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「進言」㉖ 父から子への真剣な話
第二十六章
息子よ、仕事を初めて数年経った。
君も立派にやっている。
いろんな人を見ただろう。
いろんな人と出会っただろう。
また、教えてくれ。
一見、矛盾していることのうちにこそ、深みがあることがある。
一面の奥を見て、繋がりをみなさい。
「夏の雪、刈り入れ時の雨のように、誉れは愚か者にふさわしくない。
飛び回る雀のように、飛び去る燕のように、
理由なしに呪いがくることはない。
馬にはむち、ろばにはくつわがあるように、愚か者の背のためにはむちがある。
愚か者に、その愚かさに合わせて答えてはいけない。あなたが彼のようにならないために。
愚か者に、その愚かさに合わせて答えなさい。彼が彼自身を知恵ある者と思わないために。
愚か者に託して伝言を頼む者は両足を切られ暴行を受けることになる。
愚か者が口にする箴言は足の萎えた者の垂れ下がった足。
愚か者に誉れを与えるのは石投げ機に石を結びつけるようなもの。
愚か者が口にする箴言は酔った人がトゲのある杖を振り上げるようなもの。」
「愚か者や通りすがりの者を雇う者は、だれかれかまわず射抜く射手のようだ。
犬が帰ってきて自分の吐いた物を食べるように、愚か者はその愚かさを繰り返す。」
「自分を知恵ある者とする人を見るか? 彼よりも愚か者の方が、まだ望みがある。」
「怠け者は「道に獅子がいる。広場に雄獅子がいる」という。戸が蝶つがいで回るように、怠け者は寝床の上で回る。
怠け者は皿に手を伸ばしても、その手を口に持っていくのを面倒に思う。
怠け者は良識ある答えをする7人の者よりも、自分を知恵ある者と思う。」
「自分に関係のない争いにいきり立つ者は、通りすがりの犬の耳を掴む者のようだ。
我を失った者は、燃え木、矢、死を放つが、
隣り人を騙して、「ただの冗談じゃないか」と言う者もそれと同じだ。」
「薪がなければ火が消えるように、陰口を叩く者がいなければ争いはやむ。
炭火に火を、火に薪をくべるように、争いが好きな人は争いを燃え上がらせる。
陰で人の良し悪しをいう者の言葉は美味しい食物のようで、腹の奥に染み込む。燃える唇であっても心が悪いなら、質の悪い銀を塗った土の器だ。」
「憎んでいる者は唇で身を装うが、心の中で偽りを抱いている。
彼が声を和らげて語りかけてきても信じてはいけない。
その心には七つの忌み嫌われる者がある。
たとえ憎しみはごまかし隠せても、彼の悪は集まりの中で現れるだろう。
穴を掘る者は自分がその穴に陥り、石を転がす者は自分の上にそれを転がす。
偽りの舌はその舌が傷つけた者を憎み、へつらう口は滅びを来らせる。」