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政治講座ⅴ942「現代版のクレディ・スイス物語」

「盛者必衰」を現すような出来事が発生している。この世は無常である。平家物語みたいである。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。猛き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
遠く異朝(いちょう)をとぶらふに、秦の趙高(ちょうこう)、漢の王莽(おうもう)、梁(りょう)の朱い(しゅい)、唐の禄山(ろくざん)、これらは皆旧主先皇(きゅうしゅせんこう)の政(まつりごと)にも従はず、楽しみを極め、諌め(いさめ)をも思ひ入れず、天下の乱れん事をも悟らずして、民間の憂ふる所を知らざりしかば、久しからずして亡じにし者どもなり。

温故知新。今回は現在発生している金融破綻の報道記事を掲載する。まだ、混乱は終息する兆しなし。

     皇紀2683年3月21日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

クレディ・スイス、2.2兆円分のAT1債が無価値に

2023年3月20日 9:00 
【ロンドン=大西康平】スイスの金融機関大手クレディ・スイス・グループは19日、同社が発行した劣後債の一種である「AT1債」について、約160億スイスフラン(約2.2兆円)分の価値をゼロにすると発表した。株式より低リスクとされる社債での異例の巨額損失発生となる。投資家心理が悪化して、世界の社債市場での売りに波及する可能性もある。

クレディ・スイス債2兆円強が無価値に、36兆円規模の市場に打撃

Tasos Vossos、Colin Keatinge によるストーリー • 55 分前
(ブルームバーグ): スイスの銀行大手UBSグループによる買収合意を受け、クレディ・スイス・グループの債券約160億スイス・フラン(約2兆2800億円)相当が無価値になった。
  スイスの連邦金融市場監督機構(FINMA)がウェブサイトに掲載した声明によると、買収合意を受け、中核的自己資本拡充のためクレディ・スイスの「その他ティア1債」(AT1債)の価値はゼロに切り下げられる。一方、クレディ・スイスの株主は計30億フラン相当のUBS株を受け取ることになっている。
  今回の事態は2750億ドル(約36兆円)規模の欧州AT1債市場にとって過去最大の損失となった。2017年に破綻回避でスペインのサンタンデール銀行に買収された同国ポプラール・エスパニョール銀行のジュニア債保有者が被った13億5000万ユーロ(現在の為替レートで約1900億円)の損失を大きく上回る。この時は株式も無価値となった。
  典型的な減損処理のシナリオでは、AT1債で損失が生じる前に株主が最初に痛手を受ける。これはクレディ・スイスも先週の投資家向けプレゼンテーションで言及していた。このため、株式ではなくAT1債の評価をゼロにするという決定に、同行のAT1債保有者の一部から猛反発が起きた。
  アクイラ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、パトリック・カウフマン氏は「これは全く筋が通らない」とし、「AT1債市場には大打撃だろう」と語った。「資本構造の序列を尊重する必要がある」として、株主には何も残さず、資金をAT1債投資家に回すべきだったと考えている。

Wiped Out Credit Suisse AT1s Were Senior to Equity |© Bloomberg


  ブルームバーグのデータによると、クレディ・スイスのAT1債を保有している数多くの資産運用会社には、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、インベスコ、ブルーベイ・ファンズ・マネジメントが含まれる。各社の保有分は当局への最後の届け出から変更されたり全て売却されたりしている可能性もある。
  ピムコとブルーベイは買収合意発表前の17日時点でブルームバーグ・ニュースに対しコメントを控えた。インベスコの広報担当者は、投資チームは引き続き状況を注視していくと説明した。
  クレディ・スイスのAT1債は17日までに、破綻しそうな企業に通常見られる水準で既に取引されていた。トレースによると、発行から1年に満たない16億5000万ドルの債券の一部は額面1ドル当たり約35セントで売買されていた。
  19日には週末にもかかわらず多くのトレーダーが集まり、債券価格が激しく動いた。当局がクレディ・スイスの一部または全体を国有化し、同行AT1債を完全に無価値にするか、あるいはUBSによる買収で債券保有者には全く損失が生じないという2つのシナリオを想定して取引が行われた。
  合意がまとまった時点では、額面1ドル当たり20-70セントの間で変動していた。FINMAの発表を受け、一部のトレーディングデスクは顧客に評価損が生じたことを伝えた。

