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政治(科学・技術)講座ⅴ1141「Deep Seekの賛否両論の記事」

以前掲載したグログをご確認ください。
政治(科学技術)講座ⅴ1608「AIの能力を小学4年の算数の応用問題で確かめた」|tsukasa_tamura
 最近、人工知能AIが話題になることが多い。科学の進歩もすごい、そして技術力の発展と共に科学も進歩する。データー処理がデジタル化することに飛躍的に進歩した。
 しかし、学習機能のある人工知能AIはまだ人間の手から抜け出ることができないのである。つまり、アルゴリズムによって学習する手順を指示されるプログラムの領域でしか学習できないのである。学習すべきデーターは、やはりアルゴリズムの範疇から抜き出した事柄を学習できないのである。
 当然、推論という高度な学習はプログラマーの作成するアルゴリズムに頼らざるを得ないのである。前述した「小学4年生の算数の応用問題」もまだ解けないのである。アルゴリズムというプログラムの指示で動くものである。
 要はプログラマーの腕次第である。
 そして政治の世界ではAIによるフェイク情報・プロパガンダを仕込んだアルゴリズムにすることはいとも容易ことである。
 それは、結果的に洗脳された人間を量産する洗脳教育に使われる危険性が大きいのである。捏造された歴史教育や思想教育で全体主義へと社会が変容していく可能性が大きいのである。
 今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2685年2月15日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

報道記事紹介

アメリカはすでに追い付かれた----「AI大国・中国」の台頭とイノベーションの行方

高口康太(ジャーナリスト、千葉大学客員教授) によるストーリー

アメリカはすでに追い付かれた----「AI大国・中国」の台頭とイノベーションの行方© ニューズウィーク日本版

現代の科挙といわれる中国の大学入試「高考」に挑む学生たち(2024年6月、重慶市) COSTFOTOーNURPHOTOーREUTERS

<世界を驚かせた「中国産」ディープシーク(DeepSeek)。その原動力は、理系人材の豊富さ、教育熱、そして知的エリートの帰還だ。アメリカが追い出してしまった「イノベーションの源泉」とは?>

中国のAI(人工知能)はアメリカを追い抜いたのか。最新AI「ディープシーク」がもたらしたショックは巨大だ。

米オープンAIが高水準の推論能力を持つAI「o1(オーワン)」を発表したのは昨年9月のこと。今年1月に発表されたディープシークの「R1」は、それとほぼ同等の性能を持つ。

つまり、アメリカのアドバンテージはたった4カ月しかないことになる。

いや、開発・運用コストの安さを考えれば既に追い付かれたのではないか。先端半導体の対中輸出禁止は無駄だったのか。中国AIの台頭を抑止する手段はないのか......。ディープシークをきっかけに多くの議論が交わされている。

中国では「アメリカに目にものを見せてやった」と無邪気に喜ぶ声が多い一方で、ちょっと偏った見方も浮上している。それは「アメリカに留学した中国人を、祖国に残った中国人が打ち破った」というものだ。

オープンAI、メタ、グーグルなど米テック企業を支えているのは中国人エンジニアである。アメリカの外国人留学生のうち、約4分の1が中国人。国別でインドに次ぐ2位となっていることを考えれば、それも当然だ。

清華大学や北京大学など、中国の名門大学の卒業生のうち、成績優秀なエリートは欧米の大学院に進学するのが一般的なコースで、いかに名門大学であろうと、中国に残れば格落ち扱いを受ける。

つまり、中国の視点から見ると、ディープシークの成功は二軍の人材が一軍の留学組を打ち破ったという痛快な物語に見える。

アメリカはすでに追い付かれた----「AI大国・中国」の台頭とイノベーションの行方© ニューズウィーク日本版

世界を驚かせる最新AIを開発した浙江省のディープシーク本社 ORIENTAL IMAGEーREUTERS

今や中国人は世界のイノベーションを担う主力といってもいい。ポイントはやはり「物量」で、14億人から生み出される知的エリートの数は圧倒的だ。

米経済学者のジョージ・ギルダーは「中国のエンジニア数はアメリカのおよそ9倍、理系の大学卒業生に至ってはおそらく15倍だ。(ディープシーク創業者の)梁文鋒(リアン・ウエンフォン)は、その豊富な人材を自由に利用することができた」と、指摘している。

「千人計画」の本当の狙い

人口の多さに加えて、義務教育の水準も向上している。

梁の出身地は広東省湛江市呉川市覃巴鎮米歴嶺村だ。地図を見ると、山に囲まれた田舎であることが分かる。両親は小学校の教師で経済的に特別恵まれた家庭ではなかったが、子供時代から抜群の数学的才能を発揮し浙江大学に進学した。

