政治講座ⅴ2033「米国の民主的な革命(側近政治と政治任用)」
米国には二つの国があるとよく言われていた。そして、180度の政策変更が行われる。民意と言えば聞こえが良いが、周りの国にとっての外交は継続性がなく困った存在である。それはまさに民主的に起こす革命のようなものである。いまトランプ政権で革命が起きようとしている。前回のトランプ政権は民主党の既得権益者ら(抵抗勢力)による猛烈な抵抗を受けた。そして、米国民は共和党のトランプ氏を選択した。これから報復政治が始まるのであろうか。
今回はそのような政治任用人事がどのような成果を齎すのであろうか。
皇紀2684年11月20日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
報道記事紹介
側近まで要職に送り込む…限度超える「共同大統領」マスク氏(1)
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トランプ次期米大統領の公報チームは17日、ソーシャルメディアのXにトランプ氏の専用機内の食卓風景写真を上げた。
テーブルの上にはハンバーガー、フライドポテト、コーラなどの機内食が置かれており、トランプ氏の周りには第2次政権の首脳部に選ばれる最側近4人が登場する。
要職の人選を水面下で操る長男のトランプ・ジュニア氏、トランプ印の法案を押し進める「議会突撃隊長」の役割をするマイク・ジョンソン下院議長、無所属での大統領選挙出馬を取りやめ「トランプ支持」を宣言し政権誕生のひとつの軸となり保健福祉長官に指名されたロバート・F・ケネディ・ジュニア氏、そしてトランプ氏のすぐ隣に座った第2次トランプ政権で自他ともに認める影の最高実力者でテスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏だ。
公式寄付金だけ1億2000万ドル(約185億円)を投じ、トランプ氏の当選で今回の大統領選挙の「真の勝者」に挙げられる大富豪のマスク氏は来年1月20日の第2次トランプ政権の正式発足を2カ月後に控えすでに強大な影響力を行使しており、実力者中の実力者と評価されている。
第2次トランプ政権の政権引き継ぎベースキャンプの役割をするフロリダ州マールアラーゴ・リゾートに滞在するマスク氏は大統領選挙当日の開票放送をトランプ氏とともに視聴し、先週末にはトランプ氏のすぐ隣に座って総合格闘技UFC大会を観覧するなど、ほぼ毎日トランプ氏の影のように行動をともにしている。
◇「大統領の『一番の友人』マスク氏の越権」
マスク氏は12日に新設される政府効率化省の共同トップに指名された。
政府官僚主義の弊害を修正し民間企業の革新的経営システムを政府に構築するというのが抜てき理由だった。だがマスク氏の影響力が強大になりながら越権議論とともに限度を超えているという不満が大きくなっている。
ワシントン・ポストは「トランプ氏の『一番の友人』となったマスク氏が経済政策と主要人選で公開的にトランプ氏を圧迫する姿を見せ、トランプ氏の一部側近が不満を示している」と報道した。
トランプ陣営関係者は「マスク氏が『共同大統領』のように行動し自身の役割を超えている」とした。
①人選介入議論…特定候補群評価
マスク氏は第2次政権の内閣とホワイトハウスの秘書室人選過程に介入し影響力を行使している。
トランプ氏がこの日連邦通信委員会(FCC)トップに指名したブレンダン・カー共和党所属FCC委員は良く知られた「マスク派」だ。
カー委員はマスク氏が率いる宇宙企業スペースXの衛星インターネットサービスのスターリンクに対する補助金支給を拒否した民主党FCC委員を公開的に批判し、8月にはテキサス州のスペースX基地を訪問してマスク氏とともに写真を撮った。マスク氏はそんなカー委員をFCC委員長に就かせるためトランプ氏に積極的に意見開陳したという。
マスク氏は前日にXへの投稿を通じ財務長官候補として投資銀行キャンター・フィッツジェラルドのハワード・ルトニックCEOを公開的に支持した。また、財務長官をめぐりルトニック氏と競合するヘッジファンドのキー・スクエア・グループ創業者のスコット・ベッセント氏については「いつもしてきた通りの選択になるだろう」としながら低く評価し、繰り返しルトニック氏を後押しした。その上で2億5000万人に達するフォロワーに賛同を要請した。
4000人が“大異動”、トランプ政権で注目の政府幹部人事「政治任用」とは…マスク氏に加え薬物使用疑惑の人物まで
フロントラインプレス によるストーリー
米国の次期大統領にドナルド・トランプ氏の就任が決まり、首都ワシントンでは2025年1月の政権移行に向けた動きが慌ただしくなってきました。実業家イーロン・マスク氏の登用など型破りな人事が注目を集めていますが、その足元では約4000人に上る「政治任用」スタッフの交代準備も進んでいます。政権が代われば、政府幹部の顔ぶれもガラリと変わる米国。その根幹を成す「政治任用制」とは、どのような制度なのでしょうか。やさしく解説します。
(フロントラインプレス)
政府機関に外部人材が出入りする「回転ドア」
世界を見渡すと、政府機関の職員になるには大きく2つの枠組みがあります。1つは試験に合格し、一定の資格を得た人を採用する仕組み。これを「資格任用制」と呼びます。日本に当てはめると、国家公務員試験にパスして政府機関の職員になるという流れです。
もう1つが「政治任用制」で、任命権者である政治家が自身の考えに基づいて人選し、その職に登用します。
米国は政治任用を大規模に行う国として知られています。任命権者の大統領によって選ばれる人々は「政治任用者(political appointee)」と呼ばれ、ホワイトハウスの補佐官や幹部職員、秘書、中央省庁の主に局長級以上などが該当。全体では約4000人に上ります。
