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政治(経済)講座ⅴ1145「インフレの脅威と吾唯知足」
政治(金融・経済)講座ⅴ931「金融リスクとインフレ持続を警告」|tsukasa_tamura
政治講座ⅴ1130「日本人が守る『吾唯足知』の仏教の真髄が日本経済の基本」|tsukasa_tamura
昭和の狂乱物価を経験した吾輩は、インフレの怖さを思い知った。
あれよあれよと言ううちに貨幣価値が下がり、貯蓄の金額が変わらないが、その金額で購入できる物品の価格が手の届かないところへと庶民を押しやるのである。
「インフレ」は「庶民の敵」であると同時に見えない「大泥棒」である。
他方、返済可能な範囲で借金して目減りしない資産を保有している者にとって、一挙両得となるのである。
金利引き上げはこのような人々に制裁として有効であり、インフレ抑止策として使われるのである。
バブル崩壊から失われた30年と経済学者は日本を自虐的に批評するが吾輩はその意見と異なる。
デフレで経済発展していないと悲観する経済学者はもっと多面的に人間の経済活動の分析が必要と考える。
失われた30年でデフレが経済停滞を招いていると悲観しているがやはりそれも違う。
吾輩は狂乱物価とスタグフレーションによる物価上昇で貨幣価値の下落をいやと言う程インフレの怖さを経験し痛感している。貨幣価値が下がるのである。貯蓄などの資産が一気に目減りするのである。その恐怖心からポートフォリオとして不動産投資へと資金が集中して不動産バブルを引き起こしたことは否めない。
心理面の作用が大きい。心理学から分析した文献にはお目にかかったことが無いのである。数値的な結果論で分析する専門家が多いが、経済は人間の心理が及ぼす影響と効果が大きいにも拘わらず、心理面からの分析が少ない。
ささやかな貯蓄の年金生活者にとって、デフレは貨幣価値が下がらず、安定した生活が送れる面で良い環境であると考える。
さて、インフレで貨幣価値の下落を望む者はどのような人たちかというと、融資で事業資産を運用する者や住宅ローンで家を買った者たちであろう。
しかし、アメリカの高インフレ対策として金利引き上げ対策をして貨幣価値の安定化を図ろうとしているのをみるとやはり、デフレは年金生活者や貯蓄生活者にとって安定した環境であると言える。
失われた30年と言われるが今年日経平均3万円を超えるほど膨らんできていることから経済成長はしているのである。失われた30年で確実に経済成長はしていたことの証であろう。表題の「吾唯知足」の解説をする。
これぞ仏教の真髄!吾唯知足の「つくばい」
京都の庭園を散策していると、茶室前に置かれた手や口を清める「蹲踞(つくばい)」をよく目にする。
龍安寺には、水戸黄門が寄進したという一風変わった蹲踞がある。中学校の修学旅行で見た記憶がある。
それがこちら!中央の穴を漢字の「口」に見立て、四方の文字「五」「隹」「矢」「疋」と合わせ「吾唯知足(ワレタダタルコトヲシル)」と読める仕掛けになっています。
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吾唯知足とは、釈迦の説く「知足(ちそく)のものは貧しといえども富めり、不知足のものは富めりといえども貧し」という「知足」の心を表したもの。
つまり、「手に入れられないものに対して不満を抱くのではなく、今ある現状に感謝し満足できる人は、常に満ち足りていて心が平穏である」という意味である。
人間は生活していると、「あれが足りないこれが欲しい」と欲が出てきてしまうもの。そんな時、このお釈迦様の言葉「自分は今でも十分幸せじゃないの!」と思えたら、心が少し穏やかになれるのである。仏教のありがたい教えが込もった龍安寺の「つくばい」から日本経済を考察する。
すべて「吾唯知足」に尽きるのである。このような悟りの境地でインフレを見よう。蛇足であるが、日本の大蔵大臣を務めた政治家が「経済は心理学である」と、のたまったことがある。その通りである。景気は「気」である、心の赴くままである。まさに経済は心理学である。
皇紀2685年2月18日
さいたま市桜区
政治(経済)研究者 田村 司
長引く不確実性を背景に、世界成長は引き続き低迷する — 国連報告書が警告(2025年1月9日付 国連経済社会局プレスリリース・日本語訳)