投資家の不満

  ある英銀の最高経営責任者(CEO)はスイス当局が銀行による資金調達の重要な一角を葬ってしまったと指摘。センシティブな市場環境を理由に匿名を条件に語ったが、同CEOのコメントは米国で銀行3行が相次ぎ破綻し、クレディ・スイスがUBSに買収されるという状況を受け、世界の金融コミュニティーが緊張状態にあることを裏付けている。
  アクシオム・オルタナティブ・インベストメンツはクレディ・スイス発行のAT1債を保有。同社の調査責任者ジェローム・レグラス氏は「株主に多額の支払いをしながらAT1債の価値をゼロとすることは、2008年以後に国際的に合意された整理に関する全ての原則・ルールに反する」と主張した。
  アバディーンの投資ディレクター、ルーク・ヒックモア氏はクレディ・スイス債を若干保有しているが、「AT1市場ではしばらく、新規発行はできなくなる」と想定。「AT1債市場でクレディ・スイスと同じようなトリガーを持つ証券とそうでない証券、AT1債を発行する必要がある銀行とそうでない銀行を分類し分析することになるだろう」と話した。
  バノー・キャピタルの債券責任者フランチェスコ・カステリ氏は政策当局による今回の動きで「この仕組みがうまく設計されていないことが証明された。恐らく段階的に廃止されることになる」と述べた。
関連記事
クレディS、約11兆円の債券にベイルインリスク-社債価格が織り込むクレディ・スイスを危機に陥れたのは何か-QuickTakeクレディS劣後債保有者は損失迫られる-ヘッジファンドが指摘
原題:Credit Suisse’s $17 Billion of Risky Bonds Are Now Worthless (2)Credit Suisse’s $17 Billion of Risky Bonds Are Now WorthlessWipeout of Risky Credit Suisse Bonds Upends $275 Billion Market(抜粋)
(11段落目以降に市場の見方を追加して更新します)
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©2023 Bloomberg L.P.

クレディ・スイス、社債約170億ドル無価値化 債権者から怒りの声

Reuters によるストーリー • 6 時間前

[ロンドン/ニューヨーク 19日 ロイター] - クレディ・スイスは19日、UBSによる買収の一環としてスイス当局の指示の下、160億スイスフラン(172億4000万ドル)相当のAT1債(その他ティア1債)を無価値化すると発表し、債権者から怒りの声が上がった。

クレディ・スイス、社債約170億ドル無価値化 債権者から怒りの声© Thomson Reuters

スイス金融市場監査局(FINMA)は、この決定がクレディ・スイスの資本増強につながると説明。民間投資家に痛みの分担を求めた格好だ。

FINMAのマーレン・アムスタッド局長は「大きすぎてつぶせない」金融機関の枠組みに沿って決めたと説明。

AT1債が無価値となる一方で、返済の優先順位が社債より下位となる株式の保有者は、UBSによる株式交換方式の買収で総額32億3000万ドルを受け取ることになる。

クレディ・スイスのAT1を保有するアクシオム・オルタナティブ・インベストメンツの調査責任者、ジェローム・ルグラス氏は「AT1所有者と株主の序列をどうして逆転できるのか理解できない」と批判した。

UBSのラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)はAT1債の無価値化について、クレディ・スイスが責任を問われないようFINMAが決定したと述べた。

当局の決定について投資家からは、他行がAT1債を発行しづらくなるとの指摘が聞かれた。

名門だったクレディ・スイスはなぜUBSに「時価総額半分で買収」? AT1債は無価値?

2023年3月20日

スイスのプライベート・バンキングが揺れています。
スイスの大手金融機関、クレディ・スイスがUBSに買収される見込みです。

買収金額は30億スイス・フラン(約4300億円)規模の株式交換 (中略) クレディ・スイスの株式時価総額は17日終値時点で約74億スイス・フランで、買収額はこの半分未満となる

Bloomberg 2023/03/20 AM5:39「UBS、クレディ・スイスを30億フランで買収へ-歴史的銀行統合」

なぜ名門プライベート・バンクは凋落したのか

スイスなら資金がバレない、は既に消滅
かつて名門だったスイスのプライベート・バンキングはなぜ凋落してしまったのでしょうか?
かつてのスイスはナンバード・アカウントという口座名義の秘匿性がありました。
有名アニメや映画で富裕層が名前を隠して資金を送付する、アレです。
しかし犯罪資金の温床となる恐れもあり、口座情報の秘匿性は無くなりました。

