず」と理解しない国民が悪いとも取れる責任転換のレトリックである。
権力の座に固執する姿はロシアのプーチン氏と中国共産党の習近平氏と何ら変わらない。「起きて半畳寝て一畳」の言葉を送る。
皇紀2684年10月30日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
報道記事紹介
石破首相「政治とカネの問題、全くご理解いただけず」 自民不振に
朝日新聞社 によるストーリー
自民党総裁の石破茂首相はフジテレビの番組の中継で、衆院選の開票状況について、「大変厳しい状況です。現状では極めて厳しい審判をいただいている」と語った。自身の進退については、まだ開票中だとして「そういうことを口にすべきとは全く思わない」と語った。
【写真複数】小選挙区で落選確実となり、厳しい表情を見せる二階俊博氏の息子・伸康氏
自民党の不振について、「北海道から九州まで、政治とカネの問題について全くご理解をいただけていないのが一番大きかった。外交、安全保障、社会保障、農業の論点に議論がいかないで政治とカネに議論が集中した」と述べた。
裏金問題での非公認候補が代表を務める政党支部に党本部から2千万円が支出されていたことが選挙中に判明したことについては、「法的には全く問題ない。候補者は自分の選挙に使っていない。(自民党は)比例区でも戦っているので、政策を理解いただくために(選挙での支出は)今回に限らないが、それを候補者が使うのではというご理解をなさった方が多かった」と語った。
非公認とした候補者が当選した場合に追加公認するかどうかは、「まだ決めていない。選挙中に(追加公認は)いかがなものかという議論があった。国民の理解を得られるのかも考えないといけない」と話した。
「部分連合」を国民民主に打診へ…石破首相が続投表明、首相指名選挙でも協力要請
読売新聞 によるストーリー
石破首相(自民党総裁)は28日、自民、公明両党が衆院選に大敗して衆院で過半数に満たない少数与党となったため、野党の国民民主党の玉木代表に対し、政策ごとに連携する「部分連合」を呼びかける方針を固めた。国民民主との協力で経済対策の実現や法案成立を図り、態勢を立て直したい考えだ。
首相は28日、自民党本部で記者会見し、「厳しい安全保障、経済環境の中にあって国政は一時たりとも停滞が許されない」と述べ、続投の意向を表明した。
11月中にもとりまとめる総合経済対策と、財源の裏付けとなる2024年度補正予算案については「党派を超え、優れた方策を取り入れたい」と述べた。
自民幹部によると、首相は玉木氏が重視する電気・ガス代の値下げなどの家計支援策を経済対策や補正予算案に盛り込み、国民民主の賛同を得て臨時国会で予算案を成立させたい意向だ。
首相はこれに先立って召集される特別国会での首相指名選挙でも、自らの指名に向け、玉木氏に協力を要請することを検討している。指名選挙は、自公の票だけでは過半数に達せず、上位2人の決選投票にもつれ込む見通しのためだ。
一方、自民の小泉進次郎選挙対策委員長は28日、選挙結果を受け、首相に辞表を提出して受理された。首相は記者会見で牧原法相と小里農相が落選したことに関し、「後任を適宜適切に早急に決めなければならない」と述べた。
埼玉14区で落選した公明の石井代表も28日、党本部での記者会見で「国会議員でなくなれば、代表を続けることに困難が伴う」と語り、辞任する考えを示した。公明は11月9日にも党大会を開き、後任を選出する構えだ。
「裏金議員の追加公認」「参政・保守との連立」「引きはがし工作」…瀕死の石破政権、過半数維持のためなら”なんでも”あり?
