政治(経済)講座ⅴ1707「リップサービスも度が過ぎるIMF」
中国の工場において、北朝鮮の労働者への給与・賃金の未払で大規模なデモが発生している。中国の公務員に対しても給与の未払が多発しているようである。このような経済状況であるにもかかわらずどのような根拠で世界経済の成長に寄与できるというのであろうか。そして隠れ債務問題も判明しており、中国の経済破綻が目に見えるところまで押し寄せているのである。一帯一路では債務の罠で発展途上国の財政を苦しめている。今回はIMFのいい加減な発言(リップサービス)の報道記事とそれを否定する報道記事も紹介する。
皇紀2684年3月27日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
IMF専務理事「中国は引き続き世界経済成長の鍵を握る貢献者」
Record China によるストーリー
中国発展ハイレベルフォーラムの年次総会において、最初のテーマ別シンポジウム「中国の持続的発展の原動力と展望」が24日に開かれた。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は発言で「中期的に見て、中国は引き続き世界経済成長の鍵を握る貢献者であり続けるだろう」と指摘した。
ゲオルギエワ専務理事は、「中期的に展望すると、約3%という世界経済の成長率は歴史的に見て比較的低いものだ。だが、中国に焦点を合わせると、質の高い成長という新たな時代をわれわれは目にしている。中国経済は2023年、新型コロナウイルス感染症パンデミック後に力強く上昇に転じ、5%以上の成長を見せた。中期的に見て、中国は引き続き世界経済成長の鍵を握る貢献者であり続けるだろう」とした。
また「IMFの分析では、一定の積極的な改革措置によって、中国の成長率は現状よりもずっと高くなる可能性がある。そのスタートとなるのが良好なマクロ経済のファンダメンタルズだ」と述べた。
ゲオルギエワ専務理事は、さらに「中国は過去数十年間の印象深い経済成長によって生活水準を顕著に高めるとともに、最近の最も緊迫した試練に対しても十分な政策的緩衝措置を取った。不動産業や地方政府の債務問題などの課題への対処は、中国が質の高い成長という新時代へと無事に移行する上で極めて重要だ」とした。(提供/人民網日本語版・編集/NA)
中国の巨額「隠れ債務」 危機的状況に
地方政府の財政悪化を受け、ムーディーズは中国の格付け見通しを引き下げた
2023.12.8 5:50
中国政府は、国内銀行システムに深刻な打撃を与えかねない「金融時限爆弾」を取り除こうとしている。
中国各地の都市・省は、長年にわたる野放図な借り入れと支出の結果、巨額の隠れ債務を積み上げてきた。国際通貨基金(IMF)と米金融業界の推計によると、中国のオフバランスの政府債務残高は約7兆~11兆ドル(約1030兆~1620兆円)に上る。これには地方政府傘下の投資会社「融資平台」が発行した社債(城投債)も含まれる。融資平台は城投債発行を通じて、道路や橋などのインフラを建設したり、その他の支出を賄ったりするための資金を調達した。
実際の総額は誰にも分からないが、地方政府債務が持続不可能な水準になっていることは、この1年で明白になっている。中国は経済成長が鈍化し、デフレ圧力と戦っている。こうした圧力の下では地方政府が元利払いを期日通りに行うことは難しくなる。
中国への債務、42カ国でGDPの1割超え 米研究所
一帯一路「隠れた債務」40兆円規模
2021年9月29日 13:30
中国の広域経済圏構想「一帯一路」を巡り、融資を受けた中低所得国で政府の負債として公になっていない「隠れた債務」が3850億ドル(約43兆円)にのぼることが29日、米民間調査機関の調べで分かった。対中債務が国内総生産(GDP)の10%を超える国は42カ国にのぼる。中国が不透明な融資を通じて、急速に影響を広げる実態が浮き彫りになった。
米民間調査機関のエイドデータ研究所が同日発表した報告書で明らかにした。調査では2000年以降に中国政府や国有企業がアジアやアフリカなどの165カ国で資金を拠出した約1万3000件(総額8430億ドル相当)の事業について、支出額や負債額などを調べた。
