GUCCIを履いたお客様に何もできなかった
反省する。
「提案」が思い浮かばなかった。
今日は冷え込んだ一日だった。
通りの人やご入店して下さったお客様は厚めのアウターをおめしの方も多かった。
「2リットル水を飲むチャレンジ」を始めたばかりの僕はかなりお手洗いが近くなってしまった。
「本当にすいません!!!」
今回はコロナ時代の接客と言うよりは僕の個人的な反省のお話です。
アパレル販売員の「提案」のお話。
ショウウィンドウを覗き込むご夫婦がいらっしゃった。
僕はこの後、悔しいがこのご夫婦の「記憶に残らない存在」になる…
僕はすかさず笑顔と会釈で反応した。
このショウウィンドウ側には入り口が無い為、ご婦人がご入店して下さるかは僕には見えない。
その後、他のスタッフの「いらっしゃいませ!」の声が聞こえた。
ご夫婦はご入店して下さっていた。
僕は、ご夫婦と他のスタッフと僕との立ち位置の距離感を考えファーストアプローチには行かず「観察」する体勢を選んだ。
僕はご夫婦には意識されない様な離れた距離感にいる。
この場合、僕は観察しながら「ファーストアプローチ」をするか「セカンドアプローチ」をするか、はたまた「挨拶」をするかの選択肢を持っている。
・ファーストアプローチを選ぶ基準
僕とお客様が近い距離感になり、お客様が商品を「ちょんちょん」と軽く触っている場合ファーストアプローチを選ぶ。
(*「ちょんちょん」は「ちょーんちょーん」の場合もあれば「ちょっちょっちょっ」の場合もある)
その「ちょんちょん」が終わったタイミング。
細かく言えば、お客様が商品を見終わり顔を上げたタイミングでファーストアプローチを発動する。
この時期であれば「新作がたくさんあるのでゆっくり見ていってください!」など。
・セカンドアプローチを選ぶ基準
僕とお客様がどの様な距離感でも、お客様が「じっくり」商品をご覧になられていたり・商品を広げてみたり・お鏡で合わせていたり、明らかに特定の商品に関心を寄せている場合セカンドアプローチを選ぶ。
発動のタイミングはお客様がその商品自体を見終わる時。
細かく言えば、お客様がその商品の感想を心で唱え終わったタイミング。
「なんか雰囲気好きだなぁ。」「手持ちのアレに合いそうだなぁ。」「あのイベントに来て行けそうだなぁ。」など。
その唱えた感想に合ったお声掛けができたらプロの証。
だが簡単には、
「デザインが素敵ですよね!」など。
お客様との物理的な距離感をいつの間にかつめておく事もポイント。
・挨拶を選ぶ基準
僕とお客様が近い距離感になり、お客様が商品をご覧にならずにすれ違う際に挨拶を発動する。
すれ違うタイミングで、お客様の表情を見ながらはっきり聞こえる程の声量で
「ご来店ありがとうございます!」
しかしご夫婦はセカンドアプローチをするまでではない、しかしファーストアプローチには遠い距離感で商品を「ちょんちょん」と触りながら僕との距離が近くなっていく。
この場合、普段の僕なら「ちょんちょん」情報を分析して店舗の中でお客様にお似合いになりそう且つ、お好みに合いそうなアイテムをピックアップしておき「提案」のフェーズに入る。
そして、お客様との距離感があたかも自然に近づいたタイミングでその商品を提案する。
…ハズだった。
が、この時僕が選んだ選択は妥協の「挨拶」だった。
僕にはお客様に提案できる商品が浮かばなかった。
理由は、
・店内は夏物だがご夫婦は暖かそうなアウターを着ていた事
・ご夫婦のスタイリングが感度の高いオシャレ様であった事
・ご夫婦のお眼鏡に叶う様な商品を在庫商材からイメージできなかった事
そのご夫婦はGUCCIを履いていた。
だからと言って僕も感度の高い意識の高いオシャレの知識と教養は持ち合わせているつもりだ。
だって今日、実は僕もGUCCIのピンクのシャツを着ていたんだ…
この場合はご夫婦の気持ちを読みすぎてはいけなかった。
商品軸の考え方では無く、ご夫婦の事を知ろうとする行動が必要であった。
「提案」ではなく「ニーズの確認」のフェーズが必要であった。
もしかするとプレゼントを探していた可能性だってあったのだ。
それを踏まえても何も「提案」できないではお客様にとって価値の無い存在だ。
きっと僕の事をご夫婦は気にもとめていない。
ちょっと今日は帰ったら落ち着いてdマガジンで雑誌を読みあさってイメージを膨らませよう。
明日からまた出直しだ!