都市と田舎、東部と西部の格差はいまだに大きいが、それでも抜群の才能を取りこぼさない程度には教育の整備は進んでいる。

中国は世界最古の試験である科挙の伝統もあり、親世代は自分に学歴がなくても子供は大学に進学させたいという意欲が高い。

1990年代後半からは大学定員の拡大が始まり、高等教育進学者数は1000万人を超えた。旧ソ連からの流れをくみ、大学定員は理系学部が中心だ。

こうして生み出された理系人材だが、そのトップ・オブ・トップの多くは国外に移住してきたという歴史がある。この頭脳流出をいかに食い止めるか、人材をいかに呼び戻すかが中国政府の課題だった。

アメリカはすでに追い付かれた----「AI大国・中国」の台頭とイノベーションの行方© ニューズウィーク日本版

2009年に97歳で死去した「ロケット王」の銭学森を悼む出身地・杭州市の地元市民 ORIENTAL IMAGEーREUTERS

いわゆる「千人計画」もその一環だ。外国人研究者の引き抜きとのイメージが強いが、実際には移民した中国人が主なターゲットで、中国からすると流出した知的エリートを取り戻す国策だった。

国策以上に効いたのは経済成長に伴う雇用環境の改善だ。2010年代半ばに入ると、頭脳流出の流れは大きく縮小する。

新設大学が増え、研究者のポストが設けられた。さらに、テック企業の給与上昇、ベンチャー創業ブームでの起業条件の改善などが追い風となった。こうして帰国を選択する留学生が増えた。

中国教育部によると、1978年から2019年にかけて中国から国外へ渡った留学生は累計656万人。学業を修了した留学生のうち86%が帰国した。

この数字は2000年代前半では25%程度しかなかった。より多くの知的エリートが中国でのキャリアを選ぶようになったわけだ。

中国本土出身者が中心のディープシークにも、帰国組がいる。潘梓正(パン・チーチョン)はハルビン工科大学を卒業後、オーストラリアのアデレート大学で修士、モナシュ大学で博士号を取得したAIの専門家だ。

半導体大手エヌビディアでインターンを経て正式オファーが出るという段階で、帰国しディープシークで働くことを決めた。

米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授はSNSで潘について取り上げ、アメリカはディープシークを生み出すチャンスを失った、これは「銭学森ショック」の再来だ、と嘆いた。

銭は1911年生まれ。中国出身だが、留学を経てアメリカに移民し、マンハッタン計画にも参加し、一流科学者として活躍した。米国籍を取得したが共産主義者との嫌疑をかけられ、中国に戻る。帰国後はロケット開発の陣頭指揮を執り、「ロケット王」とたたえられた。

現在、安全保障の観点から中国人研究者、留学生に対する風当たりが強まるなか、アメリカから中国に戻る研究者や留学生が増えている。

アリソン教授は「大学のスポーツチームは世界の才能のあるアスリートを採用するのに、なぜ『チームUSA』は中国との競争で違った手法を採るのか。銭学森、潘梓正の喪失を繰り返さないよう、できる限りのことをするべきだ」と提言している。

世界の知的エリートを集めてきたのがアメリカのイノベーションの源泉だが、今後もこの体制が続けられるかは未知数だ。

ドナルド・トランプ米政権の中でもイーロン・マスクなどのテック右派は専門職人材のビザを拡充すべきと主張する一方で、トランプ支持者本流のMAGA(アメリカを再び偉大に)派は外国人排斥を主張する。

もう1つ、見逃してはならないのはディープシークのユニークな組織運営方針だ。2024年7月、中国テック・スタートアップ専門メディア「36kr」が梁のインタビューを掲載した。その内容を見ると、同社が普通の中国企業ではないことがうかがえる。

ユニークな組織運営方針

1つは「自然な分業」。エンジニアに上下関係はなく、皆がフラットな立場にいる。誰が何を担当するかは上司が決めるのではなく、各自が得意な分野に取り組んだ結果、自然と役割分担がなされていくという。

ディープシークの革新的技術にMLA(マルチヘッド・レイテント・アテンション)がある。メモリー使用量を大幅に削減し、AIの運用コストを引き下げることに成功したこの発見も、「自然な分業」から生まれたものだ。

ある若いスタッフがアイデアを思い付き、ほかのエンジニアの協力を経て数カ月で完成させたという。ディープシークでは若手が思い付いたとっぴなアイデアでも、可能性が認められればその開発にリソースをつぎ込むことが認められる。