不祥事のオンパレード、ただし勤務者は決してそのことは触れない

 クレディ・スイスでは近年、ブルガリアの麻薬組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)を巡る有罪判決、モザンビークでの汚職への関与、元従業員と幹部が関与したスパイ・スキャンダル、顧客データのメディアへの大量リークなど不祥事が相次いでいた。
  これに加え、破綻した英金融ベンチャー、グリーンシル・キャピタルの創業者レックス・グリーンシル氏や、破綻に至ったアルケゴス・キャピタル・マネジメントとの関係が明らかになったことで、内部統制の甘さが浮き彫りになった。この結果、多くの顧客が同行に見切りをつけ、2022年後半に前例のない規模の顧客流出が進んだ。

Bloomberg 2023/03/16 11:33 『クレディ・スイスを危機に陥れたのは何か-QuickTake』

顧客を顧みない体制、営業インセンティブが問題
今回のSVB破綻での銀行セクターの下落、リスクオフが引き金となりました。
しかし、じわじわとボディーブローとして効いていた内容があります。
「アルケゴス問題」です。
2021年7月29日の、アルケゴス問題で巨額損失が生じた問題に対する報告書には以下の記載があります。

「アルケゴスを制御できず貪欲なリスクテイクを許した」と批判した。クレディ・スイスは「リスク管理全般の転換点にする」と応じ、事件を教訓に抜本的な体制見直しを図ると約束した。22年2月までに最高リスク責任者(CRO)に米ゴールドマン・サックスから同分野のベテランを招く。投資銀行部門が暴走しない体制づくりを急ぐ。

日経新聞 2021/07/29 『クレディスイス「警告顧みず利益専念」 アルケゴス報告書』
結果的には、一度失った信頼を取り戻す体制構築は間に合わず、今回の経営不振、身売りとなりました。

儲かることが正義、金融機関の収益至上主義

クレディ・スイスにも内部には警告者はいたことでしょう。
しかし、警告は無視され、「儲かることが正義」となる風潮は、リスク管理をも犠牲にしてしまうのです。
これは今回のクレディ・スイスに限った話ではありません。
日本でも市場のルールを完全に無視したインサイダー取引違反などは記憶に新しいところです。
営業部門が強い会社には、「コンプライアンスを軽視しても収益優先」という風潮があると筆者は考えています。

クレディ・スイス持ち株会社のAT1債は無価値か?

レディ・スイス持ち株会社のベイルイン対応債券と「その他ティア1債」(AT1債)は約760億スイス・フラン(約11兆円)に上る。連邦金融市場監督機構(FINMA)によると、当局がクレディ・スイスの預金者を保護するため介入すれば、このAT1債は無価値となり、ベイルイン対応債券は株式に転換される。

Bloomberg 2023/03/18 『クレディS、約11兆円の債券にベイルインリスク-社債価格が織り込む』

集中投資が招く危険性

「クレディ・スイス」ブランドなら大丈夫と思って、有利と思われる条件に乗った投資家はダメージを受けることでしょう。
分散を軽んじた集中投資は、当たれば大きなリターンである反面、今回のような経営危機では流動性(換金性)を失い、大きな損失となり得るのです。

プライベート・バンカーはアドバイザーなのか?
富裕層は身近に「金融の執事」であるアドバイザーを置きます。
今回の事例で、クレディ・スイスのブランド、従業員の言葉を信じた投資家は痛手を受ける場合があるでしょう。
勤務先の情報を悪く告白できる販売者は少ないでしょう。

金融商品の販売を業務にしていることがなければ、顧客である投資家が収益至上主義の犠牲になることも防げた可能性があると思います。

販売者にアドバイザー機能を求めても限界があるのです。

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
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安東隆司(おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN))
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【コラム】金融混乱、どこから来てどこへ行くのか-オーサーズとリー

John Authers、Isabelle Lee によるストーリー • 9 時間前

(ブルームバーグ): シリコンバレー銀行(SVB)など米銀の破綻、クレディ・スイス・グループの苦境とスイス当局の行動、米ファースト・リパブリック・バンクへの大手米銀による預金、米連邦準備制度理事会(FRB)からの米銀の巨額借り入れと、金融業界は天地がひっくり返ったかのような様相だ。

  実際にひっくり返ったのかもしれない。どうやってこのような事態に至ったのか、ここから先はどこへ行くのかを検証してみよう。

どうやってここに至ったのか

  過去2週間の展開の大半は衝撃的だったが、このような出来事が高い確率ではないにせよ起こり得るということは以前から明白だった。重大な変化が起こりつつある中で、銀行セクターと金融システムが困難に直面することは必至だった。