対中隠れ債務がGDP比で最も大きかったのはラオスの35%。公表している政府債務とあわせた対中債務は64%に及ぶ。中国による融資は、ラオスで初となる高速道路「中国ラオス高速道路」の整備にも使われている。20年末には首都ビエンチャンと中部バンビエンをつなぐ約110キロメートルが開通した。
一帯一路を巡っては、相手国を借金漬けにして、債務免除と引き換えに中国がインフラ権益などを奪う「債務のワナ」の問題が指摘されてきた。中国による情報開示が限られるなか、隠れ債務の規模が示されるのは珍しい。融資先の財政運営を度外視した中国による過剰投資に一段と批判と警戒が強まりそうだ。
報告書によると、中国による途上国向けの開発援助額は13~17年に年平均850億ドルと米国の同370億ドルを大きく上回った。習近平(シー・ジンピン)指導部が一帯一路構想を打ち出す前の00~12年は同320億ドルで、米国(340億ドル)と同じ規模だった。
債務の全容はつかみにくくなっている。12年までは途上国の政府を対象にした融資が主だったが、近年は国有企業や金融機関など向けが7割近くを占める。多くの融資では暗黙の政府保証が付いているものとみられるが、政府債務として報告されないため途上国の財政管理を難しくしている。
報告書は一帯一路で中国が自国に有利な条件を設定している点も指摘した。政府開発援助(ODA)以外の貸し付けが中心で、融資の約6割に担保や信用保険、第三者による返済保証を付けた。日本やドイツなどによる開発融資では金利1.1%、返済期間28年が一般的なのに対し、中国は金利4.2%、返済期間10年未満が主だった。
エイドデータ研究所は「中国は多くの中低所得国が第一に頼る融資元としての地位を急速に確立したが、融資の実態はベールに包まれている」と指摘した。中国が詳しい情報を明かさないため、一帯一路への参加リスクを判断するのが難しくなっていると問題点を挙げた。
一帯一路の沿線国向けの融資は18年ごろから鈍化した。受け入れ国側で債務のワナが意識されたことに加え、「中国自身の経済成長が鈍化してくるなかで、積極的な対外投融資を続けにくくなってきている」(第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミスト)との指摘がある。途上国の財政状況は新型コロナウイルス対策などで打撃を受けている。中国の融資姿勢の変化により、一段と悪化しかねない。
資金繰りに窮し、債務交渉に動く国も出始めた。ロイター通信によると、アフリカ中部の産油国コンゴ共和国は6月、同国の対中債務24億ドルについて、中国が返済延期に原則として同意したと表明した。
主要7カ国(G7)は6月の首脳会議で、一帯一路に対抗して途上国や新興国のインフラ構築を支援する枠組みをつくることで合意した。欧州連合(EU)も7月に一帯一路に対抗する支援計画をまとめる方針を決めた。一帯一路に代わる透明性が高い投資として、新たな選択肢を示せるかが焦点となる。
中国の「隠れ債務」問題が日本のバブル崩壊より危うい理由、中国格付け見通し“ネガティブ”に
2023.12.19 6:00
Photo:PIXTA
12月5日に信用格付け大手ムーディーズが中国の国債格付けの引き下げを発表すると、中国本土株市場は下落し、外国為替市場では人民元が売られた。当面、中国からの資金流出が加速しそうだ。今後は地方政府の財政破綻リスクが上昇し、雇用・所得環境の厳しさは高まり、個人消費も伸び悩むだろう。企業の業績悪化やデフレ経済も懸念されるが、それだけではない。中国は、わが国すらバブル崩壊後に経験しなかった事態に直面する恐れを抱える。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
中国地方政府の“隠れ債務”が深刻
12月5日、大手信用格付けの米ムーディーズは、中国国債の信用格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」(弱含み)に引き下げた。中国の不動産バブルが崩壊し公的債務の増加が懸念されることに加えて、地方政府の財政が悪化していることは見逃せない。特に、地方政府の資金調達の組織である融資平台の“隠れ債務”の問題は深刻さを増している。