そして「競馬方式の排除」だ。中国の大手IT企業では同じ目的を持ったプロジェクトを同時に複数発足させ、競わせることが一般的だ。ディープシークでは競馬方式は無駄が多いとして各自が協力し目標達成することを目指しているという。

なぜ無名のディープシークが、これほどの人材を確保できたのか。梁は「それはわれわれが最も困難なタスクに挑んでいるからだ。トップ人材を引き付ける最大の魅力は、世界の最難関の問題に挑むことだからだ」と、答えている。

「アメリカや日本の企業は時間のかかる基礎研究に取り組むが、中国はすぐに結果の出る応用研究にしか手を出さない」という既存の図式に当てはまらない、中国企業が現れているのだ。

「ディープテック」に専念する新世代の登場は、中国のイノベーションをさらに一段高いレベルに引き上げるだろう。

高口康太(ジャーナリスト、千葉大学客員教授)


”中国のお家芸”はついにここまで…《パクリ疑惑のDeepSeek》CIAとMI6が暴いた「深刻なウソ」

山田 敏弘(ジャーナリスト) によるストーリー

”中国のお家芸”はついにここまで…《パクリ疑惑のDeepSeek》CIAとMI6が暴いた「深刻なウソ」

驚きから一転、世界中が警戒し始めた

中国企業が開発した最新AI「DeepSeek(ディープシーク)」が大きな注目を浴びている。

1月20日に論文とAIが無料で公開されると世界中からアクセスが殺到。スマホなどのアプリストアで一気にトップに躍り出た。

DeepSeekが公開した情報によると、このAIは、世界のAI開発をリードするOpenAIの優れたモデル・ChatGPT-o1と同等のパフォーマンスを提供するとしている。完全なオープンソースの形を取っており、誰でもそのプログラムを無料で利用できるのも大きな特徴だ。

さらに驚くべきは、その開発プロセスだろう。高性能なAIでありながら、開発費用はたったの8億円(ChatGPTの低グレードモデルでも開発費は150億円)。しかも、わずか2ヵ月で開発を成功させたという。半導体の輸入規制があるなか、通常より大幅に少ない半導体で開発したという触れ込みもあって、その衝撃はすぐに世界中を駆け巡った。

AI向けハイエンド半導体を製造する大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は17%の急落。他の半導体メーカーの株価も軒並み値を下げる事態となった。

理由はシンプルで、DeepSeekのように少量の半導体で優秀なAIを開発できるならば、ハイエンドな半導体を多額の資金を投じて大量に確保する必要がなくなるからだ。

ところが、世界を揺さぶったDeepSeekの発表からしばらくして、その実態が明らかになってきた。はっきりいえば、もはや驚きを通り越し、今では世界中が警戒する要注意のAIツールとなりつつある。懸念すべき情報が次々と出てきているからだ。

拭えないパクリ疑惑

そもそも、DeepSeekは、アメリカのトランプ大統領が就任する1月20日に合わせて発表されており、これは明らかな挑発行為として捉えられている。

アメリカ人弁護士で著名な中国専門家でもあるゴードン・チャン氏は、「この発表のタイミングは中国政府内のトップレベルの人間が計画したものだ」と指摘する。つまり、最初から中国政府の政治的で戦略的な思惑があったということだ。

アメリカ主導でAI開発を強化すると就任前から騒がれていたトランプ新政権に、冷や水を浴びせる目的があったのだろう。

そんな鳴り物入りで発表されたDeepSeekには、早々と物言いが付いている。

DeepSeekは独自モデルを謳っているが、実際には異なる可能性が高い。OpenAIのChatGPTやメタ・プラットフォームズ(以下、メタ)開発のAIの大量の回答、つまり既存AIに吐き出させたアウトプットを吸収して、DeepSeekのシステムに組み込んでいると指摘されているのだ。

高い能力のAIから低い能力のAIにアウトプットを移植するこの手法は、AI開発の世界で「蒸留」と呼ばれている。なんのことはない、端的にいえば、アウトプットを“パクる”ということに他ならない。

しかも、このパクる行為はChatGPTが利用規約で禁じているため、下手をすれば訴訟や制裁措置に発展するリスクも存在する。企業や政府が飛びついて使い始めると、中国国外での利用時にさまざまな制約を受けるAIになってしまう可能性がある。

ただ、DeepSeekには評価されている点もある。

DeepSeekの主張は“眉唾”