プレスリリース 25-006-J 2025年01月27日
インフレ率の低下と金融緩和は救いとなるが、貿易摩擦、高い債務負担、地政学的リスクが先行きを不透明に
ニューヨーク、2025年1月9日 — 世界経済の成長率は2025年も2024年と変わらず、2.8%にとどまる見込みであると、本日発表された国連の主要報告書『世界経済状況・予測2025(World Economic Situation and Prospects (WESP) 2025)』は指摘しています。
世界経済は相互に強め合う一連のショックに耐え、レジリエンス(強靭性)を示しているものの、投資の低迷、生産性の伸び悩み、高い債務水準の制約を受け、成長率は依然としてパンデミック前の平均である3.2%を下回っています。
報告書は、多くの経済圏におけるインフレ率の低下と継続的な金融緩和により、2025年の世界の経済活動がわずかに上向く可能性があることを指摘しています。
しかし、世界の多くの地域で地政学的な紛争、高まる貿易摩擦、借入コストの上昇に起因するリスクが存在しており、依然として不確実性が大きく立ちはだかっています。
こうした課題は、低所得国や脆弱な立場に置かれた国々にとって特に深刻であり、低水準で不安定な成長が、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた前進をさらに損なうおそれがあります。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、報告書の序文で次のように述べています。「各国はこれらの危険性を無視することはできません。相互につながり合った私たちの経済においては、世界のどこかで起きたショックが別の地域の物価を上昇させるのです。すべての国が影響を受けるため、すべての国がこれまでの前進を土台として、解決策の一翼を担わねばなりません。私たちは道筋を示しています。今こそ、それを実行する時です。共に2025年を、すべての人々にとって豊かで持続可能な未来に向けた軌道に世界を乗せる年にしようではありませんか」
地域経済の先行き:異なる成長見込み
米国の成長率は、労働市場の軟化と個人消費の減速により、2024年の2.8%から2025年には1.9%に鈍化すると予測されています。
欧州経済は、財政の引き締めに加え、生産性の伸び悩みや人口高齢化といった長期的な課題が引き続き経済見通しの重しとなるものの、インフレの緩和と堅調な労働市場に支えられ、緩やかに回復して、GDP成長率が2024年の0.9%から2025年には1.3%に上昇すると予想されます。
東アジアは、中国経済の4.8%という安定した成長見込みにより、また全域での堅調な個人消費にも支えられ、2025年は4.7%成長すると予測されています。
南アジアは、引き続き最も急速に成長すると予想されている地域であり、2025年のGDP成長率は、インドの6.6%という堅調な成長に牽引され、5.7%になると予測されています。
アフリカの成長率は、エジプト、ナイジェリア、南アフリカなどの主要経済国の回復により、2024年の3.4%から2025年には3.7%に緩やかに上昇すると予想されます。
しかし、紛争、上昇する債務返済コスト、雇用機会の不足、気候変動の影響の深刻化がアフリカ経済の先行きに重くのしかかっています。
貿易の回復と金融緩和
世界貿易は、アジアからの製造品輸出の改善と堅調なサービス貿易によって回復した2024年の3.4%に続き、2025年には3.2%の成長が見込まれています。しかし、貿易摩擦、保護主義政策、地政学的な不確実性は、先行きにおいて大きなリスクとなります。世界のインフレ率は、2024年の4%から2025年には3.4%に低下すると予測されており、これは家計や企業に幾分救いとなるでしょう。インフレ圧力の緩和が続く中で、主要中央銀行は2025年には金利をさらに引き下げる見通しです。鈍化が続くとはいえ、多くの開発途上国のインフレ率は近年の歴史的な平均を上回ったままになることが予想され、2025年に5カ国中1カ国が2桁の水準に直面すると予測されています。
拡大する債務返済負担と食料インフレ率の上昇による脅威