振り返れば2020年8月、中国政府は不動産バブルの拡大を止めるため、不動産関連企業に対する融資規制を強化した。その措置によって、多くの不動産関連企業の資金繰りが悪化し、不動産バブルはもろくも崩れた。それに伴い地方政府の歳入は減少し、融資平台の業績および財務内容は悪化しデフォルト懸念も上昇した。これが、いわゆる地方政府の隠れ債務問題だ。
直近の話に戻ると23年12月6日、ムーディーズは地方融資平台26社を「格下げ方向で見直す」と発表。「問題解決に中央政府の財政出動は不可避」とも指摘している。
中国全体で地方融資平台や不動産企業の不良債権処理が遅れると、財政破綻に陥る地方政府が増えることが懸念される。中国経済全体に信用不安が広がり、海外への資金流出は増大する可能性もある。中国経済の先行き懸念の高まりは避けられそうにない。
高まる中国地方政府の信用不安
ムーディーズは中国経済全体で下振れのリスクが高まったと判断し、国債の格付け見通しを引き下げた。さらに近い将来、中国の格付けをA1(シングルA+に相当)から引き下げる可能性もある。
懸念されるのは、中央政府よりも、むしろ地方政府の財政状態だろう。リーマンショック後、中国政府は4兆元(当時の邦貨換算額で約57兆円)の経済対策を打ち出したが、財源の確保を担ったのは主に地方政府だった。
地方政府は、税収に加え土地を碧桂園(カントリー・ガーデン)や恒大集団(エバーグランデ・グループ)など不動産デベロッパーに売却してきた。政府が投資促進を呼びかけマンション建設などを支援する中、デベロッパーは需要を上回る勢いで住宅を建設した。政府の支援や、高い成長期待を背景に、住宅価格の上昇は間違いないといった過度な楽観がまん延した。
価格上昇により、地方政府の土地譲渡益は増えていた。そして、道路の建設や鉄道の延伸などインフラ投資に資金を再配分することによって、雇用を生み出した。また、半導体やEVなどの産業補助金政策も強化した。
銀行からの借り入れが規制された地方政府は、より多くの投資資金を獲得するために、融資平台と呼ばれる企業を増やした。地方融資平台は、債券発行や投資ファンドから資金を調達することで、不動産やインフラ投資を増やした。こうして不動産バブルの熱狂に浸り、中国経済は投資に依存した経済成長メカニズムを確立した。
しかし20年8月、事態は一変。中国政府は不動産融資規制を強化した。不動産デベロッパーの資金繰りは枯渇し、建設が停止し、未完成のまま放置される物件も急増した。新築・中古の住宅価格は下落。土地需要は減少し、地方政府の主要財源である土地譲渡益も落ち込んだ。不動産バブルは崩壊し、地方融資平台の信用不安が顕在化した。
不良債権増加“負の連鎖”が鮮明
地方融資平台の債務は、地方政府の予算に含まれない。公式統計にも計上されないため、隠れ債務と呼ばれている。国際通貨基金(IMF)によると23年、地方融資平台の債務残高は中国のGDP比53%、66兆元(約1320兆円)に達する見込みだ。地方政府の手に負えない水準に隠れ債務が膨張している。
中国では、地方融資平台の債務に“暗黙の政府保証”が付く、との見方が多い。元利金の返済の遅延、不履行(デフォルト)が起きた場合、政府が返済を保証するはず、と国民は妄信しているのだ。
23年夏、中国政府は隠れ債務問題への懸念を抑えるために、地方政府の債券発行枠を拡大した。報道では1.5兆元(30兆円)程度の債券発行が指示された。中国政府は地方政府に目先の元利金返済の一部を肩代わりさせようとしているが、財政悪化により地方政府が隠れ債務問題を解決するのは難しい。
懸念されるのは、地方政府の隠れ債務問題が、家計のバランスシート調整を激化させる恐れだ。地方融資平台は、いわゆる“シャドーバンク”(預金を受け入れずに資金調達を行う投資ファンド)から資金を借り入れた。それは高利回りの投資商品である信託商品に組み入れられ、中国の個人にとって重要な資金運用手段になった。
ところが11月、シャドーバンク大手である中植企業集団の債務超過が判明した。不動産バブル崩壊による地方政府の隠れ債務問題は、不動産分野の不良債権増加とともにシャドーバンク業界を侵食し始めた。シャドーバンクのバランスシートの劣化によって、信託商品のデフォルトリスクは上昇している。
