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政治(経済)講座ⅴ1497「嘘だ!支離滅裂な中国経済統計と逃げ出す投資」

中国経済を俯瞰するとタイタニックの沈没が連想される。
タイタニック
は、20世紀初頭に建造されたイギリス船籍のオーシャン・ライナー。ホワイト・スター・ライン社が保有するオリンピック級客船の2番船であったが、処女航海中の1912年4月14日深夜に氷山に衝突し、その際の損傷による浸水が原因となって翌15日未明に沈没した。中国経済を大型船になぞらえると、不動産開発会社のデフォルトにより中国経済が崩壊しそうな雲行きである。不動産開発のデフォルトと融資平大台の巨額の債務不履行(デフォルト)で中国経済と言う大型船は沈みかけているのである。今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2683年11月16日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国「GDP成長率予測5.4%」は本当か…?「景気刺激策が奏功」報道が“眉唾もの”と言えるこれだけの理由

朝香 豊 によるストーリー • 13 時間

景気刺激策が奏功しつつある?

11月7日、IMF(国際通貨基金)は中国のGDP成長率予測を改定し、2023年は5.4%、2024年は4.6%だとして、いずれも10月の「世界経済見通し」報告書で出した予測を0.4ポイント上方修正した。バブル崩壊と言われているのに、中国経済は本当にそこまでの力強さを発揮しているのだろうか

確かに中国側の発表する数字では、7-9月期のGDPは、市場予想の前年同期比4.4%増を0.5%も上回って、4.9%も増加したことになっている。前の期の4-6月期から比べても、予想の1.0%増を大きく上回り、1.3%増だ。この1.3%というのは、年率換算で5.3%に相当する。年初から9月までの9ヵ月間のGDPの実質成長率は前年同期比5.2%になるとされる。

シティ・インデックスのシニア市場アナリスト、マット・シンプソン氏は「成長率、小売売上高、鉱工業生産、失業率と幅広い指標が予想を上回り、景気刺激策の効果がようやく出始めたようだ」と述べていると、ロイターは報じた。「不動産危機などの逆風が見通しのリスクになっているものの、この日発表された各種統計は景気刺激策が奏功しつつあることを示した」というのが、ロイター報道の主張だ。


Gettyimages© 現代ビジネス

実際、中国国家統計局の数字を見れば、不動産業が1-9月期で前年比マイナス0.9%となっているのを除けば、他は順調に成長していることになっている。しかしながら、バブルが崩壊して、かつて業界1位、2位だった恒大集団と碧桂園がともに破綻しているのに、不動産業が前年比マイナス0.9%だけの落ち込みで済んでいるのは本当だろうか

しかも中国で問題が指摘されているのはこの2社だけでない融創中国、富力地産、龍湖集団、花様年集団、祥生集団、世茂集団、遠洋集団、佳兆業集団、新力地産、陽光城集団、奥園集団、緑地集団、愛得威建設など、他にも数多く指摘されている。

ちなみに不動産情報サービスの克而瑞研究センターによると、中国の不動産ディベロッパー上位100社の売上高は、前年同期比で、6月はマイナス28.1%、7月はマイナス33.1%、8月はマイナス33.9%、9月はマイナス29.2%、10月はマイナス27.5%となっている。

正確を期すと、2月から5月は、前年がマイナス47.2%からマイナス59.4%という大幅な落ち込みであったせいもあって、今年は6.7%から31.6%のプラスであったのは確かだ。このため1月から9月の累計ではマイナス11%にとどまっている。

インフラ投資が6.2%増?