  今重要なのは、経済全体のために銀行がどの程度の打撃を受けなければならないかだ。1980年代初めにボルカーFRB議長(当時)がインフレを撲滅して以来何十年もの間に、投資家は安定的な低インフレの環境と長期米国債利回りの緩やかな低下に慣れてしまった。

  利回りを低く抑えるための量的緩和(QE)など、金融危機後の当局の必死の取り組みが恐らく、本来なら10年前に終わっているべきだったこの「ボルカー氏のもたらした平和(Pax Volckeriana)」の時代を長引かせた。しかし新型コロナウイルス禍を受けた巨額財政出動とその後のインフレ高進、金利上昇で、この平和は終わりを告げた。

  この瞬間は長く待ち望まれていた。これが最終的に多くのプラスの変化をもたらすことは大いにあり得る。ここ数十年、資本が間違った場所に振り向けられていたかもしれないからだ。ただ、ある程度の痛みは避けられない。低金利と低インフレの受益者ほど痛みは大きい。地方銀行はこのグループの筆頭に近い。

  長期的に見て、どの程度の金融政策の引き締めが必要なのかは分からない。しかし、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標から総合インフレ率を差し引くという単純な手法で「実質FF金利」を割り出すと、1年前に過去最低となった同金利は今もマイナス圏にある。

  米連邦準備制度がインフレに対していかに出遅れていたかが如実に示されており、金融引き締めに対する切迫感が生じる。

  長年のゼロ金利で、株式のバリュエーションはますます高くなっていった。こうした環境での株高は理にかなっている。債券が有効な競争相手にならないし、企業の将来利益を現在に引き戻す際の割引率も低いからだ。

  株価に支援的な債券市場環境がなくなった状態で、どの程度のバリュエーションが合理的なのかが今の問題だ。株価売上高倍率(PSR)を見ると、S&P500種株価指数構成企業の株価はまだ、2000年のドットコムバブル破裂前のピークと同じくらい割高だ。

  一方、銀行システムが問題でなかったことはない。世界的金融危機に続いたソブリン債危機で金融セクターが傷んだユーロ圏では特にそうだ。

  銀行株は世界中で株式市場全体に対してアンダーパフォームし続けた。これは銀行の収益力に対する持続的な懸念を反映している。債券市場の深い逆イールドは銀行が預金を集めることを困難にし、バランスシートへのストレスとなる。恐らくこれが、株式投資家が銀行株に慎重な理由だろう。

  いつ起こるか、どの金融機関に起こるかを予測することは不可能でも、何らかの痛みが生ずることは不可避だった。昨年10月に英国債市場をのみ込んだ危機にも同じことが言える。今の環境ではこうした波乱は起こり得るが、いつ起こるかの予測は難しい。

  銀行業界でのこれらの出来事が金融政策についての見通しをひっくり返し、資金が債券に流れることは理解できる。しかし、米国株がこのような状況を無傷で乗り越えるというのは理解し難い。米連邦準備制度はこの状況でどうすればいいのだろうか。

米連邦準備制度は次に何をするか

  欧州中央銀行(ECB)は16日に0.5ポイント利上げを断行することで大きなリスクを冒すとともに、確立されている中銀の教義に従った。

  ドレフュス・アンド・メロンのチーフエコノミスト兼マクロストラテジスト、ビンセント・ラインハート氏の言葉を借りれば、これは「分離原則」というもので、最後の貸し手としての中銀の役割は、金融政策とは分離して実行されなければならないということだ。積極的な利上げをすることでECBはクレディ・スイス救済が成功するとの信頼を示した。米連邦準備制度にも同じことが当てはまる。

  過去数日の措置は全て、銀行の問題は流動性だという仮定に基づいている。銀行は短期間で資金を調達することの困難に直面しているが、支払い能力には問題がないという仮定だ。もしこの仮定が正しいなら、米連邦準備制度は22日に0.25ポイント利上げをすることができる。

  マクロデータは金利据え置きを正当化しない。インフレ率は当局の目標を大きく上回っている。従って、米連邦準備制度が利上げを停止すれば必然的に、既に導入した危機防止措置を当局自身が信頼していないというシグナルを送ることになり、それ自体が市場安定化に向けた取り組みの妨げになる。