不動産バブル膨張に伴う先行きの楽観、暗黙の政府保証の思い込みに浸り、信託商品を購入した個人の一部は、中国の金融当局に事態解決に向け介入するよう要請した。不動産市況の悪化に端を発する地方政府の財政悪化、隠れ債務問題の深刻化、経済全体での不良債権増加という負の連鎖が鮮明だ。
中国からの資金流出は増加の恐れ
経済環境の悪化を食い止めるために、中国政府は公的資金を用いて不動産や地方融資平台の不良債権処理を進めなければならない。しかし、中国政府はその考えを示していない。むしろ、新規の融資増加など銀行の負担で不動産や地方融資平台の不良債権問題を解決するよう圧力を強めた。
わが国の教訓に基づくと、その政策では景気が底打ちに向かうことは難しい。約30年前、日本では住専問題が表面化した。政府は公的資金を用いた金融機関への資本注入に消極的だった。不良債権処理は遅れ、デフレ圧力は高まり景気は長期停滞に陥った。
今後の中国もそうした状況に直面する可能性は高い。地方政府の財政破綻リスクが上昇し、経済対策としてのインフラ投資の実行も難しくなるはずだ。若年層を中心に雇用・所得環境の厳しさは高まり、個人消費も伸び悩むだろう。需要が減少することで企業の業績懸念も高まり、経済のデフレ傾向も鮮明となるだろう。
それだけではない。中国は、わが国が経験しなかった事態に直面する恐れもある。社会保障制度への不安上昇だ。中国では、農村戸籍と都市戸籍によって、市民が享受できる社会保障制度(医療や年金など)に差がある。財政悪化によって、年金支給額の削減などを行う地方政府は増える可能性が高い。相対的に経済基盤が健全な都市と地方の経済格差は拡大し、住民の不満は増大するだろう。
12月5日にムーディーズが国債格付けの引き下げを発表すると、中国本土株市場は下落した。外国為替市場ではドルが軟調であるにもかかわらず、人民元が売られた。中国の不動産市況は下げ止まりの兆しが出ていない。地方融資平台や不動産デベロッパー、過剰生産能力を抱える鉄鋼メーカーなどの連鎖的なデフォルトや経営破綻が増加するだろう。
そうした懸念から、中国関連の株や債券を売り、人民元を手放す投資家は増えた。当面、中国からの資金流出が加速し、景気下押し圧力が強まる展開は避けられないだろう。
中国・吉林省の工場に派遣された北朝鮮労働者が数千人規模の暴動やストライキ 賃金の不払いに怒り
FNNプライムオンライン によるストーリー
(サムネールは資料:北朝鮮労働者)
北朝鮮が中国の工場に派遣した労働者が賃金の不払いに怒り数千人規模の暴動やストライキを起こしていたことがわかった。
北朝鮮消息筋によると、中国東北部・吉林省の工場に派遣されていた北朝鮮労働者が2024年1月、賃金が支払われないことに怒り、北朝鮮人幹部を人質に立てこもるなど暴動を起こした。
この工場は約4年分の賃金を労働者に支払わず、「戦争準備資金」という名目で北朝鮮に送金していたとしている。
2月にも中国の別の工場で数十人規模のストライキが起きていて、北朝鮮当局は、1月の暴動で主導的な役割をしたとする約100人を送還したという。
参考文献・参考資料
IMF専務理事「中国は引き続き世界経済成長の鍵を握る貢献者」 (msn.com)
中国の巨額「隠れ債務」 危機的状況に | WSJ PickUp | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
中国の地方都市 高まる財政破綻リスク 債務1800兆円の衝撃 | NHK | WEB特集 | 中国
中国への債務、42カ国でGDPの1割超え 米研究所 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
中国の「隠れ債務」問題が日本のバブル崩壊より危うい理由、中国格付け見通し“ネガティブ”に | 今週のキーワード 真壁昭夫 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
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