開発途上国経済にとって、世界的な金融緩和は借入コストの軽減につながる可能性があるものの、資金へのアクセスは依然として不平等なままとなっています。低所得国の多くは、多大な債務返済負担や国際金融への限定的なアクセスとの格闘を続けています。報告書は、各国政府が金融緩和によって生まれた財政余地を活用し、持続可能な開発、特に重要な社会部門への投資を優先すべきであることを強調しています。
世界的なインフレは緩和されたものの、食料インフレ率は依然として高く、2024年には開発途上国の半数近くが5%を超えるインフレに見舞われました。その結果、すでに異常気象、紛争、経済不安に直面している低所得国において、食料不安が深刻化しています。報告書は、持続的な食料インフレと低い経済成長率とが相まって、数百万人がさらなる貧困に追い込まれる可能性があると警告しています。
重要鉱物:持続可能な開発を加速させる極めて重要な機会
報告書は、リチウム、コバルト、レアアースなどの重要鉱物が持つエネルギー移行における可能性を強調しています。また、それが多くの国々でのSDGsに向けた前進を加速させる可能性についても強調しています。
豊富な資源を有する開発途上国にとって、重要鉱物に対する世界的な需要の高まりは、成長を加速させ、雇用を創出し、持続可能な開発に向けた投資のための公的収入を増加させるまたとない機会です。しかし報告書は、こうした機会には大きなリスクが伴うと警告しています。貧弱なガバナンス、安全でない労働慣行、環境悪化、不安定な商品市場に対する過度の依存は、不平等を悪化させ、生態系に害を及ぼし、長期的な開発の成果を損なう可能性があります。
李軍華(リ・ジュンファ)国連経済社会問題担当事務次長は、次のように述べています。「重要鉱物は、持続可能な開発を加速させる計り知れない可能性を持っていますが、それは責任を持って管理された場合に限られます。各国政府は、持続可能な採掘、公平な利益分配、生産能力構築への投資を推進する、将来を見据えた政策と包括的な規制枠組みを採用し、これらの資源から得られる開発利益を最大化させなければなりません」
大胆な多国間行動に向けた呼びかけ
報告書は、債務、不平等、気候変動という相互につながり合った危機に対処するための大胆な多国間行動を呼びかけています。金融緩和だけでは、世界的な成長を再び勢いづかせ、拡大する格差を埋めるには不十分です。各国政府は過度に抑制的な財政政策を避け、代わりにクリーンエネルギー、インフラ、そして医療や教育といった重要な社会部門への資金動員に注力しなければなりません。
重要鉱物に関連する環境、社会、経済上のリスクを管理するためには、国際協力の強化も不可欠です。開発途上国がこれらの資源を責任と公平さを持って利用できるようにするためには、持続可能性に関する統一基準、公正な貿易慣行、技術移転が必要なのです。
報告書は、https://www.bit.ly/UN_WESP2025およびdesapublications.un.orgでご覧いただけます。
メディア関係者のお問い合わせ先:
Alex del Castello
UN Department of Global Communications(国連グローバル・コミュニケーション局)
alexandra.delcastello@un.org
Helen Rosengren
UN Department of Economic and Social Affairs(国連経済社会局)
rosengrenh@un.org
インフレ、世界的に根強く残る可能性を警戒-元スイス中銀総裁
Craig Stirling、Bastian Benrath-Wright
2025年1月20日 23:18 JST
米資産運用大手ブラックロックのフィリップ・ヒルデブラント副会長は、今後1年間の世界経済にとって最大の脅威は、長引くインフレの可能性だと述べた。
スイス国立銀行(中央銀行)の元総裁でもあるヒルデブラント氏は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)が行われている同地でブルームバーグテレビジョンに対し、高齢化社会や技術革新、分断された地政学といった課題が消費者物価を押し上げる恐れがあると指摘、金融当局者は厳しい判断を迫られると述べた。