政権与党の自民・公明両党が15年ぶりに過半数を割り込むという歴史的な敗戦を喫した衆院選。大物や閣僚経験者の落選が相次ぎ、永田町では政局に大変動が起きようとしている。自民内では、政権与党の座を維持するために“一本釣り”議員候補のリストアップが急ピッチで進む。さらに、大敗を招いた石破茂首相をすげ替えようとする「石破おろし」の動きも水面下で起きている。
裏金問題を報じた“赤旗砲”が招いた「与党過半数割れ」
「わが党の支部政党交付金に関する報道について」。投開票を3日後に控えた10月24日、自民党候補者の選対やマスコミ各社にこう題された文書が一斉に出回った。
自民党の「総裁・幹事長室」名義で発出されたこの文書が問題視しているのは、その前日に日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が報じたあるスクープである。
「森山裕幹事長ら自民党執行部が、非公認候補の選挙区支部に政党助成金から2000万円ずつ支出していたことを報じたのです。『裏金問題』が逆風になっている中での報道は自民党候補に深刻なダメージとなりました。
与党過半数割れという歴史的な大敗を招いた一番の要因はこの報道にあったと言えるでしょう」(大手紙政治部記者)
いわば文書はこの「赤旗砲」の「火消し」のためのものだったわけだが、その文面からは自民党執行部の狼狽ぶりが顕著に伝わってくる。
文書は、「一部ネットでは『#偽装非公認』というハッシュタグまで散見され、各候補にもこのことを指摘される可能性があるかと考えます」と警戒し、「記事は、事実を曲解して極めて精緻に誤解を誘導するものであります。しかし、これまで指摘されている『政治とカネ』の問題とはまったく異なり、なんら法律的、倫理的にも後ろ指をさされるものではありません」と強調している
さらに文書には、「党の組織として、しっかり党勢拡大のための活動をしていただきたいという趣旨で、党勢拡大のための活動費として支給したもの」とする森山裕幹事長のコメントや、政党助成金に関する党規約も添えられている。報道によるダメージをなんとか最小限にとどめようとする意図がアリアリだ。
しかし、そうした“工作”も虚しく、選挙の勝敗を左右する重要局面で飛び出した報道による痛手はやはり相当深かったようだ。
「赤旗にリークしたのは誰だ!」
その影響は、「裏金問題」の震源となった「旧安倍派」の議員以外にも広く及んだとみられる。ある議員秘書はこう打ち明ける。
「記事は候補者が最後のスパートをかける『三日攻防』に入る直前に出た。そこからの自民党候補への風当たりはすさまじかった。街頭では有権者にビラさえ受け取ってもらえず、演説に足を止める人もほとんどいなくなった。
うちは投開票日までの期日前で、企業や団体の組織票を積み上げるのがセオリーだが、その動きも例の報道以降はピタリと止まった。あの報道でかなりの数の票が逃げたのは間違いない」
まさに選挙戦の趨勢を決定づけた特報だったわけだが、気になるのは、なぜこの局面で乾坤一擲のスクープを放てたのかということだ。
赤旗が報じた党支部に2000万円を支出するとする内部文書は、情報公開などの手段で得たものではなく、なんらかの手段で独自入手したものであることが明白である。
となれば、誰が何のために、という疑問も湧いてくるが、自民内部にもいま、こうした疑念が渦巻いているのだという。
「党内では、石破総裁をはじめとする現執行部に不満を抱いた自民関係者が流出させたものではないか、という『リーク説』も持ち上がっています。
主流派から外された旧安倍派の議員はじめ執行部に不満を持つ者は少なくない。石破政権の転覆を狙って自爆テロを仕掛ける者がいてもおかしくはありません」(前出の政治部記者)
自民党内に、こうした「反石破」の動きが醸成されつつあるのは間違いないようだ。選挙戦の期間中にも、「石破おろし」とも言えそうな不穏な動きはあったのだという。