まず、DeepSeek搭載のAIは推論によって情報を導き出すモデルで、同じくOpenAIの推論型モデルであるChatGPT-o1に匹敵する性能が確認されている。また、AIの学習モデルも、人などが大量の正解を教えながら学習を重ねる従来型ではなく、より少ないデータで推論が可能な「強化学習」で作られている。開発コストを低く抑えられた背景にはこうした要素も関係しているという。

もちろん、これらの点は素直に評価すべきだろう。

ところが、このDeepSeekの開発環境については、真偽を疑問視する声が上がっている。注目が集まっているのは、使用した半導体の種類と数だ。

メタの最上位モデルのAIがNVIDIAの最先端半導体「H100」を10万個以上使用して開発された一方、DeepSeekは性能が大きく劣る「H800」を2000個使用したと明らかにしている。つまり、性能が劣り、かつ数も少ない半導体で開発に成功したというのだ。

だが、これは嘘の可能性が極めて高い。

トランプ政権で「AIと暗号資産の最高責任者」となった有名起業家のデービッド・サックス氏は、「DeepSeekは1万個のH100と1万個のH800、さらに別モデルのNVIDIA製半導体『H300』を3万個使っている」と暴露している。

欧米情報機関の元サイバー工作員は筆者の取材に「昨年から米CIAと英MI6がDeepSeekを徹底的に調べており、この発言はそこから得られたインテリジェンスに基づく情報だ。ただ、中国はアメリカによる半導体輸出規制の中でこうした半導体を秘密裏に入手している。そのためDeepSeekは公に認められない事情がある」と話す。

こうした“眉唾の情報”以上に深刻なのが、データのセキュリティだ。

日本企業が利用したら即アウト…?中国製AI「DeepSeek」をドヤ顔で使う人が犯罪の片棒を担ぎかねないワケ

山田 敏弘(ジャーナリスト) の意見

日本企業が利用したら即アウト…?中国製AI「DeepSeek」をドヤ顔で使う人が犯罪の片棒を担ぎかねないワケ

中国企業が新たにリリースした高性能AI「DeepSeek(ディープシーク)」。当初、少ない半導体と開発費、短期間での開発という驚異的な成果で世界を驚かせた。

しかし、その実態に多くの疑問の声が上がり始めている。

ユーザーの膨大な情報を収集

DeepSeekはデータのセキュリティに深刻な問題を抱えている。

AIはそもそも、ユーザーが入力したデータを蓄積して学び、性能を高めていく。DeepSeekの場合、こうしたデータはすべて中国に設置されたサーバーに保存される仕組みだ。

日本企業がDeepSeekの利用に慎重になるべきポイントは、まさにここにある。

DeepSeekの規約に記載された「収集する情報」は、ユーザー名、メールアドレス、電話番号、パスワード、デバイスモデル、支払い注文と取引の情報、オペレーティングシステム、キーストロークパターン、IPアドレス、システム言語……など多岐にわたる。

さらにデバイス間のアクティビティも特定し、情報収集すると書かれている。キーストロークの詳細は書かれていないが、ユーザーがキーボードに打ち込んだ内容を記録する可能性が考えられる。

しかも、ただ収集するだけではない。

データはすべて中国政府の手に…?

これらの情報にアクセスして、「保存し、法執行機関、公的機関、著作権者、またはその他の第三者と共有する」とはっきり書かれているのだ。規約には、DeepSeekは、中国の法律に準拠し、中国政府が管轄していると明記されている。データはすべて、中国政府の手に渡ると考えていいだろう。

無料で使えるからと言って、企業や政府が安易に使用するのは危険だ。

例えば、開発中の製品の改良点についてアドバイスが欲しいと思って、知的財産になるような情報をDeepSeekに入力してしまうと、情報が漏洩する可能性がある。また、顧客情報を整理して欲しいと思って顧客データを入れたら最後、すべて中国のサーバーに保存されてしまう。

実際、2023年には韓国のサムスンがChatGPTに社内データを入力してしまい、情報が漏洩したことがあった。当時サムスンはChatGPTの利用を禁じて対応したが、DeepSeekでも同じような危険性はある。

さらに恐ろしいのは中国政府が、政府系のサイバー攻撃グループにそうした情報を提供し、サイバー攻撃の端緒とする可能性があることだ。そうなると、さらなるハッキング被害やデータ漏洩の発生リスクが一気に高まる。

DeepSeekに対する懸念はまだある。

脆弱なセキュリティ

DeepSeek自体のセキュリティの脆弱さもすでに暴露されているのだ。

「ジェイルブレイク(脱獄)」と呼ばれる、AIに対する攻撃がそれにあたる。これは、複雑で非言語的な入力でAIを巧みに騙し、本来の使い方や利用規約を無視した形で犯罪に加担させたりすることを言う。