同氏は「インフレは明らかに減速したが、主に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の調整による部分が大きい。インフレ問題が完全に終わったとは思っていない」と述べ、「インフレが根強いだけではなく、引き続き定着する事態に直面することが最大のリスクだろう」とも述べた。
原題:Hildebrand Worries Global Inflation Will Be ‘Stubbornly Sticky’
「トランプ大統領は経済がわかっているのか?」関税戦争の足元でインフレ加速…「最も馬鹿げた貿易戦争」米経済専門紙が批判
FNNプライムオンライン によるストーリー
• 22 分 • 読み終わるまで 2 分
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貿易相手国に関税戦争を仕掛ける米国のトランプ政権の足元で、インフレが急速に加速し出し、経済のプロの間から「トランプは経済がわかっているのか?」という声が上がり始めている。
3年先の予想物価上昇率が1年1カ月ぶりの高水準に
ニューヨーク連邦準備銀行は13日、3年先の予想物価上昇率が3%と前月比0.4%上昇し、1年1カ月ぶりの高水準になったと発表した。FRB(連邦制度理事会)が目標とする2%を大幅に上回ることになる。また食品やエネルギーなど中核の消費者物価も、1月は前年比3.3%上昇を記録し、インフレが予想以上に進行していることを示唆した。
「バイデン政権の経済政策の失敗がインフレを助長させた」と選挙戦を戦って勝利したトランプ大統領だったが、そのバイデンフレーションを退治できなかっただけでなく悪化させさてしまったのだ。加えて、トランプ大統領の目玉政策である関税引き上げを行うと、輸入製品の値上がりにつながり、インフレはさらに悪化すると大方のエコノミストは指摘する。トランプ大統領は13日、これについて記者に問われると次のように弁明した。
「これから上がるのは就職率だ。上がるぞ。物価も短期的には上がるだろうが、その後下がるはずだ」
「インフレ再燃はトランプ政権にとって最大の脅威」
しかし、経済のプロたちは納得しない。経済専門紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は12日「トランプ経済学とインフレの上昇」と銘打った社説を掲載し、その冒頭で次のように皮肉を込めて問いかけた。
「トランプ大統領はマネーについて理解しているのだろうか?」
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「マネー」と言っても現金のことではない。貨幣供給、金利で測られるお金の価値、そしてそれらがインフレに及ぼす影響について大統領が理解しているのかをウォールストリート・ジャーナル紙の社説は問い、こう続けた。
「その答えはノーであるように思える」
トランプ大統領は自身のSNSで、インフレ退治のために金利引き下げを求め「それで関税と相乗効果を生む」と関税引き上げを正当化しているが、社説は「知的混乱が重なった論理であり、理解するのは困難だ」と一刀両断に切り捨てている。
ウォールストリート・ジャーナル紙は共和党寄りの論調で知られ、今回の大統領選挙でも、トランプ氏を推薦こそしなかったが好意的な記事が目立った。しかしトランプ氏が大統領に就任してからはその経済政策には批判的で、大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課すと発表したときは、その社説で「最も馬鹿げた貿易戦争が始まった」と論じていた。
そして今回のインフレ加速の予兆を受けて、12日の社説はこう締め括っている。
「政治学的な観点から見ると、インフレの再燃はトランプ政権にとって最大の脅威かもしれない。トランプ氏が当選したのは、有権者がバイデン政権下でのインフレと実質所得の減少に反発したからだ。実質賃金は過去3カ月間横ばいであり、インフレは上昇している。この状況が続けば、トランプ氏の支持率53%も長くは持たないだろう」
【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】
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