さきの衆院選であるベテラン議員の選対に入った自民関係者はこう打ち明ける。
「陣営に自民関係者を名乗る人物から『総裁選では誰に入れたのか』と尋ねる電話が複数かかってきました。彼らは一様にこう言うのです。『高市(早苗)さんに入れたか。入れていたら応援する』と。
決選投票で石破さんと総裁の座をギリギリまで争った高市さんには熱烈な支持者がいます。そうした私的応援団の可能性もありますが、電話が立て続けにあったのがどうも気になります」
過半数維持のために立てたプランの中身は
安倍晋三元首相の後継者を自任する高市早苗氏が「反石破」の急先鋒と目されているのは間違いない。ただ、さきの総裁選で高市氏を担いだ議員の多くが今回の衆院選で国政からの退場を強いられており、すぐに「反石破」の動きが党内で大きなうねりになっていくとも考えにくい。
とはいえ、衆院選での惨敗によって政局が一気に不安定化したのもまた事実。就任直後から正念場を迎えた石破首相に突きつけられた最初の課題は、選挙で崩壊した、政権運営のための態勢を再構築することにある。
自民内では、その青写真となりそうなプランが急浮上している。ある自民党議員の秘書が打ち明けたプランの中身はこうだ。
「過半数を維持するためには233議席が必要で、自公政権では現有の215議席から18議席の積み増しが必要になる。まずは『裏金問題』で非公認となったなかでなんとか議席を守った平沢勝栄、萩生田光一、西村康稔の各氏を追加公認する。
それ以外に与党に協力する可能性のある無所属議員を7人引き込むことを画策しています。具体的には、大分1区の吉良州司氏、茨城1区の福島伸亨氏、京都4区の北神圭朗氏、福岡9区の緒方林太郎氏、東京26区の松原仁氏、茨城7区の中村勇太氏、鹿児島2区の三反園訓氏の7人です。
そこからさらに、保守系の新党である参政党、保守党を連立に組み入れる。さらに国民民主から議員を1人、引きはがそうとも目論んでいます。
白羽の矢を立てたのが、埼玉13区から初当選した橋本幹彦氏。防衛大学校を経て航空自衛官になり、経営コンサルタントに転じた経歴の持ち主で、28歳という若さも魅力。計画通りにいけばこれで233議席を確保することになりますが、果たしてうまくいくかどうか」
一部報道では国民民主党に政策ごとに連携する「部分連合」を呼びかける方針も模索しているともされる石破首相。大嵐が吹き荒れる政局に呑み込まれないためにも、難しい舵取りを迫られるのは必至だ。取材・文/集英社オンラインニュース班
裏金問題がなくても自公は「大敗」していた? “真の敗因”を専門家解説
ABEMA TIMES (Microsoft) によるストーリー
【写真・画像】裏金問題がなくても自公は「大敗」していた? “真の敗因”を専門家解説 2枚目
衆院選で与党が過半数を割り込んだ “真の敗因”について国民民主党の伊藤たかえ参議院議員とJX通信社 代表取締役の米重克洋氏と共に考えた。
【各党の獲得議席】
与党:自民党=191議席(56減)、公明党=24議席(8減)
野党:立憲民主党=148議席(50増)、国民民主党=28議席(21増)、日本維新の会=38議席(6減)、共産党=8議席(2減)、れいわ新選組=9議席(6増)、社民党=1議席(増減なし)、参政党=3議席(2増)、諸・無=15議席
この“自公大敗”とも言える結果について米重氏は「自民党の支持層が自民党に投票しなかった点が大きい」と指摘した。
「与党の大敗は自民・公明に対する不信が突きつけられた結果だ。『支持政党別 比例投票先』(ANN)についての出口調査を見ると、立憲支持層は立憲に87%、国民民主の支持層は国民民主に90%と歩留まりをしっかり確保しているが、自民党支持層は71%しか自民に比例投票していない」
さらに、「もし裏金問題がなかったとしても票は取れなかったのではないか」と分析した。