それにしても、不動産業上位100社の売上がマイナス11%なのに、不動産業全体のGDP寄与分のマイナスが0.9%にとどまっているというのは、冗談だとしか言いようがない

興味深いのは、不動産バブルの崩壊が指摘される中で、固定資産投資は前年比3.1%増加していることだ。これは不動産開発は落ち込んでいるが、インフラ投資が6.2%も増えていて、これが牽引しているからだということになっている。

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ここでよく理解しておくべきことは、中国のインフラ投資の主力は、地方政府だということだ。地方政府は自らが借金することには厳しい規制が置かれているので、「融資平台」と呼ばれる企業体を別個に設立し、ここが「城投債」と呼ばれる高利回りの都市インフラ整備債券を発行して資金調達をしてきた。こうした「融資平台」の中には、遵義道橋建設集団とか昆明空港投資開発集団など、明らかな破綻を示しているところも多い。

遵義道橋建設集団は返済期間を20年先延ばしにし、当初10年間は元利払いを停止する処置に出た。昆明空港投資開発集団の昨年の不動産開発収入はゼロだったと報じられている。融資平台は高利回りの城投債を発行しながら、採算性のない投資にどんどん振り向けて、その破綻が次々と表面化しているのである。

地方政府はまた、不動産ディベロッパーに土地の使用権を販売し、そこから多額の売却益を得てきた。この土地使用権の販売は、地方財政収入の4割を占めるとされていた。しかしバブル崩壊によって、不動産ディベロッパーに土地の使用権を高値で販売することができなくなってきた。そもそも民間ディベロッパーには土地を仕入れる資金がなくなっている。中国指数研究院によると、今年の年初から9月までの中国の土地利用権の売却益は前年同期比28.84%減少した。

このように、城投債によるにせよ、土地使用権の売却によるにせよ、地方政府は十分な資金調達ができないのに、インフラ投資が6.2%も増えるなんてことが起こりうるのだろうか。

そもそも中国の地方政府は今、公務員の給料の支払いにすら困っている有様だ。中国全土でもっとも経済状態がいい上海ですら、給料が20%以上減った役職によっては40%近くも減ったと報じられている。何ヵ月も給料が支払われていないという公務員のデモすら各地で起こっている。そのくらい中国の地方政府の財政は火の車だ。

世界中がインフレに苦しむ中で

さて、世界は目下激しいインフレに見舞われている。中国は国内の経済状態に対応するため、欧米の流れに逆行して金融緩和に動いてきた。今年の1月頃は1ドル=6.7人民元だったのが、現在では1ドル=7.3人民元レベルにまで、ドル高・人民元安が進んでいる。

人民元が弱くなっているということは、輸入物価はそれだけ上昇しているということであり、国内には輸入物価の上昇に伴う価格上昇圧力が、欧米以上にかかっていることを意味する。

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それなのに中国の生産者物価指数昨年10月以降はずっとマイナスで推移し、消費者物価指数も4月以降はほぼゼロで推移している。世界全体が激しいインフレに苦しんでいる中で、中国だけがあまりに異様な動きなのだ。

しかもこれが世界の中でも極めて例外的な5%前後の高い経済成長をしている国で起こっているというのは、実に不思議だ。普通に考えれば、高い経済成長率を実現している、つまりそれだけの経済成長が実現できる需要力のある国のほうが、コストプッシュを価格転嫁しやすいはずだ。

ところが、中国の統計では、工業生産は前年比4.5%増えことになっているのに、生産者物価指数が2.5%も下落しているのだ。企業は増産するとデフレ圧力がかかって価格低下で苦しむことがわかっていながら、生産数量を伸ばすために頑張り、その結果として過剰生産による強大なデフレ圧力に晒されているということになるのだろうか。

この点について、貿易の状況からも考えてみよう。中国からの輸出は、今年の5月から前年比マイナスに転じて、ずっとマイナス状態が続いている。ということは、増加したはずの生産は輸出に回っているわけではないことになる。

もちろん仮に国内需要が強いのであれば、輸出が増えなかった分が国内に流れたのだと考えることはできる。実際、統計上は中国の小売売上高は前年比5.5%の増加となっており、内需は強いということになっている。

だが、輸入統計を見ると、そんな話がたちまち破綻する。輸入は10月を除いて、今年の3月から前年同期比でマイナスで推移してきたのだ。国内需要が強いのであれば、輸入は増えているはずなのにだ。