サイバー攻撃用のウィルスを作成させたり、人を騙すためのフィッシングメールの文言を作成させたり、犯罪行為を手助けしたりするなど悪意ある指示(プロンプト)を実行してしまっていることが、すでに研究者やセキュリティ企業の検証などで明らかになっている。

なお、OpenAIなどはジェイルブレイク対策を早くから強化しているので、同じような欠陥は少ない。

もう一つDeepSeekを使う際に気をつけるべきは、「洗脳」されてしまう可能性が否定できないことだ。

すでに方々で報じられている通り、DeepSeekは、中国共産党に対する批判や、中国政府が国内で言論統制している「天安門事件」といった項目については回答してくれない。習近平国家主席が似ていると揶揄されている「くまのプーさん」についてもDeepSeekでは検閲されてしまっている。

前述の通り、中国企業であるDeepSeekは、中国政府の法律に準拠してサービスを提供していることを隠していないので、こうした検閲が起きるのは当然だと言える。

政府の思惑や嘘が混じり合う

DeepSeekから出てくるアウトプットは検閲されているため、中国的な価値観に寄せた偏った情報が出力される可能性もあり、そもそも中国が都合よくねじ曲げた歴史的な情報が出てくるかもしれない。

ユーザーがそうした情報の真偽を検証しないまま信じてしまう恐れがあり、特に未成年者などの利用には細心の注意が必要だろう。

DeepSeekの開発は2023年に遡る。

創業者である梁文峰は、2015年から「High-Flyer」というヘッジファンドを運営しており、そこで得られた資金でDeepSeekを立ち上げた。いくつかのバージョン開発を経て、DeepSeekという世界を揺るがすAIの開発に成功した梁文峰は、言うまでもなく評価されるべき人物だ。

ただ、DeepSeekの水面下では、政府の思惑や嘘が混じり合う。中国製の高性能AIの登場は、AIをめぐる覇権争いの実態を改めて認識させる契機になったとも言えよう。


京都府、「ディープシーク」の生成AIを禁止 職員の業務利用対象に

毎日新聞 によるストーリー

京都府庁1号館=篠田直哉撮影

 京都府の西脇隆俊知事は14日の定例記者会見で、中国の新興企業「ディープシーク」が開発した生成AI(人工知能)について、府職員の業務での利用を禁止したと明らかにした。ディープシークへのアクセスを遮断する「フィルタリング」を5日、府職員が使っている公用パソコン約7500台に設定したという。

 ディープシークの生成AIを巡っては、個人情報を含むデータが中国国内のサーバーに保存される恐れが指摘されている。個人情報保護委員会は個人情報などのデータには中国の法令が適用されるとし、政府も注意喚起している。

 さらに鳥取県や三重県などの地方自治体も業務での利用を禁止したと明らかにしたほか、トヨタ自動車や三菱重工業など企業の間でも利用禁止の動きが広がっている。【久保聡】


NHK、「尖閣諸島」の名称問題で中国語字幕サービスを中止に AI翻訳機能の誤表記が原因

荒巻俊 によるストーリー

NHK、「尖閣諸島」の名称問題で中国語字幕サービスを中止に AI翻訳機能の誤表記が原因


NHKが人工知能(AI)を使用した中国語字幕サービスを中止した。領有権争いのある地域名が、中国側の主張する名称で表示される問題が明らかになったためだ。
13日の産経新聞とNHKなどの報道によると、10日の午後4時頃、NHK国際放送の英語字幕では「日本が実効支配する尖閣諸島」と表示されたが、中国語字幕では中国側が主張する「釣魚島」という名称で表示された。
NHKはウェブサイトなどで国際放送を英語で配信している。字幕はGoogle AIの翻訳機能を使用し、英語音声を9か国語に翻訳してサービスを提供していた。
NHKはこの問題を発見し、9か国語の字幕サービスを直ちに中止した。これに関して、NHKの稲葉延雄会長は前日の記者会見で「翻訳に不安定な点があることが判明した」とし、「NHKのサービスとしては不適切であり、中止すべきだと判断した」と説明した。
昨年8月には、NHKラジオ国際放送で委託契約により、日本語の原稿を中国語に翻訳して読み上げる業務を担当していた40代の中国人男性職員が、原稿にない「釣魚島は中国の領土だ」という突発的な発言をし、担当役員1名が辞任する事態に発展した。

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