「今回の自公大敗の原因の一つには裏金問題による政治不信は間違いなくある。実際に『裏金問題を考慮して投票した』という方の多くは野党に投票している(ANNの出口調査)。だが、ここでのポイントは『裏金問題を考慮しなかった』という方も自公に投票しているわけではないという点だ。今回の選挙結果に対して『裏金問題がなければ自民党はもっと支持されたのではないか』と分析する方もいるが実態はそうではない。やはり、最近の経済、特に物価高が全世代的なかなり大きな関心事になっている中、少なくとも石破政権が有効な対策を打ち出せていないという世論の評価があるのだ。また、景気・雇用といったテーマに関しても、有権者の問題意識に沿えなかったことがこの結果につながったのではないか」
国民民主党の伊藤たかえ氏は米重氏の分析に同意しつつ「今回の選挙は裏金問題に加えて、『家計のお金』がもう一つの争点だった。それに対して国民民主党は『手取りを増やす』と宣言し、30年間据え置かれている103万円の壁や50年間据え置かれている暫定税率など、税金の話を具体的に示し、それが支持されている実感があった。これまで、(街頭などでは)裏金のことを話したら足を止める方はいたが、政策では少なかった。でも今回は『103万円の壁本当に困ってるの。私もパートで…』などと話しかけてくれる方が本当に多かった」と述べた。(『ABEMAヒルズ』より)
「他党から引きはがし工作も…」石破茂首相が謀る“野党と大連立ナシ”で「過半数維持」の権謀術数
FRIDAYデジタル によるストーリー
過半数維持のため、あの手この手で工作をする石破茂首相だが……© FRIDAYデジタル
「この程度で良かったなと思いました」
10月28日放送のTBS系『ひるおび』でそう語ったのは、政治ジャーナリストの田崎史郎氏だ。
27日の衆院選で自民党は公示前の256議席から大幅に減らし、当選191人だった。これに田崎氏は
「僕は(自民で)最悪180いくと思った」
「第一党が立憲民主党になるという話も出ていた」
などと明かした。
立憲民主党180、自民党175という衝撃予想も
この話は決して言い過ぎではない。
選挙戦最終盤にあるメディアが直前調査を行った。その際に出た数字が「立憲民主党180、自民党175」という衝撃的な結果だった。
「比較第一党が立憲民主党ということですからね。自民党幹部は顔面蒼白になっていました」(全国紙政治担当記者)
しかし、結果は自民191に対し、立憲は148議席。比較第一党の座は自民党が死守した。政界関係者は
「たしかに自民党は大敗を喫した。しかし、“壊滅的”な敗北の一歩手前で踏みとどまった。石破首相は辞める気はなく、政権を維持するためにあの手この手を駆使するつもりだ」
と語る。
自公合わせた議席は215で、過半数の233には18議席足りない。自公過半数割れは選挙前から想定されており、今回の衆院選で7→28議席に大躍進した国民民主党との連立もウワサされているが……。
石破首相は10月28日に行った記者会見で
「いま、この時点で連立を想定しているわけではない」
とコメント。その後、国民民主に政策ごとに連携する「部分連合」を呼びかけたが、政策によって“貸し借り”が生じるため、やはり与党側は自分たちの政策が実現しやすいよう、「過半数」を取りたい考えに変わりはない。
そのための“計算”は机上の上ながらできているという。まずは裏金問題などで非公認となった世耕弘成氏、平沢勝栄氏、萩生田光一氏、西村康稔氏の追加公認だ。
「萩生田氏なんかは石破首相に恨み骨髄だが、個人で政治活動を行うには限界がある。不満タラタラながらも、追加公認となるだろう。微妙なのは二階俊博元幹事長の三男である伸康氏に勝利した世耕氏。旧二階派からの反発は強いが、背に腹は代えられない」(前出・全国紙記者)
手続きが滞りなく進めば、議席は219。残り14議席については、与党に協力する可能性のある無所属当選議員を懐柔するつもりだという。
無所属だけでなく“引きはがし”の仁義なき戦い
