【二次創作小説】 由真
光の中に黒い渦の回転があった。
彼女は一人、その中から這い出た。
水は回り、闇をゆっくりかき混ぜる。
彼女は暗い波に揺られて、どこかの国に流れ着いた——
とある人物。焦燥したような顔。
黒髪を後頭部で雑にまとめあげている。
頬はこけ、自信のなさそうな前傾の姿勢のまま
陸地に降り立つと、服の中から小さな赤いナイフを取り出した。
彼女はいつも持っている。
こっそりと隠し持っている。
彼女はそのナイフを見ると落ち着く。
“お守りみたいなもの”。
この人物は周囲を警戒した様子でいた