5%も経済が成長しているはずなのに

さらに矛盾する統計がある。中国財政部に掲載された、今年の1-9月の税収だ。これがほぼ軒並み減収となっているのだ。

ただし、日本の消費税に相当する「国内増値税」は前年同期比60.3%の増加となっている。これは去年は景気対策として税の還付がなされていたので、比べる対象となる去年の数字が小さかっただけの話である。だからこれは参考にはならない。なので、これ以外の項目を見ていこう。

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中国には「国内増値税」とは別に「国内消費税」というものがある。こちらは贅沢品や嗜好品にのみ向けられた間接税だ。こちらは前年同期比で4.9%落ち込んでいる。これを文字通り解釈すれば、小売売上高は前年比で5.5%も増えたのに、贅沢品・嗜好品だけ消費が落ち込んだということになる。そんなことが起こるだろうか。

「企業所得税」は日本の法人税に相当するが、これも前年同期比で7.4%の減少となった。個人所得税も0.4%の減少となった。輸入貨物の増値税と消費税は、前年同期比で7.3%のマイナスで、関税は12.1%のマイナスだ。

こんなことが、5%程度の高い経済成長をしている国でどうやって起こるのだろうか。

日本のシンクタンクの中国経済ウォッチャーたちは、中国政府の出してくる数字を正しいと考えた上で、次に中国政府が発表する数字になるべく近い数字を出すことを目指して努力してきた。だがそれは努力の方向が間違っているのではないか。

中国経済の実態は、中国政府の発表とは全く違っていて、実際にはマイナス成長に陥っているということを、きちんと指摘すべきではないか。ゆめゆめ中国経済に幻想を抱いてはならない

PE投資会社、中国からの撤退に苦慮-投資リスク巡る懸念が足かせ

Cathy Chan、Preeti Singh によるストーリー • 7 時間

A construction site reflects in the windows of an office tower in the central business district in Beijing, China, on Monday, Oct. 30, 2023. China's stock turnover rose above 1 trillion yuan ($136 billion) Oct. 30 for the first time in about two months, in a sign that trading appetite is returning after policymakers took more steps to boost demand. Bloomberg Bloomberg© Bloomberg

(ブルームバーグ): 20年の間に中国で1兆5000億ドル(約227兆6000億円)余りの資産を築いたプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社は今では、大幅な投資リターンが見込めたかつての有望資産の売却に苦戦している。

  公開市場が低迷し、魅力的なバリュエーションが提供されない中、バイアウト企業は非公開での売却を模索。しかし、中国本土への投資リスクを巡る懸念の高まりで、いわゆるセカンダリーバイヤーは30%から60%強のディスカウントを求めていると、中国市場に詳しい複数の関係者が語った。欧州や米国では、ヘアカット(減免)は15%近辺にとどまる。

  十数人程度のPE投資家やアドバイザーへのインタビューによると、多くの企業はさらに数年にわたって保有資産を引き継ぐいわゆる継続ファンドを設立し、売却を先送りするオルタナティブ戦略も検討しているが、それも難しいことが分かっている。

  簡単な出口がないことがブラックストーンが出資するPAGやカーライル・グループなどの企業に影響しており、世界2位の経済大国である中国を企業買収の広大なフロンティアから不確実な長期投資先に変えた中国資産への需要はこの数年間に大幅に減退し、公開市場からさえも記録的な資金流出が起きている。経済がなかなか勢いを取り戻せず、習近平政権下での政治的方向性を巡る懸念が高まっているためだ。

  モニュメント・グループのパートナー、ニクラス・アムンドソン氏は「われわれは世界金融危機の際に経験したのと酷似した、一層困難な時代にいる。中国は完全に人気を失い、世界の投資家は当面、中国投資を棚上げしようとしている」と語った。

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原題:PE Firms Get Trapped in China After $1.5 Trillion Betting Spree(抜粋)

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参考文献・参考資料

中国「GDP成長率予測5.4%」は本当か…?「景気刺激策が奏功」報道が“眉唾もの”と言えるこれだけの理由 (msn.com)

PE投資会社、中国からの撤退に苦慮-投資リスク巡る懸念が足かせ (msn.com)

タイタニック (客船) - Wikipedia

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