米国は民主党と共和党による典型的な二大政党制の国。今回のように政権交代が起きると、分野によっては政策が大きく変わることも珍しくありません。そのため、大統領の指示や方針を迅速・適切に伝え、その政策を的確に実行するためにこの人事制度が構築されたと解されてきました。
政治任用の仕組みは、合衆国憲法第2条「大統領の権限」第2項の規定「大統領は(略)法律によって設置される他のすべての合衆国官吏を指名し、上院の助言と承認を得て、これを任命する」(American Center Japan訳)に基づいています。
ただし、政権交代に伴って約4000人もの幹部職員がごっそり入れ替わるのは、そう簡単ではありません。事務的な引き継ぎだけでも膨大な作業量になるでしょうし、前政権の残した政策課題などを理解することも必要です。
政権交代時のそうしたトラブルを避けるため、大統領候補は投票日の前から「政権移行チーム」をつくり、当選に備えて新たな幹部人事の検討に着手します。政治空白を生まないようにするためで、前回のバイデン政権誕生時にはチームのメンバーが約500人に達しました。そうした経費は「政権移行予算」として連邦政府が負担することも法律で決まっています。
政権交代が起きると、多くの政治任用者は職を解かれ、元の仕事に戻ったり、新たなポストに転身したりします。およそ4000人もの人が政府機関と在野のポストを行ったり来たりする様子は「回転ドア(revolving door)」とも呼ばれています。
バイデン大統領は女性や黒人を多数指名
米国で政治任用されるのは、どういった人たちでしょうか。
主には民間のシンクタンクや大学の研究者や経済人などそれぞれの分野に精通した専門家が指名されます。もちろん、大統領への忠誠心は不可欠であり、大統領選を仕切った陣営の幹部が任用されることも珍しくありません。政治任用される人のうち、大使や閣僚ら約1200人は連邦議会(上院)の承認が必要です。
政治任用された人々の顔ぶれを見ると、その政権の考え方や政策の具体的な方向性をある程度、見極めることができます。バイデン大統領は、副大統領に「女性・黒人・アジア系」のカマラ・ハリス氏、財務長官に著名な経済学者のジャネット・イエレン氏を任命するなど閣僚に女性やマイノリティーを数多く起用。その他のポストでも女性や黒人を積極的に任用したと評価されました。
政党間の融和を図るため、あえて対立する政党と関係の深い人物を登用するケースもあるようです。また、ときには有名人を起用して政権の支持率向上を狙ったり、選挙戦で功績のあった人を任用したりして物議を醸すこともあります。
その一例として知られているのは、オバマ政権の2期目に駐日大使として起用されたキャロライン・ケネディ氏。民主党内で今も強い影響力を持つ名門ケネディ家の一員であり、オバマ氏支持を強く打ち出して再選に大きく寄与したとされました。
米国では大使の7割が外交官、残り3割は政治任用による起用ですが、キャロライン氏の駐日大使については米国内で「露骨な論功行賞だ」「東アジアの緊張が高まっているときに外交のアマチュアを指名していいのか」といった議論が巻き起こりました。
新たに誰を任用するかだけでなく、旧政権の誰を解任するかも大きな注目点です。今回当選したトランプ氏の政権移行チームは解任リストを着々と整えていると報道されました。その中には、従来は政権交代が起きても解任されることがほとんどなかった米軍の高級将校も含まれているとされ、大きなニュースになっています。
フランスは約1300人、ドイツでは約400人
米国のような徹底した政治任用制度ではないにしても、その他の国でも政治任用の考え方は導入されています。
例えば、フランスでは、各大臣の政策スタッフや省庁の高級官僚のおよそ1300人が政治任用されています。米国のように政権交代によって一気に入れ替わるのではなく、適切な時期に随時入れ替えが行われるのが特徴。各大臣の「側近」が任用されるケースが多いとされています。
ドイツでは、政治任用に該当する連邦政府の職員は約400人。首相ら政治家と意見が合わない場合、その幹部職員を一時退職させる制度(将来の復職を可能にする仕組み)もあります。
英国はどうでしょうか。米国と同様、二大政党制の英国は、議院内閣制をとっていることもあって、政権交代によって省庁の幹部らが大幅に入れ替わることはありません。
政府機関で働く公務員は、その専門性と政治的中立性に基づいて時々の政権の意向に従い、政権を忠実に支える義務を持つとされています。政権側も、公務員の中立性を尊重する責務を負い、幹部を含めた公務員の人事への介入は自制してきた伝統があります。
ただ、政治主導の政策を実現していく狙いから、外部の専門家らを「特別顧問」として、政治任用する仕組みがあります。特別顧問に就くのは70人程度で、その役割は各大臣に対する助言・支援に限定されています。
日本で政治任用に該当するのは、首相補佐官や官房副長官、内閣情報官、内閣危機管理監、大臣秘書官、副大臣、政務官などです。ただ、政治家や公務員、またはそれらの経験者が指名されるケースが大半。政治任用者の顔ぶれが大きくクローズアップされるケースもほとんどありません。
米国ではいま、トランプ氏の政権移行チームによって、政権幹部の人選が着々と進んでいます。その中には、薬物使用や身分証明書の不正使用、選挙資金の私的流用など数多くの疑惑を抱えたマット・ゲーツ元上院議員を司法長官に起用するといった動きも含まれています。
ただ、第2次トランプ政権の主要ポストが本格的に決まるのはこれから。世界があっと驚くような人選は、さらに続くのでしょうか。政治任用の動きには各国が注目しています。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。
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