Fed Chair Powell Testifies Before House Financial Services Committee© Photographer: Samuel Corum/Bloomberg

  しかしながら、一方には銀行セクターでの重大な事故の直後に利上げをするのは危険で、問題が制御できると確信できるまで待った方がよいというもっともな主張を強く訴えるグループがある。これまでの措置で預金流出に歯止めがかからないという兆候が少しでもあれば、この議論は強まるだろう。  

  米連邦準備制度がECBほど積極的である可能性は極めて低い。しかし、クルー・アドバイザーズのパートナー、ルイーズ・ガウディ・ウィルメリング氏らは、ECBの決定が連邦準備制度への圧力を強めると論じる。「米当局は追い詰められており0.25ポイント利上げをせざるを得ないと思う」と同氏は話した。

  BCAリサーチの債券ストラテジスト、ライアン・スウィフト氏は、「近い将来」の利下げは予想していないが、22日の利上げ可能性は今からその時までの混乱状態次第だとみている。

ここから先はどこへ行くのか

  しかし重要なのは、金融政策は大きな部分で銀行にとっての問題を作り出すことで機能するという点だ。銀行の収益率を低下させれば銀行は融資基準を厳格化し、金融環境が引き締まるという仕組みだ。

  だが決定的な問題は、最近数週間のトラブルが本当に流動性だけに起因するのかということだ。これまでの措置はこの仮定に基づき過去の救済で学んだことを参考にしている。

  そうそうたる顔ぶれの大手銀行がファースト・リバブリックに預金することに合意したのには、1998年のヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)救済に参加しなかったベアー・スターンズなど銀行がたどった運命が影響しているかもしれない。参加行の数が多いことも「尻拭い」という印象を和らげる。

  しかし、連銀窓口貸出制度からの記録的な借り入れは、もしこれが本当に流動性だけの問題であったとしても、その問題が広範で深刻であることを示唆する。さらに、今の米連邦準備制度の目的は経済成長のペースを落とすことだが、これは銀行の支払い能力への圧力となる傾向がある。

  結局、最近の金融混乱を幾つかの銀行のせいにするのは好都合なのかもしれない。これらの銀行の苦境で露呈したのは実は、主として米連邦準備制度が関与し生み出した大きな亀裂かもしれないからだ。

  世界の主要中銀が積極的な利上げキャンペーンを開始した時点で、米国と欧州の市場はその巻き添えになっている。金融当局が利上げを停止すると考えるのは間違いだろう。

  物価上昇と闘うことと金融の安定を守ることは、相反する目標だ。ECBも米連邦準備制度も、インフレとの闘いと、銀行問題に対処し金融システムを守る措置を「できる限り区別しようとするだろう」とブラックロック・インベストメント・インスティチュートは指摘している。

(ジョン・オーサーズ氏は市場をカバーするシニアエディターでブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。ブルームバーグに移籍前は英紙フィナンシャル・タイムズに在勤し、Lex Columnの責任者やチーフ市場コメンテーターを務めました。イザベル・リー氏はブルームバーグ・ニュースの記者です。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Another Chaotic Week Signals End of Economic Era: Authers & Lee(抜粋)

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東証が大幅反落、388円安 欧米の金融システムに不安

共同通信社 によるストーリー • 29 分前

 週明け20日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は大幅反落した。欧米の金融システムに対する不安が根強く、幅広い銘柄に売り注文が出た。外国為替市場で円高ドル安が進行したため、輸出関連銘柄の下落が目立った。

 終値は前週末比388円12銭安の2万6945円67銭。東証株価指数(TOPIX)は30.12ポイント安の1929.30。出来高は約13億6028万株だった。

参考文献・参考資料

クレディ・スイス、2.2兆円分のAT1債が無価値に - 日本経済新聞 (nikkei.com)

クレディ・スイス債2兆円強が無価値に、36兆円規模の市場に打撃 (msn.com)

クレディ・スイス、社債約170億ドル無価値化 債権者から怒りの声 (msn.com)

名門だったクレディ・スイスはなぜUBSに「時価総額半分で買収」? AT1債は無価値? :投資顧問 安東隆司 [マイベストプロ東京] (mbp-japan.com)

『平家物語』の原文・現代語訳1:祇園精舎の鐘の声~ (esdiscovery.jp)

【コラム】金融混乱、どこから来てどこへ行くのか-オーサーズとリー (msn.com)

東証が大幅反落、388円安 欧米の金融システムに不安 (msn.com)

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