「水面下では8人の無所属議員の名前が挙がっています。大分2区の広瀬建氏はもともと自民党に公認を求めており、相思相愛。ほかに元立憲民主党の松原仁氏(東京26区)や、元テレビ朝日記者で元鹿児島県知事の三反園訓氏(鹿児島2区)の名前もあります。彼らが全員首を縦に振れば、議席は227にまで伸び、過半数が見えてきます」(永田町関係者)
残り6議席。ここからは少数政党に狙いを絞っていくという。
今回の選挙で3議席を獲得した参政党、同じく3議席を獲得した日本保守党と協力関係を構築したい考えだ。
「参政党はともかく、日本保守党は協力の見返りとして、思想が似ている高市早苗氏の“復権”を求めてくる可能性がある。それを石破首相ら現執行部がのめるかどうか。3議席は虎の子だが、その3議席で混乱をきたすのも困るだろう」(前出・全国紙政治担当記者)
このほか、他党からの“引きはがし工作”も活発になっている。
すでに国民民主党の某議員のもとには、自民党からの“お誘い”があったといわれている。前出の全国紙記者の話。
「政界は一寸先は闇。衆院選が“表の世界”なら、いま行われているのは“裏工作”。自民党とすれば、国民民主や維新といった野党と連立を組んでややこしくなるよりは、無所属議員や少数政党を口説きにいったほうが身軽でいい。ただし、同じことは野党第一党の立憲民主党も行っているわけで、水面下の切り崩し工作は苛烈さを増しています」
どちらにせよ、以前のような“自民1強”時代は終わりを告げた。来年7月には参院選も控えている。生き残りを懸けた石破政権の権謀術数はうまくいくか――。
首相指名選挙、30年ぶり決選投票の公算大 過去に野党が政権奪取も
毎日新聞 によるストーリー
11月11日に召集される見通しの特別国会では首相指名選挙が実施される。衆院選で敗北して過半数を割った自民、公明両党は一部野党の協力を得るなどしなければ、石破茂首相(自民総裁)を新首相に指名することはできない。首相指名選挙で与野党とも過半数に届かず、30年ぶりの決選投票にもつれこむ公算が大きくなっている。
衆院選では自民、公明両党を合わせても215議席しか獲得できず、過半数の233まで18議席足りない。保守系無所属を含めても届かないため、自民は28議席を獲得した国民民主党に期待を寄せるが、玉木雄一郎代表は首相指名選挙で自らの名前を書くと表明した。与党の「補完勢力」とやゆされてきた日本維新の会は議席を減らし、馬場伸幸代表の責任を問う声が党内から上がる「内紛」状態で、方針が定まっていない。
首相指名選挙では、有効投票の過半数を得た議員が首相に指名される。1回目の投票で過半数を得た議員がいない場合、上位2人の決選投票となる。衆議院規則は、決選投票では「過半数を得た者」ではなく「多数を得た者」と規定しており、多数派を形成すれば勝利できる。
衆院の首相指名選挙で決選投票が行われた例は過去に4例ある。直近の例が1994年だ。少数与党だった非自民連立の羽田孜政権が総辞職したことを受け、当時野党だった自民が、社会党、新党さきがけとともに村山富市・社会党委員長(当時)を首相候補に擁立。非自民連立側の新生党や公明党などは、自民を離党した海部俊樹元首相を立てた。1回目の投票では村山、海部両氏とも過半数に達せず、決選投票で村山氏が選出され、自社さ3党による連立政権が誕生した。
79年には、衆院選で自民が過半数割れの敗北を喫したことから、当時の自民派閥の福田、三木、中曽根の各派などが大平正芳首相(当時)の退陣を要求し、「40日抗争」が始まった。大平氏と、非主流派が擁立した福田赳夫氏の自民2人が首相指名を争う異常事態となり、決選投票の結果、大平氏が17票差で選出された。
53年には、自由党の吉田茂氏が特別国会の首相指名選挙で過半数を獲得できず、決選投票で改進党の重光葵氏を破り、首相に指名されている。48年には、吉田氏と社会党の片山哲氏による決選投票で、吉田氏が指名された。【影山哲也】
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